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電子書籍
人生に七味あり
著者 江上剛
私、樫村徹夫の勤める銀行が他行に吸収合併されたとき、辻占いの老婆から、七味とうがらしの人生が私には待つと言われた。うらみ、つらみ、ねたみ、そねみ、いやみ、ひがみ、やっかみ...
人生に七味あり
人生に七味あり (徳間文庫)
商品説明
私、樫村徹夫の勤める銀行が他行に吸収合併されたとき、辻占いの老婆から、七味とうがらしの人生が私には待つと言われた。うらみ、つらみ、ねたみ、そねみ、いやみ、ひがみ、やっかみの七味だという。営々と勤めた銀行を去り、飲食フランチャイズ会社のCFOに転身した私だが、巨額の含み損の発覚から社は倒産の危機に……。地獄をのたうち回るような日々の果てに私と社員が見たものは? 人生と仕事に苦闘するサラリーマン諸氏に元気を与える会心作!
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紙の本
企業すら金儲けのために売り買いする非情な人々に対し、そこで生活する現実の職員たちの立場に立って戦い勝利していく爽快さは実に良いですね。
2018/12/23 20:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
企業すら金儲けのために売り買いする非情な人々に対し、そこで生活する現実の職員たちの立場に立って戦い勝利していく爽快さは実に良いですね。現実に銀行マンとして幾多の斜陽企業に関わり、時によっては倒産責任者として告訴までされた著者の心からの叫びと感じました。130億円という私らには想像もつかない負債にいち早くトンズラする社長に反して、逆に社員のためにと社長の座に座る主役:樫村に、古き良き日本の侍精神を重ねてしまうのは私だけかな。読んでいて池井戸潤に通じるものを感じたが、調べてみたら江上剛(1954年1月7日生、早稲田大卒から銀行員から2002年『非情銀行』でデビュー)、池井戸潤(1963年6月16日生、慶應義塾大文&法学部卒から銀行勤務から1995から執筆業)ということで、実に似ているが江上剛の方が、9歳も年上でした。但し、作家デビューは池井戸の方が7年も早い。微妙な違いは有れいずれも金融・経済優先の社会のなかに、生身の人間を据えて行こうという視点の共通性を感じる。デビュー作「非情銀行」から読み進めてみたくなったです。
紙の本
土下座の効用?
2018/11/02 22:55
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
銀行出身の小説家、江上剛の作品で、テレビドラマとしても放映済みである。出版社を替えて『再生請負人』というタイトルで小説も出されているが、ほぼ同じものである。出版された時期がそれほど新しくはないのだが、その割に内容は現代的である。
都市銀行に勤務する主人公樫村は、合併によってカード会社への転勤を命ぜられる。樫村は潮時だと判断して、40歳代半ばで退職する。この都市銀行については江上が別の『小説金融庁』で描いているが、合併相手に飲み込まれてしまう。樫村の判断は良かったということか。
転職先は飲食店チェーンのフランチャイズを展開するデリシャスフード社である。社長も銀行出身だが、前オーナーはこれらのレストラン経営の専門家だったが、資金繰りに困ってフランチャイズ権を乱売してしまった。
これで会社が傾き、ファンドの支援で樫村がCFOとして赴任した。しかし、働かない社長は、前オーナーの失敗が露見した時点でさっさと辞任してしまう。後を継いだのは樫村であった。主人公はこの分野では素人ではあるが、持ち前の誠実さでことに当たり、順調に回復するかに見えたが・・・。
樫村が社長になってからは四面楚歌でフランチャイズ権を買った業者、ファンド、とりわけ合併後の銀行からの風当たりが強い。樫村がこれらの対応で苦戦する様子は、やや現実離れしている。加えて、レストランで働く社員の宥和策はステロタイプでもう一工夫欲しかった。
社長業の苦労がよく描けていたと思うが、いくら社長であっても土下座が多過ぎる。それはドラマの世界であって、誇張が過ぎる。土下座して許してもらえるのならば苦労はないということである。最後に形勢逆転し、銀行の融資担当者が主人公に土下座する場面があるが、これは融資先の社長に無礼な態度を取り続けてきたので、読者は留飲を下げることができたのではないか。まるで花登筺の昭和の作品を見ているようだった。
銀行、ファンド、飲食チェーン業、コンサルタントなど、現代的な商売が次々に登場するが、それぞれがどのような役割を追っているのかは、十分な説明がないので読者は理解できたのであろうかと心配になる。ファンド、コンサルタントなど何をやって商売にしているのかが分からないのが現代的なのかもしれない。