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電子書籍
軍人皇帝のローマ 変貌する元老院と帝国の衰亡
著者 井上文則
共和政期以来、ローマ帝国を支えてきた元老院。しかし、軍事情勢が悪化し、貧富の差が拡大した三世紀以降、支配権はバルカン半島出身で下層民からのぼりつめた軍人皇帝の手に移る。ア...
軍人皇帝のローマ 変貌する元老院と帝国の衰亡
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軍人皇帝のローマ 変貌する元老院と帝国の衰亡 (講談社選書メチエ)
商品説明
共和政期以来、ローマ帝国を支えてきた元老院。しかし、軍事情勢が悪化し、貧富の差が拡大した三世紀以降、支配権はバルカン半島出身で下層民からのぼりつめた軍人皇帝の手に移る。アウレリアヌス帝、ディオクレティアヌス帝、コンスタンティヌス帝など、七七人中二四人が、バルカン半島出身の軍人皇帝である。ローマ文明を担うエリートの元老院の失墜と武人支配への変化を描き、ローマ帝国衰亡の世界史的意味をとらえなおす。(講談社選書メチエ)
目次
- 序 章 支配者層の変動とローマ帝国の衰亡
- 第一章 繁栄の時代から危機の時代へ──支配者層変動の遠因と近因
- 第二章 イリュリア人の興隆──ウァレリアヌス帝の改革
- 第三章 イリュリア人皇帝の時代──クラウディウスからディオクレティアヌスへ
- 第四章 イリュリア人の実像
- 第五章 元老院議員の世界──その文人的生活
- 第六章 イリュリア人の後退と元老院の復権
- 第七章 イリュリア人とゲルマン人の帝国
- 終 章 軍人貴族の支配と元老院貴族の敗退
- 主要参考文献
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軍人皇帝時代のローマ帝国
2022/04/10 18:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
皇帝の出自がイタリアの元老院議員からバルカン半島出身の軍人に移行していく様が述べられている。中国史との比較で中国では軍事力で侵入した異民族も中華化していったのに対しローマ皇帝は元老院貴族化しなかったことがローマ帝国とともにローマ文明が滅んだ原因として捉えていることが興味深い。
紙の本
三世紀の危機
2024/02/18 00:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DB - この投稿者のレビュー一覧を見る
ローマ帝国が滅亡した理由としては歴史家たちがさまざまな意見を出しており、複数の要因が複雑に絡み合って起きたのだろうとは思われる。
本書では帝国の支配に影が差すようになった軍人皇帝時代、セウェルス王朝の断絶とマクシミヌスの皇帝即位からローマ帝国滅亡までの歴史の流れを追いながら、ローマの政治の中核であった元老院の変化について注目しています。
マクシミヌスから何人かの軍人皇帝たちが入れ替わっていったが、彼らはササン朝ペルシアやゴート人との戦いに明け暮れていた。
マルクス・アウレリウスもそうだったが、皇帝はローマで帝国を支配するのではなく辺境で外敵と戦うか内乱で争っている存在となっている。
かわりに元老院議員たちはローマで財務や属州の管理をしていたが、この時代の元老院議員はもはや軍人とはいえず修辞学に長けた文人だった。
それでもキャリアの一つとして軍団司令官の職についていたが、平和な時代ならともかく強敵との戦いに軍事の素人が対応できなかったことがローマの危機の一つの要因となっていた。
ウァレリアヌス帝といえばシャープール一世に破れて捕虜になった皇帝として有名だが、このローマ帝国の現状に対して様々な改革を行っている。
その一つが元老院議員を軍事から排除することであり、また皇帝麾下の軍の創設だった。
ウァレリアヌス帝の息子ガレリウス帝が暗殺されて帝位についたクラウディウス・ゴティクス帝、帝国を再統一したアウレリアヌス帝、厳格すぎて部下に暗殺されたアウレリアヌス帝のあとをついだタキトゥス帝、そして帝国を分割統治するシステムを作り出したディオクレティアヌス帝までの軍人皇帝時代、皇帝となったのはイリュリア地方出身のたたきあげの軍人たちだった。
軍事政権時代の元老院は何もしていなかったのかというとそうでもなく、辺境で戦う皇帝に変わりローマや平和な地域の政治を円滑に回す役割を果たしていたようです。
スキピオ・アフリカヌスやカエサル、ポンペイウスの時代に比べたら元老院も変わったものだ。
本書では元老院議員の生活を小プリニウスの著作から詳しく見ていきます。
そしてイリュリア人からゲルマン人へと主力となる戦力を移していったコンスタンティヌス帝と、その没後の帝国の動向を駆け足で追っていく。
ローマ帝国といっても時代によって政治システムが変わっていったのがよくわかる本だった。