1878年に初めて日本を訪れたイギリス人旅行作家イザベラ・バードの見た日本が生き生きと描かれています!
2020/03/12 09:42
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、1800年代の後半に日本を旅行したイギリス人女性作家イザベラ・バード氏によって著された旅行記です。当時はまだまだ発展登場にあった日本という国に1878年に初めて訪れ、欧米人では初めての東京から函館の旅を行った彼女が日本で何を見たのか?その彼女の飾りのない見聞録が同書には収められています。世界中を巡ってきた偉大な旅行家、それも女性から見た、当時の日本がどのように彼女の眼に映ったのかは非常に興味深いところです。講談社学術文庫では上下2巻で出版されており、同書上巻では、「はじめて目にした日本の眺め」、「富士山の姿」、「混成の都市」、「日本のサンパン」、「人力車」、「滑稽な運ばれ方」、「紙幣」、「内陸旅行の障害」、「ハリー・パークス卿」、「大使の乗り物」といった旅の前半が生き生きと描かれています。
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1878年、横浜港に上陸した英国人女性旅行家イザベラ・バードは、欧米人未踏の内陸ルートで、東北・北海道への旅を敢行した。欧化の希薄な、日本の原風景的色彩を色濃く残す地域の探訪を試みて。現地交流を通し、つぶさに観察された維新後の日本の文化、習俗、そして、北方の自然の美しさが、活き活きと綴られる。本書は、著者が故国の妹に日本の見聞を書き送る形でまとめられている。
「植生と緑の豊かさは実にすばらしく、日本はエメラルド諸島と充分呼べるくらいである」。序章にそう書かれた日本の印象は、東北の米沢に辿り着いたところで、「申し分ないエデンの園で…微笑みかけているような実り豊かな地です。繁栄し、自立した東洋のアルカディアです」と言わしめている。
さらに、北海道で親しく交流したアイヌの人々のことを「スペイン南部の人々のようにヨーロッパ的な美しさをもち、気高くて、悲しそうで、遠くに思いをはせているようで、やさしく、知的で、これほど完全に造作や表情の美しい顔立ちは今まで見たことがないように思います」と書いている。
世界を廻った大旅行家の冷静沈着な目を通して、心からの賞賛を受ける日本の田舎の素晴らしさ。下巻には、東京に戻った後、出向いた関西紀行も収録されている。(S)
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平凡社の「東洋文庫」版の『日本奥地紀行』は随分前に買っている・ただ、平凡社のものはバードが東北、北海道の旅に出てから部分しか収録されていない。そこで、とりあえず(上)だけ買った。確か、後半部も「東洋文庫」に収録されていないものがあったはずなので買うことになると思うが、書店には(上)が二冊並んでいて(下)はなかったのだ。
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明治初期の日本の風土を読み取れる貴重な資料。金谷ホテルの前身の金谷邸の記述が興味深い。
また、先進国の女性から見た未開の土地の評価とすれば、かなり好意的に日本を見てくれていると考えられる。ここから一世紀と少しで現代の日本があると思うと、やはりちょっとした奇跡のように感じられる。
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1878年にイギリス人女性が日本を旅したときの記録(手紙)をまとめたもの。
日本人の知らない日本がそこにあるから、この時代のことを知らない方が楽しめるかな。
けど物が物なので読むのが結構辛くなるかもしれない。(改行が全く無く、びっちりしているため)
なのでチマチマと読んでタイムスリップ感を楽しむのがいいように思う。
当時の日本人には今みたいな清潔感の概念がないんだーとか。
プライバシーがこれっぽちもないとか。
食事とか。その他色々。
どうやらイザベラ・バードさんは沢庵と味噌汁が嫌いな様子。
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購入書店:Reader Store; 読書環境:Reader PRS-T2; コンテンツ形式:.book
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明治維新からまもない1878年、英国人女性のイザベラ・バードによる東北地方と北海道の旅。行く先々で、外国人を一度も見たことがない人たちに囲まれ好奇心の目で監視されながら、当時の人びとの暮らしや習慣をかなり細かく克明に記している。「鋤ではなく絵筆で耕された」古き良き日本の美しい風景の描写が印象的。
日本人の特徴とも言える勤勉さ、慎み深さ、礼儀正しさ、もてなしの心、などは明治初期には既に一般的だったのに対して、清潔さがまったくなかった当時の日本の生活風景には驚き。どこへ行ってもノミやシラミのオンパレードで、夏はハエや蚊の大発生に悩まされていた様子。また、山村に入ると農民はほぼ裸に近い格好で暮らしていたようで、自分が持っていたイメージとはだいぶ違って新しい発見だった。
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イザベラバードの日本批評に一喜一憂してしまう自分が情けない。「グローバル化=文明化」された自分を問われる本だと思う。
細かい情景描写が秀逸で、当時の日本に思いをはせるのは楽しい。
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明治10年頃の日本を蝦夷地まで旅した英国女性の旅行記。白人優越主義・クリスチャン優越主義的な「上から目線」で日本の信仰や習俗を度々disるのには少しイライラさせられるが、それ以外の描写についてはかなり的確かつ客観的で、現在は失われたものも多い(また継続して現在に在ることも多い)往年の日本の風土・文化をわかりやすく輪切りにした良書。(手放)
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著者の考え方、感じ方につっこみどころが有る無しは別にして、彼女が明治の東北を旅したという事実に驚嘆した。
この人、すごいわ。
この本はその旅のまぎれもない記録であり、価値のあるものだと思う。
さあ、下巻に突入だ!
