紙の本
最後まで圧倒され続けた
2018/05/19 22:24
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投稿者:まもり - この投稿者のレビュー一覧を見る
とうとう読み終わってしまった…。ここまでしっかりと構築された奇想天外予測不能な物語を読んだことがなかったので、のっけから圧倒され渦に巻き込まれるようにりクルクル回りながら読みふける。凡人には到底思いもつかないような設定で、ダークな世界をここまでカッとんだ愉快さを含む物語に仕立て上げた作者には心の底から脱帽する。(そして翻訳家の方の手腕もお見事)ただ、合う人と合わない人がハッキリ分かれてしまうだろうというクセが存分にあるので、このシリーズの装丁に心惹かれて止まない人以外は、もしかして読まない方がいいかも…?
紙の本
ますますゴミが渦を巻く
2018/02/04 10:31
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「穢れた町」から焼け出されたアイアマンガー一族がロンドンへ殴り込みを掛けます。
特殊能力を使ってロンドンへ不安と恐怖を送り込みます。
あんなにひ弱だったクロッドが逞しく、ルーシーはますます凶暴に(笑)
多くの犠牲者を出しながら、新しい居場所を得るために闘います。
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三部作の完結編。
いや〜、待っていた甲斐があった。『エドワード・ケアリーのすべてをてんこ盛り』にした感がある。堪能。
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先の展開も、行き着く先も全く予想がつかず、本当に完結するのかとハラハラしたけれど、ちゃんと大団円を迎えたので安心、そして大満足。
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アイアマンガー三部作完結編。
冒険に継ぐ冒険で、息をつく間もなく、読ませる三冊でした。
でも中心を流れるのはロマンスだったのね。
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命が助かるためでも、トースト立てに戻ることを拒絶したローランド・カリスの矜持が痛ましい。私が物に変わるとしたら、何だろうと考えてしまった。理不尽な命の奪われ方をした穢れの町の子供たちもいるので、ハッピーエンドとは言えないけど。エレナーの家族は元に戻れたのか。理不尽な命令を下すウンビットと、子供を助けなさいと命を下したヴィクトリア女王。君臨する者の差が出たね。1876年ってヴィクトリアがインド皇帝になった年なのね。この年を舞台に選んだことと関係あるのかな。ルーシーは最強だった。クロッドはやっぱり優しかった。ウンビットみたいに無慈悲にはなれなかった。だから生き残れたのね。
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550ページを一気読み。
うん、満足。
ロンドン市民や貴族たちからは、アイアマンガ―一族や穢れの町の人々など、一段下の人間、または人間以下としか 見られていない。
しかし原因不明の伝染病が蔓延し、人々はより安全なロンドンへと向かう。
もちろんロンドンはそれを阻止するために、彼らを迎え撃つ。
いったい何が原因でこんな戦いになってしまったのだろう。
最初はアイアマンガ―一族の話だったのに。
物やごみがあふれかえった堆塵館に住んでいたアイアマンガ―一族は、結集という、ごみが互いに引き寄せあいくっついて、巨大化する現象のため住む家を失った。
穢れの町では、人間が物に代わる奇妙な病気が流行っていた。
あふれかえるごみと、人間がゴミになる病を連れてロンドンに来たアイアマンガ―たちは何を企んでいるのか。
アイアマンガ―たちも穢れの町の人たちも、ロンドンの人たちですら次々に命を落としていく。
これは、自分たちの居場所を求め、守るための戦いの話だったのか。
いやいや、やっぱりこれはクロッドとルーシーの愛の物語だったのだ。
200ページを過ぎるまでルーシーの生死はわからない。
ルーシーの生存が明らかになるとクロッドに危機が迫り、クロッドが危機を脱出するとルーシーが敵に襲われ…。
少しずつ近づいているはずなのに、なかなか出会えない二人。
構成の妙は目次にも表れている。
第1部 外から見ると
第2部 中から見ると
第3部 裏が表に
第4部 表が裏に
第5部 逆さまに
幕切れ 新しい居場所
でも実は一番純愛だったのは、クロッドの婚約者のピナリッピーじゃないかと思う。
クロッドがルーシーを愛しているのを知りながら、年上で、毛深い自分を振り向いてくれないかと願う。
そのためにはルーシーの命を奪うことになっても構わない。
大事なのはクロッドと自分だけ。
ものすごく自己中だけど、純愛ってそういうものじゃないかしら。
自己中と言えば、物に執着する私たち。
物はいつかゴミになる。
壊れたら、汚れたら、年月が経ったら。
ゴミになるはずのものを大量に抱えている私たちが、アイアマンガ―であり、ロンドン市民なんだなあ。きっと。
ゴミと汚物にまみれた物語の最後は、生き残った者たちの安らぎの日々。
初めて居場所を得た人たちの穏やかな表情は、あの苛烈な日々があったからこそなのか。
