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投稿者:ケロン - この投稿者のレビュー一覧を見る
題名が一体どういうふうに絡んでくるのかしら?と思っていたら、そこだったんですね。
マーロウ氏の物語は、キャラクターはもちろん、時代背景もすごくいい感じ。
マーロウ、過去を掘り起こす
2018/09/30 18:03
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投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
希少な金貨を取り返してほしいという依頼を受けるマーロウ。しかし、依頼を続けるうちに二つの死体にぶちあたってしまう。ストーリーが途中で荒ぶることはなく、結構マーロウの行動も大人しめ。殺人事件の犯人に関しては一ひねり加えられていますね。
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村上春樹によるレイモンド・チャンドラー翻訳シリーズの第5弾。過去4作品も全て読んでいるが、やはり私立探偵フィリップ・マーロウのシニカルな語りと緊張感溢れる推理の構築の仕方は面白いし、村上春樹自身がチャンドラーから強い影響を受けていることもあり、翻訳された文章のリズムの綺麗さは言うまでもない。
本作はマーロウシリーズの中では確かにミステリーとしてのプロットの正確さが強く意識されており、「高い窓」というタイトルが意味するところが次第に見えてくる様子にはワクワクさせられる。
あとがきによると、チャンドラーの長編で村上春樹が未翻訳のものはあと2本残っているという。残り2本についても楽しみに待ちたい。
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あいかわらず、最高にエンターテイメントとして面白い小説でした。他にも美点はありますが、まずそう言いたいです。主人公の魅力を十分に楽しむことができました。個人的に買って読むぞという時に、ワクワク感の伴う数少ない作家です。訳をされている村上春樹さんもそれが分かった訳し方をしていただいていると思います。
他のチャンドラーの小説と少し違って、筋や人物背景がきちんと描かれています。それを吹き飛ばす勢いが減じているのがありますが、主人公マーロウの魅力が損なわれるわけではなく、随所でその行動に魅了されました。そして全体的に謎がすっきりと解決されています。それは人によって違うのでしょうけど、私は良かったと思います。
探偵の仕事は、アニメなどで多数あるような、謎を一つの糸口にして明快に解決されるものではなく。この小説の主人公のように、泥臭い中で、一部の直感から導き出され、その結果は中途半端に煮え切らないものであるというものであること。それも他にない小説かなと思っています。
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今回はアクションがなかったが、それはそれで落ち着いて緊張感のあるマーロウ作品だった。事件の真相も今まで読んだ作品の中で一番整理されていたように思う。そして相変わらず、ハードボイルドな言葉がかっこいい。
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清水俊二訳を読んで以来の再読。何年振りか。
私立探偵フィリップ・マーロウは資産家の老女に呼び出された。行方をくらませた義理の娘リンダを探してほしいとの依頼だ。極めて貴重な金貨をリンダが持ち逃げしたと老女は固く信じているのだが…。老女の息子や秘書の振る舞いからは、なにやら裏がありそうな気配が窺える。マーロウは調査を始めるが、その行く手に待ち受けていたのは、脅迫と嘘、そして死体―二度の映画化を果たしたシリーズ中期の傑作。待望の新訳。
とは言え、映画は二作とも観ることが困難なようです。素人から見ても「これは」という場面もありました(あとがきで指摘あり)が、全体的にはまずまずでした。
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この手の文学的要素が強い小説は読み進めるのがきつい時もあると思ってるけど、今回はミステリーとしても面白かった。
いつも通り、ハードボイルドな渋いフィリップ・マーロウも楽しめる。
資産家の老女エリザベス・マードックから義娘リンダを探す依頼を受けたマーロウだったが、マードック家には秘密があった…
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70
