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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
君主に晴れて成れた重耳。放浪での約束事も果たし名君となった。数々のエピソードも宮城谷氏の手にかかり生き生きとして描かれている。
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春秋五覇の一人である「重耳」を書いた作品なり。
とある国の君主の三男に生まれた重耳が19年も中国をさまよい紆余曲折の末に覇者となる壮大な道のりがここにかかれているなり。
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★2011年4冊目読了『重耳 下』宮城谷昌光著 評価B
このシリーズも最後の三冊目になって、ようやく題名の重耳が主役に座る流れになる。それまでは、晋を再興した称、重耳の父で公子達を次々に殺してしまった詭諸、そして重耳という順で晋の再興史を語ってきている。それにしても、すさまじいまでの各国の君子たちの権力闘争のすごさ。身内さえも冷徹に殺していく歴史。19年の紆余曲折を経て、重耳はようやく晋の君子として国を統治し、周王朝を下支えするのであるが、この物語ではそれまでの重耳の苦難の放浪の旅が主題であったかのように、晋統治後は実にあっさりと語って、話は終わってしまう。その意味では、いつもの宮城谷尻切れトンボのパターンにはまっているとも言える。
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宮城谷昌光が描く政(まつりごと)には人の息遣いがある。それを著者の創作として一笑に付すわけにはいかない。資料を通して人間と人間とが出会うことは可能であろう。
http://sessendo.blogspot.com/2011/09/blog-post_04.html
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宮城谷昌光さんの「重耳」を読みました。
3冊ものの本で、読み応えがありました。
重耳というと、春秋時代の晋の君主で、春秋五覇の一人として…というか、代表格にあがる人です。
この人が、晋の君主になるまでの放浪時代の話や、なってからの話については、春秋戦国時代はいろいろなドラマがあったので、「史記」などをベースにした小説などで断片的に紹介されたものを読む機会はいろいろとありましたが、こうして一生を追いかけて読んだことはありませんでした。
ようやく体系的に、どんなことがあったのか、わかったような気がします。
でも、この宮城谷さんの本の場合、タイトルは「重耳」ですが、思いの外、重耳自体は出てきません。
周りにいる人の活躍ぶりが、いっぱい紹介されていて、それはそれで面白かったのですが、重耳自体は、実際はすごい偉人なのでしょうが、あまり具体的な活躍ぶりが紹介されていないのです。
この点、前に読んだ「太公望」と違いました。
でも、十分楽しめる本で、読了感に浸れました。
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読了。
これから10年くらいかかるかもしれないが、
じっくり中国史を読んでいこうと思う。
アジアで唯一(アラビアもアジアか?)文明が起こった場所なので、アジアを知るには中国は避けて通れないからだ。
それを自分なりに練り合わせてアジア感をつくっていくのだ。
それをそこらへんに歩いているアングロサクソンの皆の衆にぶつけてみたい。
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ストーリーはいたって平凡、歴史小説がすべてエキサイティングであるはずはない。中国春秋時代の晋の君主、在位紀元前636年 - 紀元前628年。姓は姫、諱は重耳のお話。全3冊を斜め読み。
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いつの時代も徳の高い人には良い部下・大夫が集まりますね。また、感情渦巻く人間関係は3,000年前も全く変わらない。ローマ人物語を読んでも思ったけど、人は変わらない。色々と考えさせられます。
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紀元前6世紀、中国春秋時代の五覇の一人で、晋の文公と呼ばれた重耳という人物の話。晋の君主の家系の二男に生まれたが、秀才でもなく人気もなく特徴のない人物であったため兄弟の中でも目立たなかった。しかし、晩年は、誠実で実直な性格により国内外の色々な人たちから一目置かれるようになる。身内の争いごとにより国外に脱出し19年間諸国を転々とする亡命生活を経て、晋に戻り君主となる。重耳の話というよりは、重耳に仕えたすばらしい臣の面々の話ではないだろうか。幼少期の教育係の郭偃をはじめ、丕鄭、孤突、孤偃、孤毛、先軫、介子推などなど見事な人物が揃っておりこれら臣に支えられてなければ重耳は君主にはなれなかっただろう。臣の忠誠心に感動した。
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終わった。 重耳は覇者になったと良いながらも周りに支えられてなったのであるが、結局その人柄に惚れたもの達が彼を覇者にしたようなものであった。秦の王、楚の王共に彼を害せず礼を持って迎え、彼を最終的に晋の王にした。立国の話では無く、いかに礼を尽くして王になったかの物語であった。春秋戦国時代の中では珍しい成り立ちの君主であった。
