紙の本
罪人のカルマ
2019/08/25 18:36
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投稿者:J.J. - この投稿者のレビュー一覧を見る
仮釈放された40以上前の連続殺人犯が起こした新たな連続殺人により、トレントとアマンダ・ワグナー、イヴリン・ミッチェルの関係が明かされて行く。
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最後まで満足の一冊
2024/05/06 09:36
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投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
今まであまり親近感もなく、好意的にも見れなかったアマンダのことが、すごくいい印象になりました。今作では、現在パートとアマンダの過去パートを行ったり来たりしてストーリーが進行し、特にアマンダの過去パートは、1970年代半ばで、女性への差別意識と黒人差別が色濃くあるる時代。この若かりしアマンダとフェイスの母親のイヴリンの2人の活躍が新鮮で、すごく親しみがわきました。この過去からどのように現代パートにつながるのかに注目でしたが、なるほどそういうことかと、いい読後感を味わうことができました。そして最終盤は、またまた気になる終わり方。次にどうつながるのか楽しみです!
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70年代、女性が刑事になることの不安と苦闘の記録。
2018/07/22 05:04
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投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作『血のペナルティ』のイメージがあまりよくなかったのでどうしようかと思ったけれど、ウィルのほうにまた焦点が戻ってきたみたいなのでいいかなぁ、と。上下巻ではなく一冊でまとまってくれているのはうれしいが、600ページ超えの後味よろしくない話を読み込むには覚悟がいる。でもシリーズだから、一からはじまる物語よりは抵抗感が低いのは確か。
これは<GBI特別捜査官ウィル・トレント>シリーズ6作目にあたる。
最近半年に一作ぐらいのペースで翻訳されるのは、やっぱりそれなりに売れているということなのかしら(翻訳の方は一作おきですが)。でもサラが主役の<グラント郡シリーズ>の翻訳までは手が回らないのか、それとも版権の問題なのか、サラの過去の話だからもういいだろうなのか。翻訳物はそういうのがあるから困るよ。
現在、ジョージア工科大学の女子学生が行方不明になる事件が発生。しかし上司のアマンダの命令でウィルは事件から外され、空港勤務を命じられている。
1975年、ジョージア州アトランタ警察は刑事に女性を起用し始めた。アマンダ・ワグナーとイヴリン・ミッチェルは新米女性刑事として、男社会の警察組織の中で懸命にもがいている。二人は誰も気に留めない売春婦の連続行方不明に事件性を感じ、ひそかに捜査する。
その二つの時間軸が交互に並び、いつしかウィルの出生の秘密が明らかに・・・という話。
若き日のアマンダとイヴリン(今のウィルのパートナー、フェイスの母親)が非常に魅力的に描かれており、女性蔑視の社会の中でがんばるだけでなくそういう偏見(女にはこれはできない、的な)が自分の中にもあることに気づいて、まわりだけでなく自分とも戦うみたいなところ、すごくいい。その世代の人たちの努力があればこそ、のちの世代は楽になっているわけで(男女差別がまったくなくなったとは言えないが、その時代に比べればぐっと減っているのは確か)。またアメリカ南部は黒人差別の歴史が根強いから、女性に対するものもひどかったであろうと想像がつく。
彼女たちの努力がひそかに実を結び、味方が増えていく過程はカタルシスすら感じさせる。現在パートの話の印象が薄くなってしまうほどに。
だからこそ、『血のペナルティ』で語られた内容が非常に残念なのだ。いろいろあっても希望があるような若き二人(だけでなく、警察に勤める女性たち)のその後があんなふうになっていったなんて・・・それだけ、男社会を生き抜くのは大きすぎる負担だったのだろうか。でも同期の絆がとても強くなっているのは納得だが。
というか、この物語を補完するための前作だったのだろうか、という気がしないでもなく。
