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空の彼方
著者 著者:菱田 愛日
王都レーギスの中心部からはずれた路地に、隠れるようにある防具屋[シャイニーテラス]。陽の光が差し込まない暗い店内に佇むのは、女主人ソラ。彼女の店には、訪れる客と必ずある約...
空の彼方
商品説明
王都レーギスの中心部からはずれた路地に、隠れるようにある防具屋[シャイニーテラス]。陽の光が差し込まない暗い店内に佇むのは、女主人ソラ。彼女の店には、訪れる客と必ずある約束をかわすルールがある。それは、生きて帰り、旅の出来事を彼女に語るというもの。店から出ることのできないソラは、旅人の帰りを待つことで彼らと共に世界を旅し、戻らぬ幼なじみを捜していた。 ある日、自由を求め貴族の身分を捨てた青年アルが店を訪れる。彼との出会いが、止まっていたソラの時間を動かすことになり――。これは、不思議な防具屋を舞台にした心洗われるファンタジー。
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紙の本
やさしい光の照らす場所
2010/01/24 13:02
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
真っ暗な細い路地を入った先にある建物の地下にある防具屋シャイニーテラスの客になるには、3つの約束を守る必要がある。シャイニーテラスのある街レーギスに住んでいること、レーギスに帰るために最大限の努力をすること、帰ったら店に顔を出し旅の出来事を語ること、の3つだ。そして店の壁には、未だ帰らざる客たちの名前を書いたメモが張られ、店主であるソラは彼らの帰りをじっと待っている。
こんな防具屋のカウンターで語られる、世界の出来事と帰る場所を持つ人々の物語。
籠の鳥という言葉は不自由の象徴ではあるけれど、籠が外敵から中のものを護ってくれているという事実も見逃してはならない。そこには、一方的ではあるけれど愛情があり、それを受け入れるのであれば、籠の中にいることは不自由という訳ではない。なぜなら、それを自分の意思で選択したのであるから。
ある意味、このお店で売られる防具は、世界で自由に羽ばたくための大きな籠の様なものかもしれない。飛び立った先でも自分を護ってくれ、帰る先の止まり木の存在を約束してくれる。このとき生じる帰ろうという想いが、最も強く自分を護ってくれるのかもしれないけれど。