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投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
今回は死刑制度がテーマとして扱われています。スウェーデンには死刑制度がないので、作者は死刑反対というのが主要キャラクターたちを通して伝わってきます。しかし、結末は苦く、犯人の行動はとても容認できるものではありません。死刑廃止という信念のために、罪のない人間を殺害して、無実の人間に罪をきせることで死刑をゆさぶろうとするのですから。人間の命の数を計算式に使うなんてもってのほかです。だから、この小説に出てくる死刑反対派も賛成派と同じく狂気が宿っているのです。何が正しいかを決めるのは現実世界の我々なのです。
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「死刑囚」を探して探して、絶版、、、
と思っていたらハヤカワさんありがとう。
4作目は12月ということ、大変楽しみです。
このグレーンスシリーズ、読み終わるといつも腹の底にずしっときます。
そうかもしれないと思いながらも、最後の最後まで違う結末を願わずにはいられない、感情移入の方向をいつもうまく操られ、思惑通り、読了後自分の中の弱さや醜さを見つめることになります。
スヴェンの息子との会話も忘れられない。
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アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム『死刑囚』ハヤカワ文庫。
再文庫化されたので再読。グレーンス警部シリーズの第3弾。奇抜な設定と予想外の結末が待ち受ける社会派ミステリーの傑作。読み返しても、なお面白い。
スウェーデンで暴力事件を起こし、逮捕されたジョンと名乗るカナダ国籍の男は6年前にアメリカの刑務所で、死刑囚として獄死した男だった……何故、獄死したはずの男がスウェーデンに居るのか、彼の犯した罪は冤罪だったのか、彼の運命は……多くの謎を提示しながら、ストーリーが展開していく。
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毎回の事ながら
心して読み始めて入るものの
「ん、今回はそんなでもないかなぁ」と思いきや
ストンと落とされてしまう。
新たな展開も多く 読み応えがあった。
ため息しか出ない。
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シリーズ第3弾。死刑制度のないスウェーデンで死刑がテーマ。このシリーズはいつも内容が重いけれどそれは今作も同じ。そして死刑制度のある日本で読むことの意味も考えさせられる。死刑への是非。当然という立場、必要ないという立場と様々な立場から死刑というものの影響を見せてくれる。そのどれもに完全に否定できるものはなく、立場が変われば考えは変わる。正しい答えはあるのか、救われる方法は。シリーズの面白さとはまた別で問いかけられている。
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7月-9。3.0点。
グレーンス警部シリーズ。傷害事件で逮捕した男は、アメリカで死刑囚だった男。
一体どうやって逃れてきたのか、また死刑の原因の罪は、どうなるのか。
ラスト100頁からスピードアップ。真相は意外。まあまあ面白かった。
警部の怒りっぽさが、少しはましになったかな。
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この作者の本は初めてですが グレーンス警部のシリーズだそう。
重くて暗い内容なので 少々気が滅入った。
最後はホントに本当?ってオチだったけど。
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グレーンス警部。ヘルマンソンに誘われてダンスに行ったシーンから親近感覚え、これまでの印象が一変した。あいかわらずカタルシスを味わえるお話ではなかったけど、面白かった!
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このシリーズの根底に流れるテーマは「復讐」なのだろう。
一作目は幼い娘を殺された親による復讐、二作目は国境を超えた人身売買の被害者による復讐、今作は社会的復讐装置とも言うべき死刑制度に対する復讐劇となっている。
「死刑囚」を物語の中心としながら最終的に制度全体に対する復讐に仕上げていく構成が素晴らしい。単なるミステリー・サスペンスではなく、社会派小説とも言うべき、人物だけでなく社会、民衆全体に波及するストーリーとなっている。
ただ単に「正義」をかざすのではなく、そこに人物一人ひとりの細かいまでの描写と人としての苦しみ、悲しみも合わせて描かれている。
特に今回は主人公であるグレースンの哀切も描かれており、シリーズの深みを一層増している。
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スウェーデンで酔客に暴行を加えて逮捕されたカナダ国籍の男は、米国で死んだはずの元死刑囚だった!?それはスウェーデン全土と米国を舞台にした前代未聞の事件の幕開けだった。
序盤でネタは想像がつくし、あーこれジョン助からないやつだわーってなるんですが。。
まさかこんな終わりとは!
