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こんな症状があったな!
2019/06/17 14:01
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投稿者:RGOYAJI - この投稿者のレビュー一覧を見る
私自身が高次脳機能障害です。脳コワさんです。
しかし著者ほどの障害は残っておりません。現在は普通に日常生活を送れています。
私は、転落事故により脳に障害があります。事故後2週間ほどの入院でした、退院後1週間くらいで、仕事に復帰しました。もちろん事務仕事ですが、その仕事をしていても、途中で何をしているのか忘れてしまうことがあり、もう一度初めに戻って何をしていたのか、確認をしてそれで思い出して仕事を再開するという具合でした。
仕事は全然進まず、1日でこれだけと自分で思うくらいしかできませんでした。
その時は、考えていると、頭からけむりが出ているのではないかというくらい、脳がフル回転している感じでした。それは著者の言う、口パク状態を同じだったんだとこの本を読んで納得しました。
私のように、それほどの障害が残っていなくても、少しの事でも脳がフル回転して満足な仕事が出来なかったのです。
高次脳機能障害は見えない障害といわれ、ほかの人からは障害のない普通の人にみえてしまい、やろうとしているのに、なかなか出来ずに時間がかかってしまうから、怠けているように見えてしまいます。
是非この本をたくさんの人に読んでもらい、高次脳機能障害の事を理解してもらえたら高次脳機能障害の人もそうでない人も、生き易い世の中になるのではないでしょうか?
紙の本
貴重な実体験の記録&想像力の労作
2019/03/16 20:36
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投稿者:十楽水 - この投稿者のレビュー一覧を見る
高次脳機能障害の当事者、体験者の手記。障害は軽度~中等度と思われますが、当たり前に出来ていたことができない、自分をコントロールできないことが、どれだけ深刻な影響を生活にもたらし、生きづらくさせているか克明に描かれています。
著者のすごい所は、たとえば半側空間無視を「自分の左側に絶対見てはいけないものがあるような強い忌避感があって、視線はどうしても右側を見てしまう」と記述していること。教科書的には注意障害で済まされかねないところを、このように証言してもらえたら、左側を見逃すこの不思議な現象を、我が身に置き換えて理解できるように読者を導いてくれます。「そうだったんだ!知らなかった!」。驚きと発見の連続でした。
もう一つ、自分の体験を起点に発達障害を抱える妻を理解していく道程は、著者の想像力と共感性の高さが可能にしたもう一つの本書の魅力です。著者はさらに、過去に出合った生きづらさを抱える人たちにも、想像力を拡大します。かくして、自分をコントロールできず、生きづらさを抱える人たちに対し、読者は新たな見方を持つことができるようになります。
できないことを叱責して終わるのではなく、「なぜできないのか」「どうしたらできるのか」を考える大切さも教えてくれます。多くの人に読んでもらいたい一冊です。
紙の本
高次脳機能障害のリアル
2019/03/01 02:40
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投稿者:のりたま - この投稿者のレビュー一覧を見る
高次脳機能障害とはどういうことか、当事者でありながらここまで客観的に書いた著者に敬意を表する。医療関係者にもぜひ読んでいただきたい。著者の場合、配偶者に恵まれたと思うが、高次脳機能障害はこの書にあるようにしばしば性格に異変を来して周りの人に対して攻撃的になり、人間関係を壊すだけでなく患者自身も孤立することを、関係者は知っておくべきだと思う。
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20180321 自分は脳の手術を受けた事で興味を持った。この先、何が起きるかも予測できないので予防的知識として参考にしたい。
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「その人が苦しいって言ってたら、苦しいんです!」
この言葉は絶対に忘れたくないと思いました。
人間というのは他人の痛みを過小評価する傾向があるそうです。私も、ついつい「そんなの大したことないじゃん」とか「そんなこと言ったら私だって」とか、思ってしまいます。自分にも、他人に苦しさを理解してもらえなくてしんどかった経験があるにもかかわらず。この感覚は忘れたくないなと、強く思いました。
伴走者はひとりでいい、というのは、ちょっとしんどい気がするなあとも感じました。走ってる(歩いてる)当事者は必死だし、一人寄っかかれる人がいたらそれで十分!となるかもしれないけれど、伴走する側としては、ずっと寄っかかられ状態なのはキツいのでは。途中でバトンパスできる他の伴走者がいてこそ、持続可能な支援ができるのではないかなと思います。それこそ理想論かもですが。
また、特別支援教育の考え方と、医療へのその導入についても触れられ、他分野連携の必要性、重要性の大きさを改めて感じました。前作『脳が壊れた』でも、リハビリ技術の教育現場への導入について提言がありましたし、もっともっと互いの実践や研究の成果について学ぶ機会が増えたらいいなあと思います。お互いの持つノウハウの蓄積を共有することでもたらされる利益はとても大きいと思います。分野に縛られず、視点を広く持って勉強したいです。
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ギャングース鈴木さんの続編。脳梗塞の後遺症からの回復記。実体験に対してこういう感想もあれだけど、本当にこの人しかないという人を選んで発症したようなお話。
