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電子書籍
京都名庭を歩く
著者 宮元健次 (著)
日本一の観光地・京都でとりわけ見所の多い珠玉の庭園群。最新の研究成果を盛り込みながら、世界遺産を含む27名庭を新たな庭園観で描く。庭園リスト・詳細データ付き。
京都名庭を歩く
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京都名庭を歩く (光文社新書)
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紙の本
著者の推理がさえ渡る京都案内の隠れた決定版
2007/05/12 10:42
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る
この新書本は、書店でよくみかける観光ガイドブックよりも、はるかに深く京都の庭園の味わい方を教えてくれる。これは著者自身あとがきにも述べていることなのであるが、全面的に肯定したい。よくある写真中心の観光ガイドブックでは、目的地に行って「ああこれが有名な龍安寺の石庭ね」で終わってしまうだろう。
しかし、本書に目を通した後ならば、誰がどのような目的で造営し、なぜこういう設計にしたのかなど、一見しただけでは分からない深い情報を持っているので、ほかの観光客とはひと味もふた味も違う見方をできるようになっているはずだ。
きっと、各庭園での滞在時間もふつうの観光客の数倍に及ぶに違いない。平等院、金閣寺、桂離宮など、著者の示した見方を、細部に至るまでなぞるだけで、あっと言う間に時間が経過するだろう。
モノクロではあるが、写真も配置されている。しかし、それ以上に、本書の価値を高めているのは、必要な情報だけを盛り込んだ図版を多用することで、名所旧跡やその庭園にこめられた意味がうまく浮かび上がるように工夫されていることだ。写真では全体を写し得なかったり、不必要な情報が多すぎたりするものだ。図版化することで、つかみとりにくいポイントが鮮やかに目に飛び込んでくる。
そして、本書の真骨頂は、著者による様々な「推理の試み」だろう。各種文献にあたりながらも、著者ならではの目で庭園をながめる。そして、大胆な推理をしてみせて、通説にとらわれない見方を披露する。この推理がすこぶるふるっているのだ。特に、庭園の作者の造営時の心境を推し量る部分では、歴史小説的な味わいも読者に与えてくれる。作られたときの時代状況や当時の人間関係が目に浮かぶ思いがするのは、歴史ファンもうならせるに違いない。
この著者に感心するのは、こういった細部にいたる描写や複雑な
人間関係を描きながらも、すらすらと読ませてしまう文章のうまさだ。決してむずかしい言葉は用いないし、文体も凝っていない。シンプルな文章だ。なのに読者をグイグイ引きつける文章になっている。こうした著者こそ、本当に文章がうまい人と言うのではないだろうか。このような本を新書で読めるありがたさを感ぜずにはいられない。
京都観光におでかけの際には、ぜひともあらかじめ本書を読み終えておくことをお勧めしたい。
紙の本
庭
2024/02/13 05:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
京都の庭園に特化した紹介本。感じ方は人それぞれだがどのような見方をするかの解釈を指導されている。参考としての手引きとなる。
紙の本
陰謀史観
2020/10/27 07:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
処分のために再読。
庭を語っているのに、写真が全く不足している上に、日本庭園の基礎知識等の説明はなく、純粋に庭の鑑賞方法等を知りたい方は避けた方が良いと思われます。内容は、京都の27名庭の歴史や作庭意図等の深読みです。庭はあの世の再現であるとし、「あの世」「滅び」といった概念で捉え直したのだと著者自身が自画自賛しているとおり、独善的であり、謎解きめいた内容になっています。陰謀史観好きの方向けの本という印象です。個人の一所見として参考程度に読む本です。私は純粋に庭の鑑賞を楽しみたいので、あまり好みの本ではありませんでした。
庭の鑑賞方法を学ぶには、重森三玲氏の孫である重森千青氏が書いた「日本の10大庭園」をお勧めします。