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明治初期に日本に来た英国女性探検家の紀行文。ネット上で書かれていたので読んでみたが、比較的冷静な書き方をされていて好感が持てた。この時代(明治初期)の田舎暮らしの非衛生的な部分、その一方で女性一人で旅しても全く危険がなかったという点、特にスリ・かっぱらい・置き引きなどが全くなかったといって驚いていた点は非常に興味深かった。暮らしが貧しくても人のものをとろうとしない当時の日本人の精神性の高さがにじみ出ていた。でも唯一の欠点は翻訳者のせいなのか冗長な部分が多く読むのに骨が折れた。もっとすらすらと読み解く事ができたら星5だった。
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本紀行 上 イザベラ・バード
上巻は東京から東北縦断の旅。1878年というと大久保利通暗殺の年で(文中にも事件の言及がある)、そんな時代に外国人女性が東北を旅することの困難さは現代の感覚からは想像もできない。移動手段にしろ食料事情にしろ衛生状態にしろ、相当劣悪だったんだろう。
それにしても、イザベラ・バードの観察・描写の細かさ正確さには目を見張るものがある。日本に関する情報が圧倒的に少ないなかで、旅で見聞きした事ごとをこれだけ丹念に写し取れるのはすごい。19世紀の日本なんて現代日本人にとっても異世界なので、こうした異人による丹念な描写のおかげで当時の景色をイメージすることができる。
5
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ようやく新潟まで来たけど飽きた。進まない…。
どこまで行っても書いてある事が同じ。記録としては興味深いかもしれんが。(記録者の視点や立場を十分に考慮するのであれば。)
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今の日本に通じるもの、失ってしまったものがありのまま第三者の目で淡々と語られる。
動植物に関する洞察はさすが英国人。文明国、キリスト教国としての上から目線に辟易する場面もあるものの、醜くて汚いと言いながら基本的には日本人の勤勉さを称賛する言葉に満ち溢れている。
彼女が辿った道の地図があるとなおわかりやすいと思った。
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海外からの本帰国に伴う、2週間のホテル隔離中の読書4冊目。
上巻は東京を出て北上、青森までの道程。作者が可哀想だったのは、梅雨の時期でとにかく雨が多かったこと。その雨の中、馬で峠をこえ、川をわたり、時にはぬかるんだ道や増水した川に手を焼きながら進む。
一部翻訳のせいもあると思うが、作者のストレートな感想、批判が面白い。結構きつめのdisり笑。最先進国イギリスからやってきて、世界各地を旅してきた作者ならではか。今の日本人が発展途上のアジアの国を訪れたときに、同じような表現をしてしまうだろう、と思うと、腹も立たないし、こういうこと全てが旅の楽しさ。
作者が旅したのは1878年。今から150年くらい前か。わずか150年で未開の地だった日本は文明化し、いくつかの戦争を経て、高度経済成長、バブル崩壊、失われた○年と、目まぐるしい変化。当時の衛生状態は今から考えられないし、庶民の生活レベルも目も当てられないほど酷かった。
それでも日本人の気質はやはりいまと通じるものがあり、イギリス人作家の目を通じて驚きや発見がある。
ああ、10年ぶりに日本に帰国したんだから、早く国内旅行したい。コロナに打ち勝とう!
下巻は北海道函館からスタート。アイヌとの交流もあるみたい。楽しみ。