フィニガンは共感しづらいけど不幸だなあ。しかしながら目には目を、がまさに自分に返って来てるのが皮肉・・・。
死刑の支持率が異様に高いことで知られる日本では、スウェーデンでの騒ぎの描写は理解されづらいかもなと思いました。が、死刑囚の拘留中の様子や執行時の描写など、あまり知られてないことがよく描かれていて、フィクションとしてでも何か考えるきっかけになればなあと感じます。
スウェーデン組はこの結末、どう思ったのかしら。。
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死刑制度を扱った、死刑制度のないスウェーデンを舞台とするミステリ小説。
題材が重いだけに、話の内容も重くなる。
復習、私刑感情、善と悪、処罰感情、いろいろなものがない交ぜになり、読書する側も考える内容。
話の展開、決着もよかったが、ミステリ小説よりも、死刑制度について改めて考えた。
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シリーズ物は一作目から読まないと気が済まない性分だが、前二作の前評判に気圧され、第三作となる今作から手に取ってみた。現行の死刑制度が孕む矛盾点を問い質す重苦しいテーマで、ラストの一頁まで全く情け容赦ない展開が続いていく。形式上、シリーズものという体裁を取ってはいるものの、各巻で取り上げるテーマそのものが作品を司っている様な印象を受けた。それゆえ、登場人物達の造詣が実に記号的で、尚且つ傀儡的である。ダイジェストさながらに進行する終盤の無機質さ、怜悧さといい、陰鬱さに溢れたこの作風はちょっと私にはキツいな…。
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エーベルト・グレーンス警部シリーズ第三作。
自分の中の何かが麻痺したのだろうか。
エーベルト警部が、これは大事件と騒ぐのが
全く響いてこない。
作者の「やり口」に慣れてきたということか。
自分が望んでいないにもかかわらず、
意外性の無い、悲劇的な結末へと向かって、
話が進んでしまうことに。
アメリカの州立刑務所内で死刑執行前に死亡したはずの囚人が、
スウェーデンで暴力行為で逮捕され、
政治的駆け引きの結果、アメリカに引き渡されて死刑に処された。
それだけ。
死刑になると判っていて卑劣な男に暴力をふるってしまった動機も、
その無実の罪を創り出した男の動機も理解できなかった。
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この人の、このシリーズは、結末が一癖ありますね。クセがつよい(笑)。それが、このシリーズの魅力でもあるんですけどね。
そして、例によって、スッキリとする結末ではありません。それも、このシリーズの特徴。むしろ、なんか悲しいですね。それがまた、アメリカやイギリスのミステリーとは違うところですね。
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グレーンス警部シリーズ第三弾。
今作も重く苦しく辛い。
暴行で逮捕した男の身元を探ると、アメリカで6年前に死んだ死刑囚と同一人物の可能性が出てきた。大国との政治的な駆け引きの中、死んだと思われていた死刑囚と向き合うグレーンス警部。。。
一作目、二作目と同じく、救いもなく、希望もなく。だけどこんなにも辛い話なのに読むのが止められない。今作ではグレーンス警部のプライベートな側面もちょっと見えてきて、いつもの取っ付きづらさは薄いか。政治的な要素もありつつ、この死刑囚が真実を語っているのかどうかを怪しませる構成となっている。
刑事がスパッと事件を解決するわけではないのでカタルシスはないかもしれないが、社会問題と絡ませて他にない終わり方となる貴重なシリーズ。読み続けたい(と言いつつも重すぎて体力を使うので計画的に。。。)。