紙の本
私は図書館が好きです
2019/08/22 15:54
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
全国に公立図書館は3200を超えるといいます。
さらに近年は快適な空間として見直されていて、かつてのような暗いイメージはありません。
それでも地方によっては図書館に行くにはなかなか交通手段がなかったり蔵書の数が少なかったりするところも多い。
なかなか等しく図書館のサービスがいきわたっていません。
この新書の著者は、60年以上にわたって図書館に携わってきた実績のもと、石井桃子さんをはじめとした過去の図書館の活動や学校図書館の変遷など、実に細やかな視点で図書館のありようを見つめてこられました。
だから、この新書は「図書館愛」に満ちています。
「本とは、それを人と結びつける仕事をする人を必要とするもの」という言葉には、そんな著者ならではの重みを感じます・
そういう仕事をする人が図書館という「組織体」を動かしているのです。
図書館とはどういうところか。
著者はこう記しています。
「公共図書館は、乳幼児から高齢者に至るまで、その人に適切な「感じたり、考えたり、行動したりするときの手がかりになる材料」を提供して、その人が自分の力で物を考えることを支援する機関」だと。
本を借りたりすることが図書館というように考えがちですが、図書館側からだけでなく利用者側からも図書館とは自分にとってどんなところなのかを考えることも必要かもしれません。
これは本に携わっている人だけでなく、図書館を愛している利用者にも読んでもらいたい新書です。
紙の本
図書館に関わる全ての人に!
2019/08/09 22:10
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルからして、すばらしいと唸った。
生きるための図書館。
サブタイトルが一人ひとりのために
私がこれまで生きてきて(なんだか大げさな感じになってしまいますが)
まるでもう一人の親のように、図書館に育てられたなぁと思う。
本好きの父を背中を追うように、とんでもなく広くとんでもなく浅くではあるけれど、
本の世界を楽しんできた。
そうして、お世話になったのは図書館だ。
まずは図書館で借りて読んでみる。
それで、手元に置きたいと思った本をよくよく考えてから購入する。
思い出をたどれば、学校図書館で過ごした日々も懐かしい。
本の文字をたどることで、見知らぬ世界がバーンと目の前に現われる。
想像の翼がぐんぐん広がる。
自分の速度で楽しめるそのワクワク感、いつでも読みたいときに読める安心感。
いつしか私はこの本の面白さを一人で楽しむのはもったいない。
一人でも多くの人に伝えたいと思うようになったのです。
で、こちらの本の著者は60年以上にわたって図書館に携わり、
90歳を超えてなおご活躍されている。
絵本作家のかこさとしさんを思わず思い出してしまった。
地域の公共図書館を一日じっくり見学した感想や
子どもたちに本をとどけるためにと誕生した文庫活動や
新しいタイプの図書館について、
学校図書館の現場からの声など、
興味深いテーマがいくつもありました。
人と本をつなぐ仕事という章で、書き留めたい一文がありました。
本が人に語りかける
ちょっと引いてみますね。
図書館では本を新着書架に並べたり、時の話題でまとめて展示をしたり、
著者名、書名、出版社名をすぐ目にできるように、
その面を上にして目立つところに置いたりして、
本が読者に語りかけるようにします。
新着書ばかりでなく、蔵書を公開書架上に並べること自体が本の言葉を聞く場なのです。
そう、本はその存在そのもの、読まなくてもこんな力があるのですよ。
だから図書館や図書室に入ると、何と言うか本のささやきをあっちからもこっちからも感じるのですよ。
読む方によって響くところはいろいろだと思います。
図書館に関わる全ての人に、手に取って欲しい一冊です。
☆書評投稿、958冊目!
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自分の知らない世界の宝探しをしているみたいで昔から図書館が好きだった。
それと同じ感覚を持ったのはインターネットを始めた時。
「図書館が家の中に出来た!」と狂喜乱舞しました。
インターネットの世界は便利だけど図書館通いは今でもやっぱり続けている。
「検索する」という点においてはネットに勝るものはないですが「本との出会いを楽しむ」という点では図書館の方が圧倒的に面白い。
ネット社会の広がりだけでなく活字離れと言われる現在多くの書店がつぶれていっています。
ノー図書館 ノーライフ
図書館がんばれ!
