またまたあの人も出ます
2015/08/22 16:16
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投稿者:あなご - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公は林蔵、舞台は西国。
といいつつ、又市も百介も(ちらっとですが)出ます。関西弁の台詞がどこか人懐っこい印象を与えて、巷説としては新鮮です。ですが、気の置けない者同士の悪態はやっぱり京極作品だなあ、と思う。
最後の章の重苦しさ物悲しさと、先の物語へと繋がる一種の清々しさは、前と西の共通項でしょうか。行く先が明るい未来であるはずはないのだけれど、そちらへ踏み出すしかない二人の男の話。
最後はシリーズのオールスター登場
2019/03/02 04:16
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投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
シリーズ完結!今回の舞台は大坂。言葉とか地名とか、なんかやっぱり良かったです。また、悪い奴を『仕掛け』を使って懲らしめる手際は相変わらず鮮やか。最後の話はシリーズのオールスター版。ちょっと切なく、その余韻もええ感じでした。
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仕置き人に仕掛けられる側から見ると、こんなに恐ろしい目にあっていたんですね。身から出た錆と言えばそれまでですが、容赦ない追い込みに、若干同情を覚えてしまった。
しかし、本作で何に一番驚いたかと言えば、仕掛けられる側からしたら、百介はあの程度の存在感しかなかったことでしょう。百介の視点では、がっつり仕掛けに絡んでいるように思えましたが、やっぱり又市は、一線を画する付き合いをしていたんですね。百介が置いていかれる寂しさに共感を覚えていたので、この事実は知りたくなかった。
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ちょっとしたミステリーであり、どんでん返しが面白い。
最後の方で西巷説の西という意味がわかった。西とは上方、つまり関西が舞台なのである。シリーズでは第一作を読んだだけであったが、関西弁の粋な言い回し、あっと驚く話の展開、個性的な登場人物等一級品であり、十分楽しめる娯楽作品である。
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上方を舞台に又市の元相棒・林蔵の活躍を描く。柔らかな上方訛りのやりとりが楽しい。最終話に又市が登場するのもファンにはうれしい趣向。
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おもしろかった。と思う。ただ、物語の主が過去の人殺しを忘れているかのような展開に少々の違和感があった。
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性格的には又市より明るいはずの林蔵の仕掛けが、より容赦ないと言うか、内面えぐる系なのが良いですな。まだまだ書けそうやけど、ひとまず連載終了というのが残念!
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ようやく西巷説百物語が文庫化したんで読んだどー
今回は上方が舞台で、文蔵が話の中心。
毎話ともその話の中心となる人物の一人称で始まって…実はという形式。
伊右衛門や小平次といった長編のつくりに近いかも
相変わらず読ませるんだけど、ちょっと単調かなぁ…
文蔵が私の中であんまりキャラが立ってないこともあって、又市話に比べるとあんまりカタルシスを感じないんだよなぁ
…って、思ってたら最終話でそう来ましたか
しかし、このシリーズも新刊でるたびに、もう前巻で綺麗に終わってるのになぁと思いつつ読むと、うまいことつなげてくるんだよなぁ。
蛇足が見事すぎて、そういや蛇って足あったよなぁって思わせる感じ。
面白いシリーズなんでおすすめ(とくに最初の二冊の構成はすばらしい)
よし、次は数えずの井戸の文庫化待ちやっ
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2013/4/10読了。文章ストーリーキャラクター全てが好みであり、最高品質。多少御都合主義的嫌いはあるが、それを補ってあまりある魅力。唯一無二の作家。似た作風のフォロワーは数多くあれど、そんな有象無象とはモノが違う。死ねばいいのに、とか書いてる場合ちゃうで。これで終いの金毘羅さんや。
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読んでから気付いた、自分まだ「前巷説」読んでない。それゆえ理解出来なかった部分とかはないと思いたい。
直球でどす黒いエピソードが多かった今作だけに「豆狸」の普通にいい話がいい味出していた。読み終わるまでもう一段オチがあったらどうしようかと不安だったけど。
