読割 50
電子書籍
繕い屋 月のチーズとお菓子の家
著者 矢崎存美
夢を行き交い「心の傷」を美味しい食事にかえて癒やしてくれる不思議な料理人・平峰花。リストラを宣告されたサラリーマンがうなされる「月」に追いかけられる夢も、家族を失った孤独...
繕い屋 月のチーズとお菓子の家
繕い屋 1 月のチーズとお菓子の家 (講談社タイガ)
商品説明
夢を行き交い「心の傷」を美味しい食事にかえて癒やしてくれる不思議な料理人・平峰花。リストラを宣告されたサラリーマンがうなされる「月」に追いかけられる夢も、家族を失った孤独な女性が毎夜見る吹雪の中で立ち尽くす悪夢も、花の手によって月のチーズやキノコのステーキにみるみるかわっていく。消えない過去は食べて「消化」することで救われる。心温まる連作短編集。
目次
- 温かな湖/お菓子の家/月と歩く/呪いのようなもの/透明な夢の中に/あとがき
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紙の本
菓子パンみたいな甘い本。
2018/11/12 00:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
ぶたぶたさんを積んで早やン年。
図書館の新刊リストにつられてこの本が矢崎存美さんの
初読となってしまいました。これを巡り合わせというのでしょう。
菓子パンみたいにひょいと読めて、こころに柔らかく問いかけてくる
作品でした。キーワードは、料理・猫・夢。
そんなおいしいものの詰め合わせです。
以下にネタバレします。
ミステリーではないので読んでもかまわないとは思いますが、
気になる方は読み飛ばして下さい。
>
>
>――― < 以下、ネタバレです > ――――<
>
五本の短篇集です。
こころに傷を負った人たちが主人公で登場します。
疲れたなあと思いながら、とぼとぼとさまよう人たち。
こころの疲れた人たちの体の表面には無数のひびが走り、
いまにも壊れそうです。
ひびを見ることができるのは、平峰花ただ一人です。
ほっておいたらひびは張り裂け、怪物が生まれて
人を食ってしまうのです。人を食うと書かれていますが、
具体的にどうなるのかは分かりません。
そうなる前に花が救ってしまうからなのです。
花はこころにできたほころびを繕う力を持った人です。
夢の中に入りこみ、その人と一緒に悪夢のもとを
消し去ることで救うのです。
どうやるかというと、なんと、食べてしまうのです。
つまり花は、悪夢のもとを使って料理する人なのです。
何が悪夢となっているのかはその人にしか分かりません。
なぜ悪夢を見るようになったのか、どこが悪夢の根っこなのか、
登場人物たちと触れ合いながらこころを解きほぐしていきます。
他人を傷つけるような人のこころにはひびは入りません。
こころ優しい人が、いつも負担を背負い、傷を負っているのです。
だから助けるのだと花は言います。
みんなこころには傷の一つや二つ、小さいものも含めたら
それこそ無数の傷があるはずです。
だからこの本を読むことで、穏やかな気持ちになるのは
いいものです。