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子どもの本の選び方、渡し方について特に考えさせられた…と言っても、それは別に業務のためではなく、家庭内での話なんだけれども。
3.11のときは被災地の図書館支援はできていなかったのだけれども、今後MLAKが被災したときに動ける人でありたい、と改めて思った。
いま読んでる洋書(「米国人一家、おいしい東京を食べ尽くす 」の原書)読み終わったら、ランガナタン読もうかな…kindle出てるんだろうか。
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最近発刊された(2019年6月20日第1刷発行)ばかりの本ということと、題名に興味を惹かれ、図書館に予約を入れたが、読み始めて「選択ミス」だったかなと思った。
「自分の知らない図書館の活用法なんかが紹介されているのかな」と期待して読み始めたが、どちらかというと、これまで図書館の発展や図書館サービスの充実に長年従事されてきた著者(なんと!90歳を超えて今も情熱を燃やし続けておられる)が語る図書館の歴史とこれからの期待であった。
公共図書館が充実してくるまでの歴史、特に「こどもと読書」ということに視点を絞っての図書館サービスの発展の歴史が紹介されていた。日本図書館協会理事をつとめられた著者が、それまで見てこられた中で、特に基礎作りに貢献された3名の活動や苦労などが紹介されていた。
ひとりは「ノンちゃん雲にのる」の著者石井桃子さん。次に「日本親子読書センター」を設立された斎藤尚吾さん、そして「親子読書地域文庫全国連絡会(「おやちれん」と略すらしい)」結成の中心者広瀬恒子さん。もちろん、自分は全く一市民であるので、作家の石井桃子さんの名前しか存じ上げなかった。
ともかく何事もそうだが、活動の先駆者というのはいろいろな苦労がある。石井桃子さんは作家としての広い見地から、海外からの情報を日本に取り入れ、子どもの読書の振興に貢献されたということを知った。
子どもたちへの本の読み聞かせ活動などが進んでくると、「学校の勉強に直接関係のない、読み聞かせや、子どもに本を読ませることなどは、時間の無駄だ、勉強の妨げになる」などと反対意見を述べる親が出てきたりする。今どきのモンペと呼ばれる人たちと変わらない親が、いつの時代もいるものだと少々不快感を感じながら、先駆の方々のご苦労に敬意を表したくなった。
市民から作り上げられたネットワークも発展してくると、だんだん「子どものため」という視点など本来の趣旨が忘れ去られていき、運営者の自己満足化に発展したり、上から目線の活動に流されていったりと、どんな組織にもありがちな問題に陥っていく様子も記されていた。
きっとこの問題は、こういうネットワーク運営の問題だとか、図書館運営の問題の前に、家庭の中での親子の関係の問題なのだろうなと感じた。
後半では、これからの図書館像や、東日本大震災など震災時に図書館が果たした役割の大きさなどの紹介、そしてこれからの図書館サービス、とくに図書館サービスに関わる司書や図書館員の役割などについて述べられていた。
本書はどちらかという運営者側の方々が中心読者ではないかと思う。そういう意味では「選択ミス」であったが、日ごろ図書館を利用させていただく一市民としては、どういう思いで図書館サービスを運営されているのかを知ることができて良かった。
目に見える貸出サービスなどの裏側では、「選書」という見えない重要な仕事があるのだと初めて意識した。どんな本を選ぶかは各図書館の顔であり、「選書」には図書館に関わる人たちで選書会議などを開いて検討されているとのこと。逆に考えれば、市��の意見をたくさん発信していけば、よりよい「選書」につなげていくことができるのだなとも感じた。
データとして面白かったのは、日本の公立図書館数が2017年現在で3273館あるとのこと。そしてその資料費総額は292億8174万円だそうだ。つまり人口費でいうと一人当たりの費用は229円ということになるそうだ。
単純に考えれば、自分自身に1年に229円の本を配給してもらっていることになる。日頃多く図書館を利用しているので、平均以上の利用をさせてもらえているお得感を感じることができた(笑)。
資料費の予算は現在削減傾向にあり(1999年は367億円もあったそうだ)、どんな本が図書館に並べられるかも貴重であるなと感じた。
それともう一つは、司書という方の存在を意識したことがあまりなかった。運営者側では、司書という専門的な知識を持つ人の必要性が強調されていた。利用者としては、その専門性をもっと利用させて頂くべきなのだなということを直感的に感じた。
予定外の本を読んでみるのもよいなと感じた一冊であった。
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映画「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」を見て、「未来をつくる図書館」でそのNYPLを更に知り、そこから、では日本は?と思い手に取った。
著者は日本の学校図書館の運営にも深く関わった著者が公立図書館の設立と振興の歴史、それを支援した人々、活動などを紹介している。
NYPLの活動が日本人にとって図書館というイメージの枠を外れて飛び出している感が強いのに対し、日本の図書館の活動は確かに地味に見えるが、NYPLと同様に地域に寄り添い、その助けとなる図書館を目指してきたことが同じであることはわかった。
こちらも改めて、日本の図書館も色々取り組みをしているのだなという発見と驚きだった。