人に尽くせばそのうちどこかで良いことが回ってくるという見本のような話である。今でもそうだと思いたい。
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ふむ。重耳に関しては、茫漠としてつかみどころの無い人物にしか感じられなかった。結局はもってうまれた資質、ということになるのだろうか。もちろん、流浪の旅が彼を成長させたとは書かれていますが、具体的にはよくわからなかった。それでも物語としては楽しめました。
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宮城谷さんの作品は「孟嘗君」「太公望」「楽毅」などを読んだ。
重耳は、それらの作品に出てきた英雄たちと比べると、かなり地味である。
それでもこの作品が面白いのは、やっぱり展開が素晴らしいからだと思う。
重耳という主人公自身は地味なのだけれど、彼を取り巻く環境や、彼が過ごす時の流れが峻烈極まりない。
なので全く飽きずに、春秋の一時代を、重耳と一緒に駆け抜けているような感覚に浸れた。
上巻ではあんなに小さかった重耳が、中巻から下巻にかけて半端ない苦労をなめて、最後には名君になっている。
報われたね〜、よかったね〜、と安心するとともに、ちょっと寂しくなった。
マイナーなアーティストを応援していたら、いつの間にか有名になっちゃって複雑……あの気持ちに似てる。
重耳の周りにいる人たちも、最前線で活躍したかと思ったら、年をとって、いつのまにか死んでいたり、誰かに殺されたり……
これぞ戦国の歴史という感じ。
その無常さがあるからか、重耳が先生である郭偃に再会するシーンはかなりホロリときました。
この小さな文庫本の中に、時の流れが詰まっていて、すごい密度だなぁと思った。
歴史小説は主人公が超ヒーローというのももちろん面白い。
けれど、歴史を追体験するという意味では、地味な主人公の方が、地道に生きている現代人には合っているのかも。
そんな新しい見方を与えてくれた素晴らしい作品でした。
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下巻は重耳の流浪の物語。詭諸の死後に驪姫や奚斉が重臣たちに呆気なく滅ぼされるも、後継に推すのを重耳か夷吾かで国論が揉める。重耳は乱となるのを避けて狄に留まる。晋公の地位には、秦公が躊躇いながらも支持した夷吾がつ 就く。しかし、夷吾は秦に恩を仇で返し、国内でも悪性を敷き、重耳に刺客を送る。
重耳は、刺客に追われる形で、諸国を放浪し、衛で冷たい仕打ちにあうなどしたが、最後は、春秋五覇の筆頭である斉の桓公の厚遇を得て、斉の要職に留まり、桓公から息子を託されて、帰国の意思を徐々に失っていく。
それを部下達の機転で、桓公の死に乗じて斉を脱出。衛、曹、宋、鄭などを回った後に、将来のライバルとなる楚の成王に厚遇され、最後は秦公の手引きで、暴君道一直線の夷吾の息子を廃して漸く晋公の地位に就く。
晋公になってからは、周王室のお家騒動の収集、宋などの南方諸国を楚の脅威から救うべく動いて、これを撃破し、中原の覇者となり、桓公に続く、覇者・晋の文公として名を残す。
重耳は、流浪19年を経て、晋の君主になった時は既に60代。大器晩成の典型であり、大人物ではあるものの、常に控えめに、自分を抑えて、周りに推される形でトップに上り詰めた人物。春秋五覇というヒーローではあるものの、その性格、人生を通じてヒーロー感が無く、人の和や信義を重視して地味に事を成したリーダーである。そうした地道感に普通の市井の人は共感を持つのではないだろうか。
また、この君主あってのこの部下という人物が、重耳の陪臣であり、棒の達人で人知れず重耳の危機を何度も救ってきた介子推。彼は、自分の功績をひけらかすことを嫌い、静かに隠遁の道を選ぶ。君主に自分の功績を認めさせるということは、君主に間違いを認めさせることにもなるから、そういう不忠はしないのであると。今も昔も、功績を誇張する人が多い中で、これも清々しい生き方である。
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晋の文公。
春秋五覇の1人であり、斉の桓公と並び称される明君とされている。
しかし、その半生は流浪の身であり、辛苦を味わい続けた人物であった。
上巻では、文公の祖父、称が主人公。
じっと待ち、好機と見れば、それをものにする。
諡の武公に恥じない明君であると感じた。
中巻では、称が死に、晋の混乱期が現出する。
やはり、明君のあとの君主は苦労するのだろう。
王朝や、政権が安定するのは、創業者の次の代が安定するか否かであることを示してくれているのではないだろうか?
下巻は、重耳が文公となり、覇者への道を歩んだ。
下巻は、文書が軽やかで一気に読んでしまった。
古代中国史は礼節に始まり、その礼節をどう打破したかが次代への布石になっているように感じる。
筆者の細やかな歴史の記述は頭が下がるばかり。
次は介子推を読もうと思う。
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太公望よりもマシであったけど、重耳の出番がほとんど無かったのがキツかった。何が凄かったのかがイマイチ分からずに終わってしまった残尿感。ただ、祖父と父の時代背景や登場人物については初めて知る知識でそれは勉強させていただいた。