紙の本
日常の光
2011/06/02 11:58
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
私の大好きな作家のひとりである、福井晴敏さんが大震災をテーマに物語を書いていたらしい。去年出ていたらしいのだが、恥ずかしながらこれまで知らなかった。震災後、色んな震災がらみの書籍が出版されまたクローズアップされているが、気が乗らずどれ一つ手に取らなかった。だけど他ならぬ福井氏の作品ならと、読んでみたのだが。うーん200ページ足らずと短いけれど、何とも読み応えのある一冊。まずやはり「災害対策マニュアル」的な物はちょっと読みづらいという人にオススメ。首都東京を直下型地震が襲うという物語を追っていく中で、色々なシチュエーションでの対処方法を説明してある。物語自体も、さすがの作りになっている。ハラハラどきどき!というよりも、あえて笑えるような作り。なるほど、こういう物は笑いと共に読んだ方が頭に入りやすいのかもしれない。
西谷久太郎(さいやくたろうとも読むw)は仕事途中、東京都庁で直下型大地震に見舞われてしまう。壊滅した街を潜り抜け、色々な局面を経て墨田区の自宅まで歩いて帰って行くのが主たるストーリー。途中強盗に会ったり瓦礫に埋もれた人を助けたりと、様々な局面に出会うのだが。その度に、なぜか都庁からずっと一緒に歩いてきた甲斐節男(かいせつおとことも読むw)が、正しい対処法やデータを細かに説明してくれる。だけど西谷はたびたび甲斐のアドバイスを無視し、トンでもない状況に陥ってしまう。必死に家族の元へ帰ろうと頑張れば頑張るほど災厄に巻き込まれてしまうのだ。その姿はどこか滑稽で、思わず笑みが浮かんでしまう。しかし終盤物語がまとまってくるにつれ、思わずぐっときて深く考えさせられる。震災直後、そしてしばらく時間が経って。一体何が、大事なのか。
ストーリーにはちゃんとオチが用意してあって、これもしっかりと楽しめる。さらに震災対策や心得までが書かれている上に、震災後に国や地方自治体がどんな保証をしてくれるかまでに言及されている。物語をしっかりと楽しみながら「災害時に本当に大切な事」を感じさせてくれる一冊でした。最後に、本作品から一節をご紹介させてもらいたいと思う。
「何事もなかったかのように、普通に振る舞う事こそ、災厄に対する人間の最大の抵抗である事。人はそうして何度も立ち上がり、明日訪れるかもしれない死を日常の光で遠ざけてきたから」
その通りだと思う。いつまでも打ちひしがれていては、誰も手を差し伸べてくれない。自ら歩みだそうとする者には、日常の光を信じる者には、必ず未来が訪れる。これまでも、これからも。
電子書籍
備えあれば患いなし
2018/05/12 03:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
事務機器メーカーのサラリーマンの奮闘ぶりが良かったです。震災時のシミュレーションとしても参考になる1冊でした。
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タイトルの通り自然災害の本です。
専門的な分析の本が読みたい方は、高嶋さんや石黒さんの本の方が良いと思います。
あくまでもノウハウ本として、読むのには良い本だと思います。
それと思ったよりも、被害が大きくなりそうなことにも驚く人が多いのではないでしょうか。
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大地震が起きたら。
時々は考える。そしてほとんど気にしていない。それはとても怖いことだった。もし今だったら??シミュレーションを怠らないようにしないとね。。
その時、その後、いろいろな場面で自分に恥ずかしくない行動がとれるだろうか??
火事場泥棒するかもしれない。助けを求めている人を見捨てるかもしれない。
どうするだろう………
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もしものときに役に立つかも知れない小説。
様々な脅威から身を守るための解説つき。
災害シミュレーション番組のノベライズのような感じで、福井晴敏らしさはあまり感じない
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いつか来るとは思っていたが、今日来るとは思わなかった。
愛知から東京へ引っ越すわけだが、
はたして先に来るのはどちらなのだろう。
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薄かった。本も内容も。
漠然と知っている、どこか聞いたことのある話しを、少しだけ掘り下げてくれる本。小説部分と解説部分に分かれており、余計に内容を中途半端にしてしまった感がある。
今まで読んできた福井氏の本とは趣の異なる本。ご注意あれ。
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被災後、打ちひしがれて差し伸べられる支援の手を待っているだけでは、様々な支援は受けられません。自ら救いを求めて行動していかなければならないことがわかりました。本のサブタイトルが「いつか来るとは知っていたが、今日来るとは思わなかった。」で、まさに地震が起こることは知っていても震災時や震災後の対策している人はそう多くないと思います地震災害によっておこる事態について考えさせられる一冊でした。
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東京直下型地震が起こったらどうなるかをシミュレーションした小説。
ページが少なめでサクッと読めたのはよかったがオチが微妙。
これならアニメの東京マグニチュード8.0をみた方がためになると感じた。
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若干物足りない。理由は二点。
主人公の視点に乗り切れず、東日本大震災の惨状を知ったあとでは、震災の悲惨さがイマイチ伝わってこないこと。
そして、結末が尻すぼみ、さらに家族の再生話も半端に入ってくることで、印象が弱くなっていることだ。
ただ、書き出しの「ついに」という箇所は、誰もが感じることだろう。
