雰囲気は悪くないけど、観念的に相容れない。
2015/09/14 09:52
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投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
終わり方が非常に悪い。それまでの展開はわりとおもしろかったし、登場人物も生き生き描かれていて楽しめる作品だったが、最後でずどんと落とされる感じ。結末に関わるだけに具体的に書くことはしないが、とにかく後味が悪いし観念的に許せない終わり方だった。
そもそも作品中の近未来日本は相当おかしなことになっている日本ではある。生活保護法を廃案にしていたり、犯罪者を流刑にしたり。そういう社会で生きる少年。彼自身が人を殺すわけではないが、彼は人を殺した人間を庇い、犯罪を平然と隠してしまう。その神経にはおかしなものがあり、危うさを感じさせる。大げさに言えばこの少年の、そしてこの少年が生きる日本の未来は暗然としたものに思える。なごやかに明るく終わったように見えて、実はバッドエンドだと個人的には思う。ただし、人の見方は様々だから、この終わり方をハッピーエンドとみなす人もいるとは思う。
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社会福祉の大胆な切り捨てで経済大国に返り咲いた近未来の日本。警察の経費削減で捜査を委託された元刑事の幸祐は、夏休み中の孫娘・愛芽と共に、老婆の死亡事件が起こった山奥の福祉施設を訪れる。単なる事故死で片づけるはずが、クセのある施設の人々と接するうちに幸祐の刑事根性が疼きだして…ノスタルジックな夏休みの情景に棄てられた人々の哀しみが滲む傑作ミステリ。
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生活保護が廃止され、刑務所の数が減らされ、北硫黄島への流刑制度などというものができ、消費税は廃止されている。北朝鮮は日本の三か所にミサイルを落とし、中国は沖縄に上陸しようとしている。そんな想像に難くない状況の近未来が舞台なので、それだけでわずかに戸惑う。そんな時代の福祉施設で老婆が階段から転落死した事故、あるいは事件の捜査にやってきた退役刑事の幸祐と夏休みで遊びに来ていて運転手を買って出た大学一年の孫娘・愛芽である。単なる事故で処理して、愛芽を草津温泉にでも連れて行こうという目論見は崩れ、次から次へと面倒事に巻き込まれていく幸祐である。高校に通わせてもらっている由季也と父の殺人を目撃して以来声を失った中学生の蛍子のこと、厚労省からきている所長の山本夜宵とのほの甘いひととき。なにもない狭い村の狭い人間関係の中で、これほどの事件が連鎖しているとは俄かには信じがたいようなことが、芋蔓式に暴き出されていく。真相はこのまま闇に葬られてしまうのだろうか。由希也と蛍子のこれからが心配になる一冊である。
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うーん、何だろうなあ、これは。
私の最も好きな作家である樋口有介。
彼が第一回サントリーミステリー大賞で、故開高健氏より「コクがあるのにキレがある」といったような表現で絶賛されたデビュー作「ぼくと、ぼくらの夏」を初めて読んで以来、その独特のハードボイルド文体に魅了され、新作が出るたびに胸躍らせていた彼の最新作なのだが------。
探偵は、警察をとっくに定年退職した民間の老人。
しかも時代設定が不可解。
北朝鮮が日本に実際にミサイルを撃ち込み、そのお蔭で日本がバブル以来の好景気に沸いている時代という設定。
ラストなどは、某国軍が或る国の島に攻め入って上陸したという終わり方。
近未来小説なのか、これは?
貧しい人たちの福祉施設で起こった不可解な死亡事件。
目撃者の証言から謎は深まり、美しい施設長夜宵の存在もあり捜査にのめり込んでいく民間老人探偵一之瀬幸佑。
この施設には由希也と蛍子という幼馴染の少年少女もいた。
まず、キャラクターにそれほど魅力を感じない。
幸佑然り、由希也と蛍子また然りだ。
文章も、これだけの老人になるとハードボイルドタッチにするのも無理があるのか、作者独特のキレのいい文体ではない。
70の爺さんに色気を感じるアラサーの若くて美しい施設長というのも、
違和感ありありだ。
どことなく陰のある少年由希也と彼を慕う蛍子の心情の掘り下げも浅い。
うーむ。
最後のオチさえも、それまで張り巡らせえた伏線を、広げっぱなしにしたままで、全く回収する意図さえ見えない。
どうなんだろうね、これは。
ここ数年の作品は、どうにも今一つ楽しく読めなくなってきたのだが、ここまで来ると、もはやあきらめの境地だ。
樋口さん、沖縄に隠居したせいで年老いてしまったのかなあ。
もう一度、ヒット作の「柚木草平シリーズ」にでもチャレンジしてくれないだろうか。
さもなければ、苦しいかと思うが、高校生あたりを主人公にした青春ミステリーに。
このままでは私の最も好きな作家が消滅してしまうことになる。
時の流れとはいえ、それは悲しい。
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夏といえば樋口有介さん!しかも青春ミステリ!