ただ、子どもと読書の結びつきに重きが置かれているので、子どもと大人も含めた市民一般に対して支援する取り組みについてももっと語って欲しかった。
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長年図書館学に携わり人材育成に尽力してきた筆者が、戦後間もない頃からの公立図書館を紐解き、その原動力となった文庫運動や特に子どもに本を届けることの専門性、学校図書館での取り組みなどを現場の視点で語る。
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第1章 地域の図書館を訪ねて
第2章 子どもたちに本を
第3章 新しい図書館像を創る
第4章 災害から学んだこと
第5章 一人ひとり、みんなのために
第6章 人と本とをつなぐ仕事
竹内悊(1927-、東京、図書館学)
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図書館にはお世話になっている。
学生のころ毎日のように通って本を読みまくったのはいい思い出だ。
図書館法や今の図書館の課題について書かれているが、気になったのは、最近話題によく上がる司書の勤務形態が異常に不安定であることについてはあまりページがさかれていない。あと業務委託についても。
結局は働く人の環境のような気もするのだが、そこのあたりをどう考えているんだろう。もう運営側ではないからこうならざるを得ないのかな。
誰向けの本なんだろう。これ。
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1950年代から、図書館学を修め、図書館にかかわり続けてきた、レジェンド司書さんによる本。
私は『書店ガール』で初めて知った、家庭文庫運動のことも出てくる。
図書館を巡る60年近い歳月の中で、各地に図書館が作られたり、司書の養成課程ができたりと、成果も少なくない。
でも、出版不況や、世の中の不景気、図書館の予算削減など、明るい話ばかりでない。
一章が災害と図書館の関わりに費やされている。
建物や本の傷みを修復する話ばかりかと思ったら、そうではない。
アーカイブとして、災害の資料を残していく役割があるという。
これにははっとさせられた。
保存して、活用する。
それは、次の世代の役目だよ、と言われた気がしたからだ。
それにしても、押し付けるのではなく、人が、自分が求めている本を見つける手助けをする。
読者が本に出会うことを待つ。
大事なことだと思うのだけど、どうやってこれを実現するのだろう。
それがわかる本があればなあ。
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読みたいなぁと思っていて一年経っていた。
図書館で借りました。
60年以上にわたり図書館に携わってきた著者が、学校図書館と公立図書館の試みを、未来に向けて語った本。
素敵な本でした。
声高に指定管理者制度の問題を論じているわけではないのですが、とても自然に公務員の専門職の司書の重要性を理解できます。
石井桃子さんが全国に広がる文庫活動に複雑な思いを持っていたらしいことを初めて知りました。
それと地域の文庫が高齢化で活動を停止していることを併せて考えると、一つの時代が過ぎたということなのかもしれません。
【感じ入ったところ】
・「図書館員が作り上げるコレクションは、子どもから若者へ、若者から成人へ、さらにそれぞれの境目にいる人たちに役立つことを考えて構成する。」(P31)
児童書、YA、一般書、と括りたがるけれど、繋がっているものだと意識が改まりました。
・「その『教育』の中で、『教』とは集団教育のイメージが強いのですが、図書館は一人ひとりへの支援が仕事ですから、『育』を担当するといえます。この二つを総合して『教育』が成り立つのです。」(P109)
・学校図書館について「教科書は、読者の知識を深めるためにその知識の世界を解説する。その働きを一人ひとりに適切な本によって補い、理解を助けるのが図書館の仕事。」(P165-166)
生涯学習と社会教育の尊さ。
人が学びを深めていく場所。
図書館は、書斎というより「基地」のイメージです。
自由の森学園の図書館、とってもうらやましくて涙が出てきました。
瀬戸内市民図書館にもいつか行ってみたい。
考えるばかりでなく感じて状況をみてやっていこうと思います。
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読書離れが進んでいると耳にするが、このようなタイトルの本が認知して広まると良いな、と思った一方、文章が真面目で堅すぎるため、途中で読むの辞めちゃう人もいるのでは?
全部の章、箇所がガチガチに説明されてるため、良いことがたくさん書かれても、ポイントがどこかが読みとりづらい。
新書は心に響く箇所がどこかのページにはあると読んでいたが、タイトルと内容から響く箇所があまりなかった。
面白くない。
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私自身は司書さんにお世話になったことはなく、よくわからないなと思いました。が、レポートを提出するのに、この本を読めとアドバイスしてくれるなら、ぜひ居て欲しい。
子供の本も多すぎて何を読めばいいかわからなかった。これも司書さんを活用したらよかったのかしら。
でも言葉の発達を促す本とか、賢くなる本、読解力がつく本って言ったら教えてくれたのかな。
あと、筆者の嫌いなTSUTAYA図書館は結構いいです。やっぱり利用しやすいって大事。