「夢の国」の物語
2002/07/27 04:39
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る
20世紀最後の怪奇小説作家H.P.ラヴクラフトの全集の第6巻。この
巻にはランドルフ・カーターを主人公とする諸作と、初期のダンセ
イニ風掌篇を収録されている。収録作は以下の通り:
「白い帆船」
「ウルタールの猫」
「蕃神」
「セレファイス」
「ランドルフ・カーターの陳述」
「名状しがたいもの」
「銀の鍵」
「銀の鍵の門を越えて」
「未知なるカダスに夢を求めて」
前半の幻想的な物語群は、怪奇小説作家としてのラヴクラフトを期
待する向きには少々不満が残るかもしれない。自らのファンタジー
世界を舞台にした小品である。後半の諸作は、ラヴクラフトの分身
ともいわれる、神秘家ランドルフ・カーターを主人公としたシリー
ズだ。内容的には、もやは恐怖風味の冒険小説。楽しめる。例によっ
て、大瀧氏の詳細な作品解題はすばらしい。
さて、この全集は全7巻が予定されていた。本書の解説には、第7巻
と、さらに補巻も出るようなことが書かれている。第6巻が出てか
らすでに13年。これらの巻はどうなっているのだろう。ファンは首
を長くして待っている。
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「未知なるカダスを夢に求めて」という短編です。ごくまれにしか見れない整った夢を丁寧にまとめあげたらこんな話になるんだと思います。
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今までのラヴクラフト全集と違い、全ての話が繋がっているように思える一冊。
「未知なるカダスを夢に求めて」はかなり有名な一作ですが、他の「セレファイス」や「蕃神」なども面白いですよ。
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全集6の読みどころ
ダンセイニ風長編『未知なるカダスに夢を求めて』
『ラヴクラフト全集』の読みどころ
1930年代のパルプフィクション・ホラーの中から生まれ、みじかい活動期間でありながら、多数のフォロワーを今なお生み出しつづけている。
ラヴクラフトの面白さを、ぜひ知ってもらいたく選びました。
今すぐにでも彼の小説のガジェットを使って彼のフォロワーとなることができるのも、ハマリこめる理由の一つ。
初心者には特に、短編かつラヴクラフトらしい『ダゴン』がオススメ。
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クトゥルーの世界観が、テクストの平原を越えて自在に暴れまくる秀作「未知なるカダスを夢に求めて」収録。ペルシア神秘主義詩の最高峰アッタールの「鳥の会議」や、ボルヘスの「創造者」に、類似するオマージュが発見できる。国境と言語を越えてあらわれる神的存在は、旧態の神的なるものなのか否か…幻想文学の観点からも興味深いテクストのひとつ。
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クトゥルフ神話の開祖ラヴクラフト全集6巻。探究者ランドルフ・カーターが夢に見た夕映の都カダスを求めドリームランドを冒険する「未知なるカダスを夢に求めて」を大部分にすえ、「銀の鍵」「銀の鍵の門を越えて」「ウルタールの猫」「蕃神」「名状しがたいもの」ほか読み逃せない作品を全9作収録。
クトゥルフに本格的に興味持ったのはLiarsoftのスチームパンクシリーズからだったので、それだったらドリームランドものだから6巻読むといいよというアドバイスに従い、本当は2巻を読みたかったのですがこちらを先に読んでみましたらこれがなかなか! 面白かった! セレナリアをプレイした人なら「セラニアン」 インガノックなら「インクアノク」 ソナーニルなら「ソナ=ニル」に反応できるはず、そして何よりランドルフカーターにね!
