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猪瀬直樹電子著作集「日本の近代」第3巻 マガジン青春譜 川端康成と大宅壮一
著者 猪瀬直樹
大正期を舞台に川端康成と大宅壮一の闘いを描いた青春群像。日本近代文学史に新たな光を照射する「評伝三部作」のひとつ、『マガジン青春譜 川端康成と大宅壮一』(1998年5月小...
猪瀬直樹電子著作集「日本の近代」第3巻 マガジン青春譜 川端康成と大宅壮一
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日本の近代猪瀬直樹著作集 3 マガジン青春譜
商品説明
大正期を舞台に川端康成と大宅壮一の闘いを描いた青春群像。
日本近代文学史に新たな光を照射する「評伝三部作」のひとつ、『マガジン青春譜 川端康成と大宅壮一』(1998年5月小学館刊行、2004年9月文春文庫)を収録。
現代の情報化社会の原点ともいうべき大正時代の雑誌出版草創期を舞台に、ノーベル賞作家・川端康成とマスコミの帝王・大宅壮一の、不世出の天才が世に出るまでの闘いを描いた青春群像小説。従来のノンフィクションの手法をはるかに超える調査と想像力を駆使した画期的評伝が、「文学の市場化」「社会の大衆化」を背景に、作家の誕生を描き出す。
巻末の「解題」には、井上ひさし氏との対話「〈同性愛〉に揺れた川端康成と〈モガ〉に翻弄された大宅壮一」(『週刊ポスト』1998年6月19日号初出)のほか、単行本刊行時に各紙誌に掲載された、見城徹、中野翠、川本三郎らによる書評を収録。また、「川端康成はなぜ伊豆へ向かったか」(『文藝春秋』1998年8月号初出)、「“情の人”菊池寛」(菊池寛没後五〇年記念「屋島篝火歌舞伎パンフレット」1998年8月)など、猪瀬自身による関連記事も収める。
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紙の本
マスコミ関係者必読書
2002/11/17 00:34
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Winnie - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は、マスコミ関係者やマスコミに就職を希望している学生は必ず読むべきである。近代文学史や雑誌ジャーナリズム史を青春小説として面白く読み進めながら、簡単に理解することが出来る。
主人公の川端康成と大宅壮一は同世代で、大阪・茨木中学の先輩後輩にあたる。川端は純文学、大宅はジャーナリズムとまるで別の世界なので文学史では比較されることのない二人だが、実は二人にはいくつもの接点があった。若き日の二人が成長していく過程を実際のエピソードをもとにして痛快に描いている。そこに明治時代の夏目漱石や森鴎外という作家の誕生から、大正時代の投稿雑誌の隆盛、芥川龍之介や菊池寛の世代でのマーケットの成熟などの時代背景を綿密な取材によって事実に即して詳細に説明している。猪瀬直樹著作集のタイトルが「日本の近代」であるのを納得させる一冊である。
著者は当時の原稿料や出版部数に細かくこだわる。「日本の文学史は純文学中心でベストセラーを軽視した。したがって売れ行きについてのデータがほとんどない。それはおかしいのではないか。出版が市場として成立した以上、作家もそれに影響を受けざるをえないのだから」という考えも著者が作家だからゆえである。
一方は孤児であるにもかかわらず生活力に乏しく親戚や菊池寛からの借金だけで食いつないできたやせっぽっちの青年、もう一方は中学時代から苦学しながら家族を一人で養ってきた生活力のあるたくましい男。この二人を対比させながら、「雑誌への情熱」という感情ですべての作家を結びつけつつ、近代文学史を読み解いている。
物語は、二人が芥川の死に接して文壇ギルドの終焉を認識し、自分たちが拓いていく新しい時代を予感するところで締めくくられる。若いエネルギーを感じさせてくれる励まされる一冊である。