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古代からの伝言 民族の雄飛
著者 著者:八木 荘司
東アジアの覇権をかけて激突する強国・高句麗と古代日本。「好太王碑」が伝える戦いの全貌を明らかにし、巨大古墳で有名な応神・仁徳天皇の時代を描く。正史「日本書紀」の世界を再現...
古代からの伝言 民族の雄飛
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商品説明
東アジアの覇権をかけて激突する強国・高句麗と古代日本。「好太王碑」が伝える戦いの全貌を明らかにし、巨大古墳で有名な応神・仁徳天皇の時代を描く。正史「日本書紀」の世界を再現する人気シリーズ!
※単行本『古代からの伝言 悠久の大和篇』(二〇〇一年八月、小社刊)「第三部 民族の雄飛」を分冊し、文庫化したものが底本です。
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紙の本
古墳に名を遺す天皇と古代朝鮮半島との交流
2007/02/11 21:38
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
珍しくも古代史を小説仕立てで探索する書である。古代史の小説といえば最近亡くなった黒岩重吾であろう。本書は八木荘司が書いたものを分冊した際の一編である。
古代でも聖徳太子、大化の改新、壬申の乱あたりの歴史は黒岩重吾のお陰で、私にとってはかなり馴染み深いものになっている。しかし、それ以前となると、全くわからない。
黒岩重吾が著したことのあるのは、継体大王の伝記風小説だった。これは読んだがそれ以前となると本当に闇の中である。しかし、一方で大王を補佐する豪族の長は、長い時代の流れの中で勃興を繰り返しているようだ。
中朝国境の鴨緑江沿いにある中国の集安という町に、有名な高句麗の好太王の碑が建てられている。この碑文には記録として貴重な倭国の行動などが書かれている。この時代の倭国の動静は、これ以外に記録がないという。本書はそこから始まっている。
この時代は西暦400年くらいのことである。この時代の日本の動きは記録がないだけに全く分かっていない。最も顕著な例が、神功皇后の存在である。学会ではこの皇后の存在は架空であるという定説があるようだが、著者は存在すると主張する。神功皇后は女帝ながら、力強いリーダーシップを発揮して、臣下を率いていたという。
この時代のことはこれだから面白いのである。小説家の腕の振るいどころである。歴史書ではこうはいかないところが、これは小説であるから小説家の自由である。他の史料との整合性が取れて読者を納得させられれば、内容は思いのままである。
全く分からない時代、神功皇后、応神天皇、そして名の知れた仁徳天皇などの時代である。これらの天皇の名前は堺市に遺されている古墳でしか聞いたことはない。古墳に名を遺す天皇が日本国内だけではなく、古代朝鮮半島に勃興した古代国家との外交に苦心する姿がなかなかに興味深いのである。
好奇心を掻き立てる著者の作品はシリーズになっており、以降がますます楽しみになってきた。