電子書籍
少しかためですが、台湾の歴史を俯瞰するのに最適です。
2017/10/31 09:05
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投稿者:坂の下の落人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルにあるとおり、およそこの本が書かれた1900年代初頭までの、台湾400年の歴史について書かれた新書。
本書では現代史は、国民党・蒋介石から李登輝総統までですが、台湾の翻弄された歴史について、努めて史実に中立に書かれていると思います。
そのせいか、若干教科書的というか、固めに客観的に歴史を追っているので、読みにくさはあります。
ただ、台湾の国際社会でのデリケートな立ち位置や歴史的背景、大陸共産党中国との微妙な関係性などがよく理解できました。
一番近い隣国であり、親日国の実情を知るのに、まずは一読をお勧めした良書です。
紙の本
歴史修正主義的な 本でない
2023/05/01 20:02
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投稿者:清高 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1.内容
タイトルの通り、台湾の歴史を叙述した本である。本書p.235によると、「台湾は、オランダ(スペイン)、鄭氏政権、清国、日本(大日本帝国含め。筆者補足)、そして国民党政権という、いずれも『外来政権』に支配されてきた」(p.235。もちろん、レビュー当時は民進党政権であるが、本書初版は1993年だから書かれていない)様を叙述したものである。明国は台湾に価値を認めなかったが、清国は認めた。日本の植民地支配は苛烈であったが、その下で台湾は近代化し、日本の植民地運営は中華民国も肯定的に評価した(pp.237-238参照)。日本の敗戦などで中華民国になったが、国民党は「疑似『レーニン式の政党』をめざし」(p.170)ており、強権政治であった。しかし、共産主義に対峙するアメリカから民主化を求められ、台湾は民主化に向かっている。
2.評価
(1)本書の場合、筆者は「あとがき」から読んだが、「それゆえ私は、日本の台湾統治における『植民地化の近代化』を強調するのである」(p.237)とあり、日本を善とする、いわゆる歴史修正主義的な本と勝手に思ったが、当然そうではなく、筆者の見立てが浅はかだったということである。
(2)台湾の歴史の複雑さが理解できる本である。台湾の原住民、本省人、外省人の対立がわかり、台湾独立の意味がわかる本である(だから、最近は民進党でも「独立」を主張しなくなった)。もちろん、李登輝以前の国民党の強権体制をも理解できる。
(3)取り留めなく書いたが、以上の通りであるから5点とする。
紙の本
激動の過去から不動の未来へ
2022/01/26 22:48
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
列強諸国の支配と国際情勢の変化に、翻弄されてきた歴史が伝わってきます。アジアの言論の自由・民主化の砦として、これからも立ちはだかってほしいです。
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今度、台湾に旅行に行くので読んだ。あまり知ることのなかった台湾の歴史を知ることができ、かなり勉強になった。日本や中国との関わりが興味深かった。これから台湾はどうなっていくのだろうと思った。
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実は台湾のことを何も知らなかった。
今回、台湾を旅しながら、妻が借りてきたこの本を読んだ。
そのひとつは、400年にもわたる歴史のほとんどが外来政権であったことだ。オランダ→鄭氏政権→清。わずかの期間であったが、台湾人による民主国家・台湾民主国が建国したものの、日本の侵略により、その後半世紀にわたる植民地支配が始まる。終戦後、祖国復帰を果たすものの、国共内戦によって、国民党による統治が始まった。戦後、国民党と共に本土からやってきた人を「外省人」、もともとからの台湾の人びとを「本省人」と区別した。国民党が抑えた日本統治時代の企業や工場の経営は「外省人」が独占し、「外省人」と「本省人」との間に大きな軋轢をもたらすことになった。これが一気に爆発したのが「2・28事件」。外省人である国民党は力で民衆を抑え込んだ。
ざっと書き綴ったが、この大きな流れを踏まえたうえで、今の台湾を見ていかなければならないと思う。李登輝総統の登場により、ようやく「本省人」が統治する時代に入った。国民党による一独独裁から民進党という野党が誕生した。かつての「外省人」「本省人」という社会格差、隔たりはなくなりつつあるのだろうか。そして、蒋介石時代は、本土反攻を目標としていたが、これからの台湾の進む道はいったいどうなのだろうか。
また、新たに本を読みたくなった。
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台湾の歴史の流れを学ぶにはぴったりだと思った。李登輝が民主化を推し進めるまでは粛清ばかりだったとは知らなかった。予想を超えて血塗られていたんだなぁ、というのが大きな感想。李登輝と人々の熱意に感動した。
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[ 内容 ]
一六二四年、大航海時代のオランダ支配に始まり、今日までの四百年に近い台湾の歴史は、「外来政権」による抑圧と住民の抵抗の記録である。
外来政権はオランダ(スペイン)、鄭氏政権、清国、日本そして国民党政権である。
では近年の目覚ましい経済発展の要因はどこにあったか。