6巻の半分は実は「未知なるカダスを夢に求めて」で、他の8編は銀の鍵の門を越えてがちょっと長いくらいであとは掌編ばかりですごく読みやすかったです。ウルタールの猫は猫好きにはたまらないでしょうね~猫自体がランドルフの味方で、にゃんこに助けてもらいたくなります。にゃん。「名状しがたきもの」もなかなかですが「ランドルフ・カーターの陳述」がホラーとして傑作だと思います。
「未知なるカダスを夢に求めて」は面白いのだけど会話文とかの起伏が無いに等しいので想像力で補わなくちゃいけないのがつらいですねー淡々としてます。まあ翻訳だから仕方ないけど… 最後の展開に一気に惹きこまれましたね~ナイアルラトホテップに騙されてからノーデンスに救われるまでの宇宙的な描写にただただ圧倒されました。ネタバレになっちゃうんですが、求め続けた夢の場所が幼き日の故郷の風景ってのがすごく真理だなぁ…なんて思いました。
次読むなら二巻!ちょこちょこ読んでいきたいからやっぱり買った方がいいかしら。
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ランドルフ・カーターの一連の作品「銀の鍵」「銀の鍵の門を超えて」「未知なるカダスを夢に求めて」がなかなか面白かった。
今までの作品と比べても冒険してる感じが強く幻想的な雰囲気もよかったです。猫最強w
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第6巻。
資料の収録は無し。『ランドルフ・カーターもの』と呼ばれる一連の作品を中心に纏められている。
とはいえ6巻に関しては、『初期のダンセイニ風掌篇』の方が好みだったりする。長編『未知なるカダスを夢に求めて』も冒険ホラー小説としては面白いと思うのだが……。
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ランドルフ・カーターを主役とする一連の物語が集められた一作。恐怖小説というよりは冒険譚のようなものもあるけれど。やはり根底にはわけのわからない恐怖があります。
お気に入りは「ウルタールの猫」。猫好き万歳。おそらく一般的な視点ではこれは怖い話なのかなあ、と思いますが。そうは思わないのが猫好き。そりゃ猫を殺していいわけがないって! ちなみに壮大な冒険譚「未知なるカダスを夢に求めて」にもこの猫たちが登場するので、ついついにやけてしまいます。ラヴクラフト、本当に猫好きなんだなあ。
恐怖を感じた作品ということでは、「ランドルフ・カーターの陳述」がお気に入り。ラストの一文が……怖い!
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全集⑤巻まで続けて読んでおきながら、
その後スルーした⑥巻を今頃。
ジーン・ウルフ『書架の探偵』読後、猛烈に気になり始めたので。
理由は↑これ↑をお読みの方には何となくおわかりいただけるかと。
春日武彦先生の書評エッセイ集『無意味なものと不気味なもの』で
「ランドルフ・カーターの陳述」ネタばれレビューを読んで
敬遠していたのだけれども、猛烈に実地確認したくなったので。
内容はランドルフ・カーター・シリーズとも呼ぶべき
一連の中短編と、その魁となった初期作品。
面白かったのは下記の二編。
■ランドルフ・カーターの陳述(1919年)
行方不明になった友人ハーリイ・ウォーランについて
問い質され、経緯を語る青年ランドルフ・カーター。
無線機で会話しつつ、
墓地の下の奥深くへ侵入した友人が見たものとは。
■銀の鍵の門を越えて(1933年)
エドガー・ホフマン・プライスの習作に
ラヴクラフトが大幅に手を加えて
仕上げたという「銀の鍵」後日談。
失踪したランドルフ・カーターの財産相続人たちの会議。
当惑する列席者をよそに、
ランドルフの現況を滔々と語るチャンドラプトラ師だったが……。
時間は不動で終わりも始まりもなく、
過去・現在・未来はすべて同時にあり、
ランドルフ・カーターは
窮極にして永遠なる彼自身の一局面として
あらゆる時代に遍在する――という考え方が興味深い。
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白い帆船★3
楽園を目指した灯台守。この結末は、今いる世界こそが楽園であるという示唆なのか。
ウルタールの猫★3
HPLは猫好きだったのかしらん。ウルタールという地名は、この後の話でも出て来る。
蕃神★3
思い上がった賢人バルザイ。神の怒りに触れる展開は素直すぎるほど。
セレファイス★2
夢の中で楽園に行くというパターンが新鮮味がなく。
ランドルフ・カーターの陳述★3
墓から入っていった地下にいる友人と電話で会話するシチュエーションは不気味。
名状しがたいもの★3
モンスターよりも、夜が更けるまで怪奇話を墓石の上でし続けた彼らが怖い。
銀の鍵★3
これは重要アイテムですね~。銀の鍵。時間を超えてとある秘密の部屋に入れるようです。
銀の鍵の門を超えて★4
今までのHPLの小説の中で一番壮大で、わくわくして面白かった。ここまで次元や宇宙を超越した描写はなかなかない。これまでの短編の話のエッセンスの記憶を時々刺激されることもあいまって、ここまで読み続けてきた甲斐があったと言えるだろう。
未知なるカダスを夢に求めて★2
今までの話の集大成!読み始めはなるほど、そういう企みだったのか!と感心したが…。長いよ。長すぎる。もう長すぎてうんざり。結局、カーターは何しに行ったんだ?