全体の3分の2を越えたあたりでやっと現在パートの意味合いがわかってきますが・・・そこまで気持ちがあるのならウィルがかわいそう過ぎないですか!、と思ってしまうのは甘いのでしょうか。この40年弱でアマンダに何があったのか・・・ひねくれすぎというか、感情を隠すことが出世には必要だったのかもしれないが、隠すなら隠すで歪んだ形で表現しないでくださいよ。
そんなわけですっかり本作の主役はアマンダになっており、ウィルもサラもフェイスも脇役。そんな中、ぶちかますアンジーの破壊力ときたら。名前のせいもあるんだけど、どうもアンジーにはアンジェリーナ・ジョリーを連想してしまう。
あぁ、こりゃまた続きが出たら読んじゃうよ・・・。
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シリーズ第6弾。今作も迫力満点。誘拐事件とウィルの父親の出所という現在のパートと、40年前のアマンダとイヴリンの若かりし頃の捜査。その二つのパートからなる今作。その二つが徐々に交わっていくのだけれど現在のウィルの感情の動き、父親の影、なにかを隠されているという不信。それだけで面白いのに40年前のパートはもっと面白い。アマンダとイヴリンが今以上に女性差別が強くある時代に警察で働いているということ。恐怖に遭遇しながらもそこに向かっていく姿、少しでも男たちに認めさせようとする姿。その強さ。前作同様に女性の強さが存分に描かれている。この二つのパートのなかにはウィルの、アマンダたちの強く大きな感情がある。シリーズの集大成のような作品。謎解きの面白さとさらにその奥にあるウィルたちの想い。ウィルのこれまでが見えきた今作。そしてこれからが気になる。早く次作が読みたい。
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良い意味で米国小説らしい重厚な内容。親子関係、恋愛、性差別問題、種々のテーマが自然に提示されていて日本の小説では味わえない濃密な読み応え。
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苦悩の刑事ウィル・トレント。女性の行方不明、殺人事件の捜査の過程で、殺人犯として刑務所にいるはすの自分の父親と手口が似ていることに気づく。そう、父親は仮出所していたのだ。まさかあの男が・・・1975年のアトランタ警察。現在はウィルの鬼上司であるアマンダは当時は駆け出しで、しかも女性はひどく差別されていた。同僚のイヴリンとともに男性刑事たちが自殺と断定した売春婦の死亡事件を調べる。現在の事件と関係があり・・・
非常にややこしく、読むのに時間がかかってしまった。「小説宝石」で書評家北上次郎氏は2018年の翻訳ミステリーとして1位にしていたけれど、ややこしさがやや得点を下げる。(ややこしいと思うのは私の頭脳の問題か)
しかし、70年代の警察。セクハラやパワハラは日常茶飯事。真っ当な捜査をしようとしても、妨害される。この時代にアトランタで女性刑事をしていたら、さぞかし毎日濃い苦渋を舐めていただろう。
アマンダとイヴリンの戦いの方が、平行して描かれる現在の事件よりも読ませるようか気がする。
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ウィル・トレント・シリーズ、6作目。
ウィル・トレントは、ジョージア州捜査局の特別捜査官。
今回は彼の出生に関わる重い秘密が明かされる回でもあるのだが。
ウィルの上司のアマンダと、その同僚だったイヴリンの若き日の話がかなりの比重を占めます。
女性警官二人の物語というのは珍しいので、こちらがポイントかと。
ウィルは長身で金髪、穏やかで大人しい性格。頭はいいのだが識字障碍を抱え、それをごまかしながら何とかやってきた。
施設で育ち、里親を転々とし、どこか影があるので、潜入捜査を得意としていたこともある。
凶悪な殺人事件が発生したが、なぜかウィルは捜査から外される。
それは、ウィルの実父が出所しているからだった。
40年さかのぼって、1975年。
アマンダは小柄で若い頃は現在とは別人のように動揺しやすい。とはいえ、全てを面に出すわけではない。
謹厳な警察官の父親に育てられてきたからだ。
イヴリンはなかなかの美人で大胆、アマンダと気が合うようになります。
男社会の警察で、それでも女性が少し増えかけてきた時代。
署内の偏見をかいくぐり、町では柄の悪い連中と渡り合う日々。
そこで遭遇した恐ろしい事件で‥
ウィルにまさかこんな過去があるとは。
子どもの頃は知らないでいた点もあり、それだけは良かったという気はしますが。
アマンダとは運命的な出会いだったのですね。
アマンダは内心、我が子に抱くような激しい愛情を抱きつつ、その執着をそのまま面に出すわけにもいかない、という葛藤があるらしい?
