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模範郷
著者 リービ英雄
1950年代、6歳から10歳まで台湾にいた「ぼく」。日・米・中・台の会話が交錯する旧日本人街「模範郷」。そこは間違いなく「ぼく」の故郷であり、根源であった。何語にも拠らな...
模範郷
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模範郷 (集英社文庫)
商品説明
1950年代、6歳から10歳まで台湾にいた「ぼく」。日・米・中・台の会話が交錯する旧日本人街「模範郷」。そこは間違いなく「ぼく」の故郷であり、根源であった。何語にも拠らない記憶の中の風景が変わり果てたことを直視したくない「ぼく」は、帰郷を拒んでいた。だが知人の手紙を機に半世紀ぶりにかつての家を探しに行くことを決意する。越境文学の醍醐味が凝縮された一冊。第68回読売文学賞受賞作。
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紙の本
パール・バックについての認識が面白い
2022/12/06 16:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
リービ英雄氏はアメリカ生まれの小説家で本名はリービ・ヒデオ・イアン、ヒデオというのは日本に来てからつけた名前ではなくて父の友人で第二次世界大戦中に敵性外国人として抑留された日系人に因んで付けられたのだそうだ。日本語を母語とせずに日本語で創作を続けている作家である、解説を担当している温氏は教え子で台湾人、彼女も日本語で作品を書き続けている人である。子供のころ暮らしていた台中の家が今どうなっているのかと訪れる作品群、私が最も面白く感じたのは「ゴーイング・ネイティブ」、「大地」の作者である、パール・バックについての認識が彼の母校であるプリンストン大学に通うようなインテリ白人にとっては「婦人雑誌で農民ばかり書いている、昔の白人おばさんの大衆作家」でしかないということ、そうだったんだ
紙の本
国籍とは、言語とはと、文化の根底について考えさせられる作品。
2020/03/24 10:27
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
国籍とは、言語とはと、文化の根底について考えさせられる作品。確かに、移民などを例に考えるなら、生まれた時からその国で生活し続けるなら、言語も国籍もその国に馴染んでしまうのが普通であろう。しかし、著者の場合はあくまでも英語文化圏の中で生活してたし、住んでいた台湾・台中市の“模範郷”自体も日本帝国が残した遺産に過ぎなかった。あくまでも日本文化の残渣であり、日本文化の片鱗でしかなかった。しかし、著者=リービ英雄は、その“模範郷”の原風景を求める旅を続けるうちに日本文化に傾倒し、遂には「日本語で考え、日本語で書く」しかも古典語に魅力を感じる謂わば生粋の日本人になってしまったのである。何とも不思議で、謎めいた魅力を感じさせる人物である。
基本的に自伝小説や自伝的随筆などは、あくまでも私とは接点の無いその個人の経験に過ぎないということで、余り興味を持てない分野である。しか、リービ英雄の場合は、言語が民族や文化の根底であるという考えに整合しない特異例として気になるのかな。
※ リービ英雄;アメリカ生まれ、 1950/11/29日~