で、期待して読んだのですが、時代設定に力が入りすぎたのか登場人物が薄っぺらい印象…。
由希也にもうちょっとヘラヘラ感が欲しかったな。って無理だわ。
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近未来の日本。なんかついていけなかった… 2014.7.11
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樋口有介作品初読み。救いが有りそうでない感じ。私は韓国朝鮮にさほど興味がない(特に芸能界、ただし主張がまともでないなと思うことは多々あり)が嫌韓と言うほどでもないのですが、作者は嫌韓嫌中なんだろうなあ。。。刑務所は最悪で死ぬより辛い生活が待っている社会だと犯罪者が減るだろうなというのは同意かな。
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寡聞にして全然聞いたことがなかった作者さんなのですけど、タイトルに惹かれて手にとってみたら大当たりでした。読みやすいしどのあたりに着地点設けているのか掴めないから飽きずに読めた。結末にカタルシス求めるひとには物足りないかもしれないけど。
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生活保護制度が廃止された近未来日本。生活困窮者たちが暮らす「希望の家」を舞台に起こる事件を描いたミステリ。
はたしてその世界が幸せなのかどうかは疑問だけれど。現実の世界もどうなのか……生活保護のありようも正しいかどうか分からないし。破綻寸前なら、いつかこんな事態にならないとも限らない、のかも。
ミステリとしてはちょっと中途半端な印象もあったのだけれど。たぶん、そっちがメインではないのかな。
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近未来日本の生活保護の無くなった社会。『希望の家』に自活できない人々は集められて、、、という設定。児童ポルノ、臓器売買、物品横流し等様々な事件が絡み合って、、でも着地点は良かったと思う。由希也君の将来が楽しみなのと蛍子がストーカーのようで怖い。
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生活保護制度が無くなった近未来日本のお話。
児童ポルノ、臓器売買、殺人事件、等々盛りだくさんの割にはすべて隠蔽される。そのことに納得する元警察官探偵。
生保が入れられる「希望の家」ここは自立できる人だけ、その先の施設もあるようだけど、深入りしないでよくあるパターンの虐待からの親殺し、なんかなぁ~。
もっと堀下げてほしいのに元警察官探偵の孫やキャリヤ官僚所長との話に紙面をさいて中途半端な終わり方のような気がする。
刑務所が無くなって流刑になってもお金があれば免れることができる。
某国のミサイル攻撃から始まり、某国の尖閣諸島上陸と、何が言いたいのかわからない。
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図書館で借りる。正直物足りない。
設定が面白そうと思ったが、人物描写もなにもかも中途半端と感じた。残念。
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帯と表紙に惹かれて読んだ。正直それほど期待していなかったのに次々起こる怪しい事件に心を躍らせ読み進めた。
**ネタバレ**
おじいちゃんホームズと孫娘ワトソンか、新鮮だな(*'ω'*)と読んでみたら全然違う…!設定はリリー・フランキーの短編を思い出した。こんな世界になればいいのにって思っちゃうのは自分が恵まれているからなんだろう。名探偵役を期待したひとは普通の女子大生と普通の元警官でしかなかったし、頑張ってみても結局名探偵はいないんだと衝撃を受けた。謎解き部分がしっかりしてないからミステリ色は強くないのに、やたら考えさせられる。おじいちゃんは頑張ったし、ちゃんと事件に迫ったけれど肝心のところはうやむやなまま。神の視点からしかわからない事件はまるでタイトルの金魚鉢のようだった。
そのわざわざタイトルになっている金魚鉢。小さな金魚鉢で泳いでいるのは誰なんだろう。由希也と蛍子はいつか罪に窒息するのではないか。夜宵のことを知った蛍子が由紀也への束縛を強くしそうで、気持ちを繋ぎとめるために、共犯で居続けるために殺し続ける未来が見えてしまった。