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終わった。
凄まじかった。ロンドンの汚さ(こんな生易しい表現では伝えきれない)。臭いも想像するだけで吐き気がした。その時代はそんな街だったのでしょうね。
三部作を通して、ルーシー・ペナントの強さに何度も勇気づけられた。
ローランド・カリスの人としての矜持に心打たれた。
そしてこの一見不気味な挿絵の、くせになる感じがたまらなかった。もうこの絵以外は考えられない。
映画化するんてすかね?後書きにあったように、私もティム・バートン監督に撮ってほしいなあ。
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圧倒的疾走感でありながら読者を振り落とさず、闇と汚穢の世界へと引きずり込む。まんまとケアリーの落とし穴に突き落とされ読み耽った。
ちっぽけでボロボロに引き
裂かれた2人の恋は、瓦礫と土煙と流血の果てに何を見るのか。
己が”人”であるうちに読むべき物語。
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三部作完結。あとがきにもあったけど、本当に読み終えるのが惜しかった。先が気になるけど、まだまだこの世界観に浸っていたいっていう感覚、ありそうでなかなか味わえない。そういう意味でも希少な読書体験でした。何となくわかっていたことだけど、改めてアイアマンガーと物との関係性が明らかにされ、多くの人が犠牲になる最終戦へともつれこんでいく。展開としては王道ながら、扱っている内容の孤高性もあって、読後も興奮冷めやらぬ感じ。いやいや、存分に満喫させてもらいました。
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こうなってほしいなあという期待は裏切らない形で終わったので何もかも大満足.ロンドンの薄暗い犯罪の潜むビクトリア女王治世の雰囲気が炙り出されたかのような,もちろんもっとそれを膨らませ汚穢に満ちた舞台で生き生きと動き回る物や人間にアイアマンガー達.挿絵も素晴らしかった.
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アイアマンガー3部作、ついに最終作。いや、スゲー最後を飾るにふさわしい力作!
ページ数も中身の詰まり方も圧倒的ボリュームで読み応えたっぷり。
アイアマンガー一族を葬り去ろうとするイギリス政府、反撃を企てるアイアマンガー一族。その2つの対立を基軸に、それぞれの勢力や第3勢力群の複雑に絡みあう利害関係、肺都ロンドンを舞台にそれらの対立と共闘がダイナミックに繰り広げられる様の圧倒感。なんだかゼータガンダムの後半を思い出してしまう、そういや登場人物たちのセリフの熱さもそれっぽい…。
スゲーのは、その血沸き肉躍る闘争劇が、ゴミと糞尿と塵煙にまみれて行われるところ。主人公はゴミの声を聴きゴミを動かし、主人公の祖父は人をゴミに変え、ヒロインは体中を糞尿まみれにし、ビクトリア女王にまで汚物のシミをつけるという徹底ぶり。
きれい好きは絶対好きになれない小説だろうなぁ。この本読んだだけで風呂に入りたくなってしまった…。でも人間とは本来タフなもの、こんなに汚れ切っても青春物語になるし、偉大な闘争小説にもなるし、史実にだってある程度沿っているんやから。
万人受けするとは思えないが、はまる人にはムッサはまると思う本シリーズ。3部作ひっくくって、今年のベスト1候補である!
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ページ数が少なくなるにつれて、ああ、まだ終わらないでと思ってしまうくらい、愛しい物語でした。
訳者のあとがきを読み、作者の物に対する溢れるほどの想いの深さを知ると共に、物語のテーマの深さも伺い知れたような気がします。物と人との関係性について。それは、決して薄いものではないこと。特に、ローランド・カリスの生き方は考えさせるものがあったし、彼の行動は意外だった。
また、終盤のアイアマンガー一族の展開については、因果応報という言葉も浮かんだが、結末を見ると、そうでもないと思えました。こんな結末にすることも出来るのだと。クロッドもルーシーも本当に感情を激しく動かされて、色々と大変な思い、経験もしてきたのに、それでも、自分の信念を曲げずに自ら考えて行動している姿に、私はずっと釘付けで、心動かされました。訳者の古屋美登里さんには、センスある語彙が素晴らしくて、感謝しかありません。
最後に、私個人が最も素敵だと思った、クロッドとルーシーの台詞を。
「きみ、ぼくを引っぱたいたね」
「ほかにどうすればわたしだってわかってくれた?」
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ゴミはいつからゴミになるのだろうか。
……肺都。
物はいつから物だったのだろうか。
……肺都。
人間はいつから屑なのだろうか。
……LUNGDON。
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読み終わってしまった・・・。
おもしろかった。しばらくたったら再読しよう。
また違った発見があるようなそんな奥深い本です。