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投稿者:零 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「やっぱり京極先生の書く女性は艶っぽいなー。」
とか
散々沢山の自分に逃げまくった挙げ句、最終的に逃げ切れなくなった本。
歌舞伎の演目にこれがあったら見たいです。
登場人物がどれもつかみどころがない異様な人物ばかり
2023/01/07 16:51
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸時代の怪談話を元にした創作らしい。同趣向の「笑う伊右衛門」に続く第2弾である。とても恐ろしい話である。登場人物がどれもつかみどころがない異様な人物ばかりである。文体が「語り」となっていて、本当に怪談話を聞かされているようである。
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2008/6/28 Amazonにて購入。
2014/1/20〜1/25
第16回山本周五郎賞受賞。
嗤う伊右衛門に続く怪談シリーズ第二弾。山東京伝の「復讐奇談安積沼」が底本。解説にもあったが、京極さんの文体のリズムが素晴らしい。このリズムに乗せられて異界にズビズビと連れていかれるんだよなあ。やっぱり巧い。
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「嗤う伊右衛門」に続く、京極夏彦の怪談第二弾。
何も言わず、ただ一寸五分の隙間を残して押入れに閉じこもる男。小平次。彼は希薄になりたいと願う。自分でいることが精一杯だから、仕事の役者もへたくそである。唯一、演じることができるのが幽霊の役である。いや、演じているのではない。そのままですでに幽霊のようなのである。その彼を巻き込んで起こるある事件。そして歯車は動いていく。
彼を取り巻く他の登場人物は反対だ。己とは何かを探して足掻く。それは美しくあることや、人を斬ることであったりする。そして最後には自滅していく。
一方、小平次は、死んだだの幽霊として出てきただのの噂を振りまきながら、やはり押入れの中からじっと外を見つめている。何も変わらない。
目次はそれぞれ登場人物の名前となっており、彼らの名前はさまざまに変化する。それは人様からみた名前であったり、本当の名前であったりする。それが心境の変化などを表している。各章は、その章に名前が付けられたものからの視点となっており、一つの物語を実にさまざまな角度から眺めることができる。
暗く物悲しい話ではあるが、しかし最後はありのままを受け入れ、なぜか心休まるのような不思議さがある。
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ただ其処に居るという恐怖。
やっぱり夏彦先生の描かれる女性が言う、「大っ嫌いだ」という科白が大好きすぎるなぁと思いました。
皆大好き、小股潜りも登場なさいます。
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小平次は、何時も然うしている。
感想:http://tomtomcom.blog73.fc2.com/blog-entry-682.html
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誰からも嫌われる幽霊役者・小平次と彼の周囲で繰り広げられる群像劇?っていうところですね。なんか段々小平次がよだかの星のよだかに見えてきた、あまりの嫌われっぷりに。
小平次については何も知らなかったんですが、もともとは山東京伝の読本の登場人物みたいですね。それを鶴屋南北が歌舞伎にしたらしい。てことは嗤う伊右衛門と同じ手法で書いたのか。治平さんは出てくるけど、又市は会話以外には登場しなかったな……
読んでいると複数の事件が浮かんできてどう繋がるんだろうなあと思わせられます。結局血みどろな結末になっちゃうんですが、お塚が「大っ嫌い」だけど「昔」ではない、「今」である小平次を選んでさっぱり生きてるのが好きだなあ。
小平次が過去を語るくだりも結構好きです。人は語ることによって形を得る語らなければ、騙らなければ何も無いんだ――治平が小平次を助けたわけですが、せっかく語り始めたのに……っていう情けが生まれたからで、ああ、いいなあとオモウ。
やっぱり京極さんの文章はいいねー。ほんとほれぼれしますや。
さて次は記念すべきブクログ100冊目ですよ。
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怪談シリーズの2作目。語り手の視点が話ごとに移っていきながら、物語は進む。巷説シリーズのキャラにも出会える作品です。
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再読を重ねていないせいかどうも心に残ってないんだよね〜。
面白くないわけじゃないんだけど、あっけなかったっていうか。
もっと別の見方で迫ると化けるかもしれない、私の中での印象が。
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久しぶりの京極作品。これは哀しくておかしくて、不思議な夫婦のラブストーリーだと思う。夫婦の愛情には、こんな形もあっても良いのかもしれない。
ずっと押入れの中に篭って、一寸五分だけ襖を開けて、妻のお塚を覘いている幽霊役者の小平次。お塚は気味が悪くて仕方がない。大っ嫌いだ、うすのろだと小平次をののしる。ある日そのろくでなしの小平次に、芝居の巡業の話が持ち込まれて、それに出かけていく小平次。その芝居の裏には、百物語シリーズの又市や事触れの治平らが携わる捕り物などもあったりして、なかなか楽しめる。治平がこの物語の裏方として活躍してくれるのも楽しい。
治平の言った言葉が好き。「信じるってこたぁ、騙されても善いと思うこと。真実ってなぁ、全部騙された奴が見る幻」。いちいち、チクリと刺さる。
死んだように生きている小平次と、生きながら死を望むお塚。ののしり、言葉も交わさず、ただそこに「いる」というだけの存在の小平次が、たぶんお塚には、うれしいのだろうと思う。これはこれで、夫婦の愛情なんだろうと思う。
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意味と価値のない人生を
目的のために生きるが
異様な登場人物たち
と
意味も価値もない人生を
目的もなくただ生きている
小平次
との物語
(2008/11/19)
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この話の元となった古典怪談を知らなかったので、「家政婦は見た」的な内容だと思い込みながら読み始めたら・・・(当然ですけど)ぜんぜん違う!京極夏彦さんらしい、ぞわぞわして後を引くお話です。少し前に巷説シリーズを読んだせいか、番外編のようにも読めました。
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登場人物たちの胸のうちにある憤懣と憎しみ、欲望と執着、裏切りと猜疑が淀み、溢れ、渦巻きながら物語は進んでいきます。しかしながら、主人公である幽霊役者小平次の心は、初めから終わりまで自暴自棄を通り越して常に空ろです。生きながらにして死んでいるのとかわりません。人間の醜さ、弱さが混沌と絡み合い、繰り広げられる凄惨で哀しい物語。
あまりに面白いので、わぁっと最後までイッキ読み。
自分自身と向き合うことの恐ろしさ。自分の心の奥底をじっと見つめることの怖さを、あらためて痛感させられる小説でした。
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奇怪で軽妙、滑稽で生々しい、おどろおどろしいのに何故か悲しい、そんな話です。
ラストシーンは気味が悪いのに遣る瀬無い、こういう形の愛もあるのか、と思いました。
本当にストレートに題名そのままのお話です。未読の方は是非一度!
物語内の章のタイトルに注目して読んでいただきたいです。
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随所に巷説シリーズのあの方この方が出てきて、シリーズファンならにやりとすること請け合いです。
ただ、あるがままにあればいい。
表紙こそおどろおどろしいですが、読後感は爽やかです。