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病気周辺の本は湿っぽくなりがちだけど、この著者は前作に続き湿っぽなりすぎないよう、時に面白おかしく工夫して一般にあまり知られていない高次脳機能障害についてわかりやすく綴っている。自身のような症状を持った患者を「脳コワさん」と呼び、自身に現れた症状を「井上陽水」「架空アイドル現象」「夜泣き屋大ちゃん」「口パックン」「イラたんさん」「初恋玉」と非常にうまく分類している(詳細は「フレーズ」の部分に記載)。高次脳機能障害について当事者がこれほど詳細に症状を語っている本は稀なので参考になる。後半2章は患者周辺の人々へのガイドであり患者としての(この部分は真剣な筆致も)訴えでもある。この部分は患者の身内として参考になる部分ではあったが、自分がうまく伴奏者になれていないことを痛感させられるものでもあった。帯内にあるように、当事者・家族・医療関係者に是非読んで欲しい一冊。
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高次脳機能障害から回復した著者の貴重なルポ。これほど詳細かつ具体的なルポは他にないのでは?脳梗塞だけでなく、他の脳障害とも共通する症状も多く、非常に勉強になる。
全国の高次脳機能障害者数は約50万人といわれているが、著者が指摘するように当事者研究が一向に進んでおらず、医者がトンチンカンな回答しかできない現状では、かなりの不満が渦巻いているのではないかと危惧する。
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脳コワさん、井上陽水、架空アイドル現象、夜泣き屋、口パックン、イラたんさん、初恋玉…
妻から症状をネーミングされること、イコール共苦。ネーミングされることで今は何が起きているのか説明いらず。他者が持つ病との向き合い方について具体的な情報がたくさんありました。
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『脳が壊れた』の続編。頭が働いていないように側から見えても、当事者はいっぱいいっぱいでフリーズしてる、というのは、わかっていてもなかなか上手く対応してあげられなさそう…、ってか、相手が自分が思っても見ない困り方をしてる場合がある、ということにまず気づくことからなのかも。
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41歳で脳梗塞を発症。リハビリを重ね、日常生活に復帰した「僕」を待っていたのは「高次脳機能障害」の世界だった!小銭が数えられない、「おっぱい」から視線が外せない、人混みを歩けない、会話が出来ない、イライラから抜け出せないの「出来ないこと」だらけに加えて、夜泣き、号泣の日々。『脳が壊れた』から2年、著者はいかにして飛躍的な回復を遂げたのか。当事者、家族、医療関係者、必読の書。(袖)
言葉はわざと軽くしているように感じましたが、内容は重いです。
述べられている要望に応えられるかというと、現状、自身、難しい。
ただ、せめても心に余裕をもち、向き合いたいと思いました。
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「脳が壊れた」の続編。脳梗塞から時間が経って、その間、相当つらいことも多かったようだが、身体機能だけでなく、高次脳機能も回復してきたようで、相当程度回復したところで、回復途上の苦しさや問題点を回顧しつつ、発達障害などによる貧困者という著者がライフワークとしている要支援者との類似性、そして、支援の枠組みの類似性について考察・主張している。
著者が声を大にして言いたいことの一つが、医療者が当事者の愁訴をきちんと受け止めていないのではないかということ。たしかに、経験者としての切実な響きがあり、また、経験していない健常者には分かりにくいことなのだろう。
家族や職場に、「脳コワさん」がいる人が読むと、本人も周囲も少しハッピーになれそうな気がする。
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脳梗塞による高次脳機能障害の当事者による、回復(筆者曰く95%までの回復)までの貴重な体験記。置かれた状況は深刻なのだが、一つ一つの症状に対する奥様の絶妙なネーミングに、ちょっと笑ってしまう。
具体的に事例が書かれているので、「そうか、当事者の心のうちはこんな状態なのか」と思うことしきり。
『その人が苦しいって言ってたら、苦しいんです!』という最期の一言を忘れないようにしよう。
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脳障害は脳のスピードが遅くなるという推理には納得した。スピードが遅いので処理能力も落ちる。そして、処理が増えると能力が追い付かなくてフリーズする。これが、パニックの原因だ。脳をパソコンのCPUと考えればいいのだ。
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前作から文章を読む限り著者はすっかり回復してジャーナリストに復帰したのかと思っていたら、取材記者は引退して漫画の原作や記事の執筆など書く方に専念しているのだと知る。免許センターに電話して簡単な質問をするだけのシーン、地味に書かれているが感動。電話が終わって妻のところに行き「電話もして会話ができたよ〜、こうやっていろいろなことができるようになるのかなー?」と泣きながら報告する。妻は素晴らしい理解者。自身も発達障害で若い頃は家出したりしていたが、著者の病気に動じることなく、言葉を発せずミャーミャー言うしかないパニック状態の夫を楽しそうに面倒見る。
企業でも分業をすれば、脳コワさんでも働ける、はなかなか説得力がある。飛び込み営業ができる人がルート営業までして時間を使う必要はない、から始まり機能的に分業して脳コワさんが活躍する社会は強い社会なのではないか。