姿を消していたアンジーの影がそこに。
カリン・スローターはすごい。
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「彼女達が闘った時代」と
「主人公の生い立ち」の話
ウィル・トレントシリーズ6作目
現在で起こった女性の失踪事件と
過去1975年に起きた失踪事件の二つの時間軸で進む。
現在では、捜査に加われず鬼上司アマンダの圧力、謎の行動に戸惑うウィル
そして過去では、警察官として下っ端で気弱なアマンダ(おっ!)と現在のウィルの相棒フェイスの母親イヴリン(破天荒)がバディを組んで捜査にあたる。
警察内での人種差別、性差別が強く、行く先々で「女は引っ込んでろ」と罵られる。またアマンダの父は同じく警察官であり娘の行動を束縛、仕事でも人種差別的な言動で恨みを買う人物が多く、娘というだけで二重に苦しむことになる。
読んでて戸惑った。なぜこんなすぐに泣き出しそうな女性が、冷酷な鋼鉄の捜査官になるのか…想像がつかないからである。
どんな圧力にも屈しない、いや屈するけれども「自分達以外の誰が救えるのか?」という想いに従い進んでいく。
そして両方の事件に絡む「ウィルの父」の影、主人公の生い立ちがようやく明かされる。
まさかそういう過去があったとは…過去と現在を対比して読むと重みが増す場面が多く、楽しめました。
(アマンダ達とは別の)女達の戦いも、始まったばかりなのかも…
終わり方、ゾクッと来ました。
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<ウィル・トレント>シリーズ第6作。主人公はジョージア州捜査局特別捜査官のウィル・トレント。しかし、内容は彼の上司アマンダや同僚フェイスの母親でこちらも元刑事だったイブリン・ミッチェル、そして検視官のサラ・リントンといった女性登場人物たちの物語。ラストのアンジー(ウィルの妻)のエピソードは衝撃です。まさに女性である作者にしか描けないストーリーだと思います。それにしても、僕らの憧れだった1970年代のアメリカが、これほどまでに保守的で男性優位、黒人差別、女性蔑視の国だったとは。小説とは言え衝撃です。
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昔の回想が長くて読むのが大変だった。
アマンダがそこまでウィルに関わっていたとはびっくり。
アンジーからは逃れられないのか。。。?
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図書館の本 読了
内容(「BOOK」データベースより)
女子大学生の失踪事件が発生。特別捜査官ウィルはなぜか捜査から外され、忌まわしい事実を知らされる。40年以上前に凶悪な連続殺人事件を起こし、終身刑になった実の父親が仮釈放されているというのだ。やがて発見された女性の遺体には見るも無惨な拷問の痕があり、それはウィルの父親の手口と酷似していた―。1975年と現在、ふたつの事件が交錯するとき、戦慄の真実が浮かびあがる!
ウィル・トレントシリーズ第7作目。6作目は未翻訳なので飛ばしたんだけれども、順番にちゃんと翻訳して欲しいなと言うのは一読者の希望だったりする。
ウィルの自出がわかる回。
児童養護施設をいったりきたりでも「そんなに悪いところではなかった」といえる彼にサラが惹かれているのがよくわかる。
でも今回のウィルは父親の出所でまったく余裕がない状態。
イブリンとアマンダの1975年と現在をいったりきたりするんだけれども、75年が読みにくくてこのシリーズにしては読了まで時間がかかった。
アマンダとの関係、存在すらしなかった叔父夫婦との会話、そして父親の死。
この状態で側にいてくれる人が大切な人で、それがサラと気がついたのはいいこと。
アンバーとの結婚指輪をアマンダに托した次のウィルの行動が気になる。
そしてアンバー。
そのマニキュアはなに?