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薔薇の眠りを越え、いざ窮極の門へと至らん。
やっと銀の鍵の元ネタまで来ました。ランドルフ・カーターが登場する話をまとめてある一冊。FGOのアビーちゃんは、ランドルフの持ってた銀の鍵がひとの形をとったもの、って認識でいいんすかね。
「白い帆船」「ウルタールの猫」「蕃審」「セレファイス」「ランドルフ・カーターの陳述」「名状しがたいもの」「銀の鍵」「銀の鍵の門を越えて」「未知なるカダスを夢に求めて」の九作。銀の門の鍵が中編、カダスが長編で、あとは短いです。ぽつぽつ世界が繋がってる感じ。
ラヴクラフトが猫好きってのはどこかの解説に書いてあったけど、ほんとに好きなんだね。猫最強じゃん。思わず膝の上にいる黒猫なでなでしながら読んじゃうじゃん。
カダスがなんかほかのと違った感じで、きちんと冒険してるなぁ、と。まあ夢の国の話だけど。クラネス王が目覚めることができなかったのは、戻る身体がもうなかったからだけど、ランドルフには残ってたってことか。食屍鬼さんとか夜鬼さんたちがどうなったのか気になります。見た目があれなだけで、あの子らが死んじゃうのはかわいそうだなぁ。あと、最後、ニャルさま何しに現れたのか、いまいちよくわかんなかったです。ニャルさまが言ってたことは事実なの? 地球の神々を連れ戻してもニャルさまとしては問題なかったのかな。カーターを罠にかけようと道を教えて、教えた先に困難を用意したけど、カーターがそれを乗り越えてしまったから、ラスト神々に八つ当たりしたってことですかね。それとも普通にカダスを留守にしてた神様たちを怒ったの?
抜粋。「未知なるカダスを夢に求めて」より。
「ヘイ、アア=シャンタ、ナイグ。旅立つがよい。地球の神々を未知なるカダスの住処におくりかえし、二度とふたたび千なる異形のわれに出会わぬことを宇宙に祈るがよい。さらばだ、ランドルフ・カーター。このことは忘れるでないぞ。われこそは這い寄る混沌、ナイアルラトホテップなれば」
「ヘイ、アア=シャンタ、ナイグ」の意味が分からない。
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6巻は、後に「ドリーム・サイクル」と呼ばれる世界観に統合されるものを舞台やネタにした作品を収録。
そして、クトゥルフ神話とドリーム・サイクルの世界観を統合した、前期ラヴクラフト神話の集大成とも言うべきファンタジー大作『未知なるカダスを夢に求めて』。夢の世界で苦しみながらも自由に大冒険を繰り広げるというヤングアダルト的なその内容は、ラヴクラフトの当時の状況を知ると、以前の苦境から解放されたであろう彼の心境を表していると、どうしても勘ぐってしまう。
【アザトース、異形の神の幼生、下級の異形の神たち(蕃神)、バステト、ノーデンス、ニャルラトホテプ(暗黒のファラオ)、ロビグス】
《ズーグ族、ノフ=ケー(グノフケー)、夜鬼(ナイトゴーント)、食屍鬼(グール)、ドール、ガグ、ガスト、月棲獣(ムーン=ビースト)(蟇じみた月の生物)、シャンタク鳥、飛行するポリプ、レンの男、レンのクモ》
(収録されている一編、邦題の『蕃神』は端的に言うと「渡来神」。原題の『The Other Gods』を直訳すると「(他の、もう一つの、向こう側の、過去の、)神々」。素直に受け取るなら外なる神、または旧支配者を指すと思われるが、正体はやはり這い寄る混沌とその下につく存在なのか。)
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2020.4.9読了。描写がイマイチよく分からない神話存在が原作だとどんななのか知りたくて読んだが、なるほど分からん。もう自己解釈でいいや。でもねちっこい装飾的な描写は大いに参考になった。今後の創作に反映するぞ。猫集会を見てたのは少年期のアタルだったのか。そしてウルタールの法を作ったのはバルザイだったんだな。猫の描写細かいというかなんというか猫贔屓が凄い。特に「未知なるカダス〜」での猫贔屓は凄い。均整のとれた健やかな猫の姿がまさに眼福とか…なんかもう凄いな。黒猫飼ってたのか。出てくる黒猫のモデルはみんなこの黒猫らしい。というかドリームランドの猫は隊を組むし階級はあれどあくまで四足歩行の猫なんだな。人側が猫語を話す描写はあったけど猫側は人語喋る描写無かったな?そしてラストにまで堂々と登場だ。知ってる神話存在が出てくるとワクワクする。原作のニャル様はこういう口調なのか!元ボストンの画家で今は夢の国で食屍鬼に成り果てたリチャード・ピックマンという存在を知った時、あの絵を描いたのこいつじゃないか?と思ってしまった。そういう事にしよう。黒人は夢の国でも奴隷なんだな。他の巻にも興味が出てきたから機会を作って読みたい。
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なんか、スッカスッカの脳内空間に
薬液付けた指をソロリソロリとねじ込まれていく感じだ
しかも抵抗出来ない。
堪能せよ、無限地獄を。