薄れがちな危機感を保つには、少しは役立つかもしれない。
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原発、震災コーナーで発見。福井晴敏が震災の本も書いてたんだ!と読んではみたものの、ほかの作品とは別物なのね。
でも、地震対策の意識付けにはなりました。
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【東日本大震災関連・その24】
(2011.09.08読了)(2011.08.28購入)
古書店で見つけて購入しました。3月の東日本大震災がなかったら手に取ることのなかった本でしょう。
3月11日には、所用で岩手県の沿岸南部に帰省していたので、首都圏での帰宅難民のことは、よく知りませんでした。3月末に上京して、同僚に聞いて、首都圏も結構大変だった、ということを知りました。
会社にとどまって翌日に帰った人、家族が心配なので、途中まで歩き、動き出した私鉄に乗って、残りは電車で帰れたという人、さまざまでした。
みんなで電話を掛けるので、携帯電話は会話用には使えず、メールだと何とか使えたとのことでした。
想定外だったのは、JRが運転停止を決めたために、首都圏に向かって、旦那さんを迎えに奥方たちの車が殺到し、道路が車で埋め尽くされてしまったということでした。
本題に戻りましょう。この本は、首都圏直下型地震が起こったらどうなるかという、シミュレーション小説です。単行本は、2007年8月に刊行されました。
章立ては以下の通りです。
第一章、大地震発生!どうしよう。
第二章、線路も道路も通行不能!どうしよう。
第三章、コンビニで火事場泥棒に遭遇!どうしよう。
第四章、瓦礫の下から老婆の声!どうしよう。
第五章、町が、家が、燃えている!どうしよう。
第六章、築一年の我が家が倒壊!どうしよう。
第七章、生き延びた・・・で、これからどうしよう。
主人公は、西谷久太郎(にしたにひさたろう)、別名さいやく(災厄)、都庁に出入りしている営業マンです。扱うのはデスクの天板に敷くマット。
今日(10月16日(火))も都庁にやってきて、夕方6時半に下向きエレベーターに乗って帰ろうとしてた時に強い地震に見舞われ、エレベーターに閉じ込められた。
エレベーターは、強い揺れを感じると停止し、いちばん近い階に移動し扉が開くことになっているはずが、扉は開かなかった。エレベーター会社に連絡して、開けてもらうしかないのだが、都庁には、エレベーターのメーカー社員が常駐しているのだそうです。
閉じ込められた人たちに連絡を取り、老人子供女性などが閉じ込められているエレベーターを優先するのだとか。
西谷さんが閉じ込められたエレベーターは男性だけだったので、いちばん最後となった。西谷さんは、エレベーターの中で甲斐節男(かい・せつお)と知り合った。別名、解説男です。あれこれと解説をしてくれます。
地震は、マグニチュード7.3で、新宿区での震度は、6強でした。
電話は通じないし、電車は止まっているし、家族が心配なので、西谷は、自宅のある隅田川の向こう側の京島まで歩いて帰ることにした。
中野あたりのモクミツ地域では、火災が発生している。モクミツは、木造密集のことです。
●家屋の焼失(52頁)
東京都防災会議の想定では、マグニチュード7.3の地震が起こった場合、都内で全体の約11%にあたる31万棟の家屋が焼失し、焼失面積は約98平方キロメートルに及ぶとされています。
●帰宅困難者心得十か条(77頁)
1 あわて��騒がず、状況確認
2 携帯ラジオをポケットに
3 つくっておこう帰宅地図
4 ロッカー開けたらスニーカー(防災グッズ)
5 机の中にチョコやキャラメル(簡易食料)
6 事前に家族で話し合い(連絡手段、集合場所)
7 安否確認、ボイスメールや遠くの親戚
8 歩いて帰る訓練を
9 季節に応じた冷暖準備(携帯カイロやタオルなど)
10 声を掛け合い、助け合おう
上記+「ペットボトル入りの水」「現金」
(地震の時どこにいるのかは、わかりません。会社にいるか、出勤途中か、帰宅途中か、自宅にいるときか、休日で普段と違うところに出かけているかもしれません。出張や旅行の場合もあります。とすると、防災グッズは常に持ち歩くしかないのでしょうか?歩くときは、両手を自由にしておきなさい、ということなので、リュックを背負って歩くのが一番でしょうか。)
●流言に注意(91頁)
「根拠のない流言に騙されちゃだめです。信頼していいのは、自分で聞いたテレビやラジオの情報と、警察の街頭放送のみ」
●液状化(94頁)
「沖積層は地震の揺れを増幅しやすい地盤です。従って、下町は当然揺れが大きくなる。震動によって地中の土砂や地下水が地表に押し上げられ、地盤が軟弱化する液状化現象が起きることも十分考えられます。」
(3.11でも浦安あたりがずいぶん液状化したようです。)
●支援は3日目以降(121頁)
震災の規模にもよるが、水や食料などの支援物資が届くのは、おおよそ発災後三日目以降といわれている。この間の命は、オノレで何とかせねばならないのだ。
この本を、東日本大震災前に読んだ人と震災後に読んだ人では、評価が分かれるのではないでしょうか?今読めば、ずいぶん現実的で、ためになりそうです。
(2011年9月12日・記)
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いつか確実に来るけど、みんなそんなに真剣に考えていない大地震。
保険の次は震災対策について考えておかねばならないなあ…。
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大震災が起こった時のシミュレーション小説。
読み終えた後、主人公の男のことは決して笑えない。
非常時の人間の動きをリアルに描いている。
人がたくさん集まる、首都圏ならではの災害の怖さが妙にリアルに感じた。
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震災前に読んでいたら、無謀にも秋葉原から自宅まで歩いて帰ろうと思わなかっただろうか?
当事者になってみて、この本に出会ったが、当時感じていた感情や思いがまざまざとよみがえるようだった。
描写にリアリティを感じ、震災当時を思い出した。