次行きます。
Criminal by Karin Slaughter
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このシリーズで一番面白かった。そろそろ読むのやめようかと思ってたけど、本書がすごかったし、最後のアンジーにゾクっとしたので、次も買わないと。
アンジー好きだわ。悪い女。
1970年代の2人の女性刑事の友情と活躍が最高に楽しかった。だからこそ、現代のあっけないラストに肩透かしだったけれど、その後のアンジー。凄いよアンジー。
キティがウィルがまともに育ったとか言っていたのが皮肉でいい。特に前作で本物の母親に育てられなかったことスネ倒した奴が犯人だったから、本当の親とは離れたことで今のウィルになったことのアンビバレント。
そして、ウィルを見守ってきた上司、ケアマネージャー、女性判事たち、みんな女性。あの時代をサバイバルしてきた人たち。強くて優しい。
ある意味、ウィルのハーレム展開なんだけど、男性読者はちっとも羨ましくないだろうねw
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ミステリともサスペンスとも言えない構成のように感じて(途中で中断して猿の罰の方を読んでしまった)読み終えるのが遅くなったけれど、結末の展開は好きだったかな。アマンダとイヴリンの若い頃が描かれてて、いままで好きになれなかった2人にもこんな時代があったんだと思うと好感度上がる。とくにアマンダ。それならなぜウィルにいじわるをする?w
結局ごみ箱に入れたのは誰ってことなんだろう…?
今作は黒人差別にくわえてフェミニズム要素もあるので黒人や女性を差別していたいひとはまた怒る気もする。いつかフラットな世の中になるといいな。
そしてアンジーがこわい。
ひたすらサラが心配になる!
みんな幸せになってほしい。
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『ハンティング』でその誠実さの影で、内面を巣食う怒りや生い立ちへの葛藤と戦う主人公ウィル・トレントの虜になった。
図書館の蔵書の都合で2作飛ばしての本書となってしまったが、やはり順番に読むべきだった。。
『ハンティング』で別シリーズの主人公サラ・リントンが交錯することになり、えもいわれぬ広がりを見せる著者の作品世界だが、今作では2人の関係が急に親密なものに!
あれ、そんな雰囲気だったっけ!?
間に何があった!?
そういえば、惹かれあっていたような。
覚えていない。。
2人の関係はともかくとして、ウィルの事件解決物語を期待していたのだが、まさかの上司アマンダと相方フェイスの母親イヴリンの物語。
ウィルの出生秘話を絡めつつ40年以上前の殺人事件と現在の女子大生失踪事件を交互に追う展開。
昔の事件は、1970年代半ばにアマンダとイヴリンが男性中心の警察組織の中で息をまきながら、慣れない死体や犯罪者達に立ち向かっていき、彼女達の現在の礎となる事件譚。
フェミニズムや人種差別撤廃の動きが見えつつある時代背景の中でのプレイバックヒストリーは、シリーズ全体の中での彼女達の立ち位置をきりっと浮かび上がらせるものになるに違いない。
一方で現在の事件はその過去の事件の清算とも言うべきもの。
原題”Criminal”に対して”カルマ”の語をしのばせる辺りに訳者のセンスが光る。
シリーズ全体の中では変化球的存在なのではと推測する本作。
悪くはなかったのだが、やっぱり読む順番間違えたよな。
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今まであまり親近感もなく、好意的にも見れなかったアマンダのことが、すごくいい印象になりました。今作では、現在パートとアマンダの過去パートを行ったり来たりしてストーリーが進行し、特にアマンダの過去パートは、1970年代半ばで、女性への差別意識と黒人差別が色濃くあるる時代。この若かりしアマンダとフェイスの母親のイヴリンの2人の活躍が新鮮で、すごく親しみがわきました。この過去からどのように現代パートにつながるのかに注目でしたが、なるほどそういうことかと、いい読後感を味わうことができました。そして最終盤は、またまた気になる終わり方。次にどうつながるのか楽しみです!