「我々が芝生を横切って近づいていくと、女は気怠そうにこちらに目を向けた。十メートル手前から見ると、とびっきりの一級品に見えた。三メートル手前から見ると、彼女は十メートル手前から眺めるべくこしらえられていることがわかった」
155
「いや、その通りだ。私はショックを受けていてね。頭が少しうわついているんだ。コーヒーをもらおう。ろくに味のしないやつを。それから紙のように薄いハムと、黴臭くなりかけたパンで作ったサンドイッチを。いや、食べるのもまだ無理かもな。それでは」
397
「その家が視界から消えていくのを見ながら、私は不思議な気持ちを抱くことになった。どう言えばいいのだろう。私を詩をひとつ書き上げ、とても出来の良い詩だったのだが、それをなくしてしまい、思い出そうとしてもまるで思い出せない時のような気持ちだった」
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非常に入り組んだ複雑な話だった。
マーロウは家出した若妻と
彼女が持ち出した金貨の行方を
追っていたはずだが、
次々と死体が彼の前に現れる。
誰が、何の意図を持って
事件を起こしているのか。
それら混沌とした幾つもの筋が
まるで本格推理の様に
最後は一つの解が明らかになる。
やはり独特の語り口は味があり、
それだけでもよむ価値がある。
マーロウの立ち居振る舞いは
格好良くて痺れた。
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古い金貨をめぐる事件が発生し、私立探偵のマーロウが引き受ける。物語が進むに連れ殺人事件も発生する。運がいいのか悪いのか、マーロウは他の人に先駆けて死体を発見する。最後は見事に事件解決と相成るわけだが、その解決するシーンが格好いい。犯人を目の前にして、静かに真相を語るのだが、そこが人情味溢れる語りなのだ。また、犯人ではない、過去に利用された女の扱いもハードボイルドらしく男の優しさが滲み出てくる。なお、本書はそれほど長い作品ではないが、読むのに時間がかかった。チャンドラーの他の作品(訳者は村上春樹さんではない)を読んだ時にも時間がかかったので、もともと読み進めるのに時間がかかる作家なのだろう。
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登場人物の屑さが際立つ作品。
マーロウが私たちが思っている『探偵』業をしっかりとこなしていて、ラストも謎解きしてくれるので最後まで読むべきですね。
それにしても、レイモンド・チャンドラーは警察とお金持ちが嫌いなんだらうか?
翻訳が村上春樹氏なので日本語訳もそれっぽいですが、言葉の並びや文章感は勉強になります。
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マーロウは資産家の老女に呼び出された。行方をくらませた義理の娘リンダを探して欲しい。とても貴重な金貨をリンダが持ち逃げしたというのだ。
二度映画化。
2016.9.15発行 村上春樹訳 ハヤカワ文庫 購入
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資産家で飲んだくれの老女にマーロウが呼び出されるところから物語ははじまる。老女は行方をくらませた義理の娘リンダが貴重な金貨を持ち逃げしたと信じ、マーロウにリンダを捜索を依頼する。マーロウは老女の家族に振り回されつつも、相変わらずタフに動く。すんなりと読めた。もう少し勢いがあってもよかったかな…
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前二作に比べて地味だが、ミステリー要素が強く、暴力描写もないので、落ち着いた雰囲気が新鮮。脇役に至るまで登場人物のキャラクターが濃いので、彼らと対峙するマーロウの駆け引きも殊更ウィットに富んでいる。相変わらず緻密な描写が積まれているが、人物も情景も自ずと立体的になり、一度味わうとこの文体から逃れられない。終盤は所謂ご都合主義的展開だが、収まるべく所にきちんと収束する。とある文芸評論家の方が『ハードボイルドは男性用のハーレクインロマンス』と評したようで、マーロウの振る舞いに痺れる私的には言い得て妙な気も…。
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妙な一家の妙な依頼。細かいパーツが組み合わされ、最期に明らかになる事実。ヒロインが珍しく悲惨な目に遭わないので良い。
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全体に地味ではあるが、複雑すぎないプロットで読みどころがわかりやすい点、マードック夫人やマールなど印象的な登場人物が多い点がシリーズでも出色。樋口有介『夏の口紅』はこの作品の影響を受けているのではないかと勘繰っているのだがどうだろう。