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よこまち余話
著者 木内昇 著
【各紙誌で話題を呼んだ哀しくも愛しい物語】その人は、もういないかもしれない。もういなくても――確かにここにいた。お針子の齣江や向かいの老婆トメさんが、いつ、どこから来て棲...
よこまち余話
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よこまち余話 (中公文庫)
商品説明
【各紙誌で話題を呼んだ哀しくも愛しい物語】
その人は、もういないかもしれない。
もういなくても――確かにここにいた。
お針子の齣江や向かいの老婆トメさんが、
いつ、どこから来て棲み始めたのか、
長屋の誰も知らない。
正体不明の男「雨降らし」が門口に立つとき、
そこには必ず不思議が起こる。
少しずつ姿を変える日々の営みの中に、
ふと立ち上る誰かの面影。
時を超え、降り積もる人々の思い。
路地にあやかしの鈴が響き、
彼女はふたたび彼と出会う――。
「いつかの人々」が囁きかけてくる感動長篇。
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木内昇氏の「この世」の境が溶け出す場所を舞台に繰り広げられる奇妙な物語です!
2020/08/09 10:10
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『漂砂のうたう』(直木賞)、『櫛挽道守』(中央公論文芸賞、柴田錬三郎賞、親鸞賞)、『浮世女房洒落日記』、『笑い三年、泣き三月。』、『ある男』などの話題作を次々に発表されている木内昇氏の作品です。同書では、最初に「ここは、<この世>の境が溶け出す場所」とあり、お針子の齣江が、皮肉屋の老婆トメさん、魚屋の少年・浩三らと肩寄せ合う長屋が舞台となってストーリーが進みます。そして、そこの押し入れの奥には遊女が現れ、正体不明の「雨降らし」が鈴を鳴らすというのです。秘密を抱えた路地を舞台に繰り広げられる追憶とはじまりの物語です。なかなか興味深い話で、読者は読み始めるや否やその物語にははまり込んでしまいます。