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この作家さんの小説を読んだのは、「嗤う伊右衛門」に続き2回目だと思う。2作とも、怪奇の裏にひそむ、人間の剥き出しの感情・欲が、なんというか…「嫌らしく」なく、書かれているなぁと感じた。
普段生きていて、感情や欲を剥き出しにされたら、つい目を背けてしまうと思うが、そういう嫌な感情や欲を剥き出しにした人間を、切なく哀しく感じる…上手いなぁと思った。
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今回は又市ではなく林蔵がメインのお話
構成としては一作目の巷説百物語に近い感じかな
私が巷説に慣れてしまってるせいもあるのかもしれませんが、仕掛けが簡単な気がしてしまいました
それでも、やはりこのシリーズは面白いですが
『豆狸』は一番切なかった
『野狐』は又市や百介も出てきてシリーズのファンには嬉しかった
林蔵もいいけど、やっぱ又市の方が馴染みもあるし好きだなぁ
あと決め台詞(?)も又市の方が好きだな
このシリーズはこれで一旦終わりという噂も聞きましたが、またこの人たちの仕掛けを見れる日を待ってます
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「京極夏彦は巷説シリーズだけは外さない」という都市伝説を引き続き信じる気分にさせてくれる一冊。
その作風にブレはない。
もちろん、「京極堂シリーズ」も面白いんだけどね。出来に斑があることを認めないわけにはいかないよね。例えそれが単なる好みによる狭隘な偏見だとしてもね。
で、だ。
このシリーズの何が好きかって、人間をとてもよく描いているからだ。
しかも、どこにでもいるんじゃないかっていうくらいに普通の人。
そういう人が、欲やら業やら情やら憎やら愛やら哀やらによってちょこんと道を踏み外す。
それはとても哀しいことだ。だからオレは人間を愛おしいなぁと思えるのだけども。
結局オレはそういう話が好きなのだ。
このシリーズでは靄船の林蔵が主人公になっていて、これがまた普通の人なのだ。スルっとした優男で人当たりがよく、女子供に人気があるけれども、実に普通の野郎なのだ。
その普通のヤツが仕掛ける相手の懐にスルっと滑りこむ。
これは同シリーズ別作の主人公、御行の又市とはまたぜんぜん違うアプローチを成している。
又市が「人が縋りたいという気持ちを掴む」ことによって心情を詳らかにしていく存在なのに対して、林蔵は「いつの間にか相手の懐に潜り込んでる」ことによって心情を暴く存在。
この対極は本当に面白い。もちろん京極さんは狙ってやっているのだろうけども。
そんな林蔵も最後の一遍「野狐」で自分の過去を仕掛けに使うことになる。
その最後の描写がいかにも物悲しくて、痛烈な皮肉に満ちていて、林蔵がもの凄く人間らしい人間である事を知ることになる。
うん、巷説の中でもかなりお気に入りの一冊になった気がする。
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江戸時代 商人の町 大阪を舞台に、仕掛け、騙し、芝居し、舌先三寸で、ターゲットの本音を引き出し、業を解き放つ。
そこに人の心に巣くう闇が、哀しい因縁が、あばかれる。
人の業を理解し、許しのこころも持つ林蔵たちが、人の哀しさを浮かび上がらせてくれる。
「これで終いの金比羅さんや―」
又市や林蔵たちとはもうこれで会えないのか?
「終い(しまい)の金比羅さん」 は、「金比羅大芝居(しばい)」の洒落だけど、いつからあったのかなぁ。。。
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哀切漂う人の心の動きを描いた物語。百鬼夜行シリーズにならび大好きな百物語シリーズ。まあ、大好きというと少し誤解を招きそうですけどね。人の心の陰・迷いを妖怪になぞらえ読み解いていく。だけども一度惑ったものはぐらぐらと揺さぶられ、必ずしもハッピーエンドとは言えなかったり、というシリーズ。あっという間に読了です。
今回もハッピーエンドではない、というかなんだかそういう一括りにできないようなお話。引き戻せるポイントがあったのに、「本当にこれでええのやな?」と再三聞かれたのに、あちら側へ落ちてしまった人間の業とでも言うのでしょうか。
小股潜りの又市とはちょっと違う靄舟の林蔵の仕掛。仕掛そのものは又市のような派手さはないけど、けっこう容赦なく人の中の陰を抉るような。
唯一の救いは「豆狸」か。与兵衛が死んじゃうのか?とドキドキしながら読んでました。先代の心遣いが堪らない結末。「夜狐」は山岡百介に又市に御燈の小右衛門等懐かしの面々が。お話は哀しい限り。女の意地というか嘘というか。「桂男」出だしから良い人の話が最後にはすり替わって、忘れていた自分の罪を最後に背負い込むことになる話。「遺言幽霊水乞幽霊」これまた兄殺しを隠し通そうとして仕掛けられる。「鍛冶が嬶」過ぎたるは及ばざるがごとし。今風にいうならヤンデレ男。「夜楽屋」人形に魂を取られた男。芸のためなら、か。「溝出」庄屋の2代目又右衛門が救いようのない奴。鬼となった寛三郎は結果的にたくさんの人を救ったのだけど。人ゆうのは所詮わからんもんなんや。
「これで終いの金比羅さん」本当に終わりなの?もっと読みたいシリーズなんだけどな。