また急速な民主化の進捗は、対中国との関係で台湾をどのように変貌させるだろうか。
一九九三年の「シンガポール会談」も踏まえ、歴史を描き、将来を展望する。
[ 目次 ]
序章 大航海時代の波しぶき
第1章 オランダ支配下の台湾
第2章 鄭氏政権下の台湾
第3章 清国の台湾領有と初期の経営
第4章 台湾民主国
第5章 日本統治の基礎づくり
第6章 日本植民地下の近代化
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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非常に分かりやすく、よくまとめられている。地図、年次の記載も適切で、内容の展開もスムーズ。台湾史をざっくり知る上ではこの上ない一冊。
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台湾通史の入門書としては、非常に手頃。著者名からは分からないが、書いたのは在日台湾人。戦後日本の台湾史研究は、著者ら在日台湾人研究者がリードしてきた。
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台湾生まれの著者による台湾の歴史の概略が書かれている新書版です。
オランダ支配を受けてから,鄭氏政権下となり,清国,日本,中華民国,中華人民共和国と,さまざまな支配者のもとで生きざるを得なかった台湾は,独自の文化と国民性を持っています。しかし,この国民性の「国民」とは,どこまで指すのかさえよくわからないくらい混沌としている国なので,話はやっかいになるんでしょうね。
裏の年表は,1993年で終わっています。その後,李登輝や陳水扁,馬英九といった民主的な政治の世界から出てきた総統の時代を迎えるわけですが,これは別の本に期待するしかないですね。伊藤さんが増補版を出してくれるといちばんいいのですが。
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オランダ、鄭氏政権、清朝、日本、国民党と続く台湾支配の約400年の歴史がよくわかる。筆者はもともと台湾の方らしいけど、主張としては独立派か。特に二二八事件を起こした国民党にはかなり批判的。
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14世紀から1990年代前半までの台湾の歴史について。
台湾の歴史は、外来勢力による侵攻の歴史ともいえる。そこに日本も関わっているわけで、今の台湾を理解するには避けて通れない(逆に、知っていないと、今の台湾は表面しか見えない)と感じた。
先日初めて台湾を旅行した際、現地の多くの方と会話をすることができた。その際「台湾を訪問するのは初めてです」「中国語は中国東北部で習いました」と話していたが、果たして、「台湾を『台湾』と呼ぶべきなのか、『中華民国』と呼ぶべきなのか」「中国のことを『中国』と呼んでいいのか『大陸』と呼ぶべきなのか」、心に引っかかった。
背景は知らなかったが≪本省人(台湾系)≫と≪外省人(大陸系)≫の関係はデリケートな問題だと聞いていたから。結局、誰も僕が「台湾」「中華民国」「中国」「大陸」と言っても(反感は買ったかもしれないけど)指摘されなかった。
ざっくりした歴史は、オランダ支配→鄭氏政権→清国支配→日本統治→中華民国。
オランダ時代は、中継貿易拠点として台湾を植民地化し、重税を課された。
清成立により追われた明(唐)残党勢力の鄭氏には、「清打倒」として軍事のためにまた重税を課された。一方、開拓と戸籍制度は整備されたメリットはあった。
日本統治時代、端緒は日本統治反対の台湾人の反乱から、多くの死傷者が出た。前半はインフラ整備と教育整備のメリットはあったが、戦争後半頃は強引な同化政策がすすめられた。
戦後、中華民国への編入。大陸は国共内戦で経済的にもボロボロになっていた。国民党軍のボロボロさや態度の悪さに住民は驚いた。また経済は大陸のあおりを受け、台湾で酷いインフレが生じた。住民(本省人)は「犬が去って豚が来た」と言い、失望した。
二二八事件以降、国民党に害をなすと考えられた人々が惨殺されたり、政治犯として投獄されたりした。
大陸で人民共和国が成立すると、国民党は台湾に本拠を移した。「国民党こそ正統、1つの中国」を唱えたために国際的に孤立することにもなり、中華民国が大陸も所管する部門をもたせることから、役人数が膨大になった。住民が国民党に批判することは許されず、民主化は李登輝総統が権力を掌握するのを待たねばならなかった。
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前に一度読んだが、この機会に再読。1993年刊行でやや古いのだが、李登輝時代までの台湾史を手堅くカヴァーしており、有益。「台湾史」と書いたが、「台湾史」が台湾の歴史であり得るのかという問題提起の書でもある。もちろん、筆者は台湾という島の歴史に独自のものを見出そうとしているわけで、長い植民地時代の中、とくに日本の統治時代の近代化(わけても教育)が評価される。
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台湾旅行の後、「台湾って国なの?」という疑問から歴史をネットで見ていったが、どうも当を得ない。複雑すぎる。そこでこの本を読んだところ、台湾という島ならではの苦悩、支配、立ち上がりの歴史を知ることができた。もう一度台湾に行きたい。
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台湾の歴史をざっと掴むために読んでみたが流れが分かりやすい。著者が元台湾人なので、たまに文章が熱くなるものの、客観的な視点は忘れていないのでいい感じ。