ただ説明に出てくる海外の描き方がいまいち。近隣諸国を嫌いなのは別にいいのだが、小説で押し付けられちゃうとちょっと引く。私だって好きではないけれど、いちいち地の文に作者の影が出るのはきつい。あと、人名が読みにくい。愛芽を何度「あいめ」「まなめ」と読んだことか。夜宵って字面は綺麗だけど弥生でもいいじゃん…。設定が突飛なのはミステリにはつきものなので、それを差し引いてもおもしろかったけど、私が編集者なら直すかなあ。
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希望の家 群馬 生活保護制度廃止 自存能力欠損者を収容
10兆円の税金を節約 刑務所を廃止 犯罪者一人に年間250万円 流刑制度 2つの島に8万人を閉じ込めた
人権保護団体の文句も、北朝鮮ミサイルで日本は被害者扱いとなり有耶無耶に
ミサイルは日米の迎撃ミサイルで撃ち落としたが新潟は近いので破片が小学校を直撃 数百名の死者がでた
米軍が北朝鮮をミサイル攻撃 中国と韓国は動かず
日本は奇跡の復興 低賃金労働者が大量発生し製造業が日本の回帰 欧米諸国は移民を国外追放を始めた
一ノ瀬幸引退した刑事が委託捜査で希望の家へ 孫の東大生愛芽の運転 草津温泉に行く予定 3週間滞在する
サ殺人事件 チャイルドポルノ 臓器売買 食料横流し
善人の副所長 元刑務所看守の40才独身女 医者で行われていた 臓器売買は全国の希望の家で行われていた
背後には北朝鮮 サリン事件の背後に北朝鮮がいたのを隠蔽したのと同様に隠蔽
キャリアの所長山本夜宵は左遷を覚悟していたが逆に評価があがる 医療制度改革の挑む 富裕層から既得権を奪うのは難しい
老婆が不審死がきっかけ 実は副所長達に兄を殺された硫黄島帰りの糸井が目撃者のふりをして警察をよんだ
兄がみたのはチャイルドポルノ 副所長達に気づかれ医者に薬をもられ心不全扱い
夜宵に勉強指導され前橋の高校に通う由希也 夜宵と肉体関係 東大を目指せと言われた
父が病死し県営アパートに 虐められていた蛍子を助けたのがきっかけで仲良くなる
蛍子は父から性的虐待 父を殺した蛍子 死体の後片付けを由希也が完璧に実施 蛍子はショックで口がきけず
蛍子は副所長を殺してしまう 由希也が再度証拠を隠蔽
女は殺人は否認している
蛍子が由希也の携帯を鳴らしたの履歴が残っているが元刑事も気がつかない
副所長が壺を焼いていた 炭を回収にいった農夫が焼け残った死体を発見 腎臓が高度な手際で取られていた
就職したはずの収容者が実際にはいない
かなりの数の死者がいる
副所長の息子の私大医学部の授業料8000万円
夜宵は由希也に別れをつげる
緊急事態が発生
中国陸軍は沖縄に上陸
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中途半端な作品でした
ミステリーというには伏線もなくドキドキ感もなく、社会問題の取り上げ方も一般常識くらいで…なんか、惜しい!
福祉施設で老婆が殺される
もと刑事が捜査を委託され、孫娘の愛芽と出かける
登場人物の誰にも共感できなかった
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生活保護法が廃止されるなど、社会福祉を大幅に路線変更した近未来の日本。生活保護の対象となっていた人々は「希望の家」なる福祉施設へ集められていた。そこで起こった老女の転落事件。ただの事故で片づけられるはずが、突き落とされると主張する職員が現れたことで、元刑事(とその孫娘)が呼び寄せられることになる。
という導入から始まる、ミステリ…というより、仮想のこの設定をもとに、「歪んでいる社会」を照らし出した物語、といいましょうか。
祖父と孫娘のミステリという売りのようでしたが、それを期待するとあらあらという方向へ物語が進みます。途中、施設の少年と孫娘のふれあいがあってしんみりするのですが、それも途中でぶつ切り感があって…あえてぷっつりと断つことで、置かれた立場の違いを表しているともいえるんでしょうが…。
話のコアは、極端な福祉政策を取り「みんなが幸せとなるような社会」となって経済大国となった日本の、同時に抱えているいびつな幸せの裏側を照らし出すことにあります。状況はあくまで仮想下ではありますが、格差社会といわれている現代社会のリアルにおいても、まったく起こりえないとはいえない真相がそこにはあり、ぞわりとした嫌な感覚を持たせます。
装丁から感じ取れる爽やかさ切なさをもとに読み始めると意外に重い終盤の展開に沈むかもしれませんし、謎が解決してすっきりという話でもないので、ぱっと見より重たいし人を選ぶ物語だと思いました。
個人的には老(元)刑事と所長の恋物語…的な要素はあまりどうかなあと…。よほど先に書いた、少年と孫娘の出会いと別れをもっと書いてほしいなと思いました。