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殺人者の顔

著者 ヘニング・マンケル , 柳沢由実子

雪の予感がする一月八日の早朝、小さな村から異変を告げる急報がもたらされた。駆けつけた刑事たちを待っていたのは、凄惨な光景だった。被害者のうち、無惨な傷を負って男は死亡、虫...

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殺人者の顔

税込 1,019 9pt

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商品説明

雪の予感がする一月八日の早朝、小さな村から異変を告げる急報がもたらされた。駆けつけた刑事たちを待っていたのは、凄惨な光景だった。被害者のうち、無惨な傷を負って男は死亡、虫の息だった女も「外国の」と言い残して息を引き取る。片隅で静かに暮らしていた老夫婦を、誰がかくも残虐に殺害したのか。ヴァランダー刑事を始め、人間味豊かなイースタ署の面々が必死の捜査を展開する。曙光が見えるのは果たしていつ……? マルティン・ベック・シリーズの開始から四半世紀――スウェーデン警察小説に新たな歴史を刻む名シリーズの幕があがる!

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みんなのレビュー79件

みんなの評価3.7

評価内訳

紙の本

スウェーデンの社会派ミステリー

2002/03/25 20:46

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ケルレン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 冬の嵐が近づく夜、片田舎の村で老夫婦が襲われた。男は惨殺され、女の方は最期に「外国の」という言葉を残して息絶える。ヴァランダー刑事らイースタ署の面々は、犯人が外国人である可能性も含めて捜査を進めるが、手がかりはほとんどなく、犯人の動機さえつかめない。迷宮入りの様相を見せる中、外国人容疑者の線がマスコミに漏れ、外国人排斥運動に関わる人々を刺激してしまう。そして、移民逗留所でさらなる殺人が起こる。

 スウェーデンのミステリーは初めて読んだ。天候や風景の描写からは、荒涼として半端じゃない寒さがよく伝わってくるが、何よりも興味深かったのは、その社会状況だ。スウェーデンが移民を積極的に受け入れてきたとは知らなかったし、あんな寒そうな国に東南アジアやアフリカから渡ってきた人々までいるとは意外だった。移民をめぐる記述には、生活を脅かされるのではないかという不安と人種差別を否定する良識との葛藤がうかがえる。
 一方で、やはりと感じる馴染の問題も出てくる。老人問題、熟年離婚、世代につれた価値観の変化などだ。これらのスウェーデン版が、ヴァランダー刑事の私生活に踏み込んでじっくりと描かれている。
 本書を読んだ後、スウェーデンの映画監督ベルイマンに触れた新聞記事で、思いがけず著者の名前を見つけた。なんと彼はベルイマンの娘婿で、隣人でもあるという。ほとんど人づきあいをしないベルイマンだが、著者とは日常的に話をする間柄だとあり、ベルイマンとの交流を可能にした著者の魅力の一端が、この小説にも表れているのではないかと思う。
 刑事ヴァランダー・シリーズは、本書を皮切りに九作出ている。是非とも二作目以降を早く翻訳して出版して欲しい。

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紙の本

スウェーデン警察小説の傑作

2001/11/30 10:47

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Lady - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ふだん、英米のミステリばかり読んでいるので、いかにもスウェーデンらしい描写が出てくると、不思議な感じがします。マット・スカダーのシリーズが好きな人にあいそうです。
 訳者あとがきもすばらしくて、あとがきだけでも読む価値がありました。訳者のかたはスウェーデンにも住んでらっしゃるようで、その土地、国のことをよく知っているかたらしい、わかりやすい訳註がつけられています。翻訳もとても読みやすくて、おすすめの一冊です。

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紙の本

タイトルは地味だが、その主題は2016年でも通用する。

2016/06/30 19:35

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る

『目くらましの道』から遡って、クルト・ヴァランダー警部シリーズ第一作を探し出す。
なんだか、スコーネという地名(物語の舞台)が懐かしい感じさえするわ。 すっかり彼らやあの土地に、親近感抱いてしまったようだ。

「スウェーデン警察小説の最高峰」と言われるシリーズの第一作としては地味なタイトル。 内容を読めば確かにこのタイトルにテーマは集約されるのですが。

ヴァランダー警視は妻に出て行かれたばかりで現実としてまだ受け入れられない状態。 仕事もするけど酒に逃げている。 5作目『目くらましの道』でもそれほどカッコイイというわけではなかったものの、登場となるこの作品ではひときわ格好悪い。 立ち直っていくその後を知っているのでよかったけれど、いきなりこれから読んでいたらすごくイライラしたかもしれない・・・。

移民問題とか、外国人を排斥しようとする極右的な勢力がいたりとか、スウェーデンも大変ですね。
犯罪、それも凶悪犯罪の手段と動機の移り変わりを「古い犯罪」と「新しい犯罪」とにわけ、これからは新しい犯罪が増える、事件は残忍になり捜査は困難を極めることになるだろうことをヴァランダーは実感する。
それが1991年の話。 確かに世界は、新しい犯罪のほうに進んでいます。 このシリーズはそんな激動の90年代を切り取る物語群なのですね。(2009年1月読了)

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紙の本

小市民的な刑事が主人公の、スウェーデン警察小説

2002/07/22 23:21

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:浅知 恵 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ある雪の予感がする寒い早朝、通報を受けた刑事クルト・ヴァランダーは、老夫妻に振るわれた残酷な暴力の爪痕を目の当たりにする。瀕死の老婦人が残したのは、「外国の」という一言だった。捜査の陣頭指揮をとるクルトは緘口令を敷くが、テレビ局に情報が漏れ、移民への襲撃事件までもが発生してしまう。クルトたちは執念で犯人を追い続けるが……。

主人公クルトは警察官としては優秀だが、私人としてはお世辞にも格好良いとはいえない中年男。妻には逃げられ、娘とは上手くいかず、父親はどうやらボケ始めているようだ。おまけに食事の不摂生がたたって、中年太りが深刻な問題となってきている。どうも親近感を感じてしまう、小市民的なキャラクターなのだ。

物語は老夫婦の惨殺事件からはじまり、やがてスウェーデンの移民政策ともリンクしていく。このあたりの展開は非常に上手い。スウェーデンの移民受け入れの状況なども丁寧に説明されていて、興味を満足させてくれる出来になっている。

ところで、本書の警察官たちは他国の警察官に比べ、仕事量が少ないような気がする。割と早い時間に帰宅してしまうし。この辺はお国柄なのだろうか。

続編の邦訳が待たれる好シリーズとなりそうだ。

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2004/12/11 13:13

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2005/11/15 20:31

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2007/09/25 01:27

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2008/03/23 01:28

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2008/04/22 21:17

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2008/12/19 00:06

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2009/10/10 23:40

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2010/06/01 03:19

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2010/07/03 10:42

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2011/06/08 21:29

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2011/08/19 09:16

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