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北方謙三氏の足利尊氏と実弟直義の天下取りの闘いを描いた歴史巨編の傑作が、いよいよ完結します!
2020/08/25 09:36
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『楊家将』(吉川英治文学賞)、『水滸伝』(司馬遼太郎賞)、『独り群せず』(舟橋聖一文学賞)、『楊令伝』(毎日出版文化賞)などの傑作を発表し続けておられる北方謙三氏の作品です。中公文庫からは上下2巻シリーズで刊行されており、どの下巻です。同書は、上巻に引き続き、室町幕府の権力を二分する足利尊氏・高師直派と尊氏の実弟直義派との抗争を描いた作品です。この抗争は、もはや避けられない情勢となっており、両派と南朝を睨みながら、利害を計算し離合集散する武将たちが克明に描かれます。熾烈極まる骨肉の争いに、将軍尊氏はなぜ佐々木道誉を必要としたのでしょうか?そして、道誉は人間尊氏に何を見ていたのでしょうか?その答えは、ぜひ、同書をお読みください。堂々の巨編完結です!
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後醍醐天皇没後の、幕府内の争い。
尊氏・直氏・高師直 の、誰と誰が戦っているのかも分からない、すさまじい状況です。
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2009.11.21なんばOCATのBOOK RANKINGにて購入。
上巻から続く説明不足について、解説で言及されていて納得してしまった。
『「ばさら者を描くには、書き方そのものもばさらであって良いのではないか」―北方謙三はそう思ったのではあるまいか。』
確かに、この時代のことを司馬遼太郎氏のような描き方で描けば、大変難解で、分かりにくいものとなる。
それを、年号も使わずに描いている筆者はやはり見事なのだろうか?
しかし、説明不足な所は否めず、筆者の手法が成功したともいえないであろう。
個人的には楽しめたが、ある程度歴史に詳しくないと読めない小説であろう。
ただ、佐々木道誉と尊氏・義詮の関係は熱いもので、読者を引き込む。
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*上巻の感想のコピペです。
南北朝時代の異形の巨人、ばさら大名佐々木道誉の視点から、鎌倉幕府の創生期を描いた物語。
『悪党の裔』の赤松円心もそうだけれど、道誉もなかなか読みづらいというか、主人公に同化して物語の快楽に身を任すということをさせてくれない主人公でした。主人公というよりも、触媒のような感じ。足利尊氏と、弟義直、高師直などの人間関係を、道誉を通じて相対化した、という印象があります。
『楠木正成』→『悪党の裔』→『道誉なり』と読み進めて、だんだんと尊氏に近づいてきた、という気がします。にしても、道誉もわかりにくければ尊氏もまた然りで…。多面性や躁鬱病という特徴が共通して描かれていますが、『道誉なり』で初めて、この多面性、裏表、いくつもの顔を、自分で意識していて、なおかつその上にあって支配している尊氏の姿が見えたように思いました。多重人格の中の上位人格のように、というか。読み終えてみればむしろ尊氏の話だったような気さえしました。
様々な人物が立ち現れるけれど、あくまで芯にあったのは、道誉と尊氏の「勝負」という、一対一の関係性でした。そしてこの二人を分けたものは「芸」なのだと思います。欲望まみれの人の世を超越するものとしての「芸」を、道誉は持っていたのだなと。
何せまあわかりにくかったので、そのうち読み直したいです。
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最高に面白かった。
道誉のキャラ立ちもさることながら、南北朝の時代を、立体的に学びたくなった。
太平記を読みつつ、また北方の南北朝モノを、再読してみようかと思う
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やはり、足利尊氏の物語。
悪党の裔の赤松円心、武王の門の懐良親王や菊地武光の名前が出てくるのはいいですね。
この時期の北方作品はどの順番で読めばいいのでしょうね。
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上巻のときもちょっと思ったのですが、これはある程度この時代の事を知っとかないとわかりづらいのかな……と思いつつも最後までほぼ一気に読んでしまいました。
道誉と尊氏の関係は一言で言うのは難しいけど、個人的にはこれは男の友情でいいのではないかと思う。あの他人には容易に踏み込んで行けない感じ。
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足利尊氏と実弟直義との抗争などから、道誉の立ち位置が絶妙。
戦における悪党の使い方や物資の押さえ方などが良いです。
血なまぐさく、決して共感できるわけではないけれど、淡々とした文章の中で何だか興奮できる物語だった。
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尊氏の行動全てが気持ち悪くなった。佐々木道誉を中心にもっと読んでみたかった。なんとなく名前で想像出来たんやけど、観世丸が成長して観阿弥に。解説の人は褒めてる気がしたので、じっくり読書を楽しめる人には面白いのかも知れないが、ノリで読書をする自分には全く向いてない作品で正直疲れた。
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南北朝時代は、戦国時代に負けず劣らず面白い。道誉・尊氏のみならず、他の人間にも興味湧く一冊。「いまは、すでに過去だ。ちがうか。息ひとつさえ、過去になっていく」
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結局のところ道誉とはいったい何だったのか?
あまりにも峻烈に描かれた物語を前に今、そんな問いが浮かんだ。その答えが「婆娑羅」なのだろうか。
北方謙三の南北朝シリーズが心に深く刻まれて行く。
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鎌倉時代末期から南北朝時代の武将「佐々木道誉」。
今まで読んでいそうで読んでいなかった「道誉」。北方謙三が書いていたのを知らなかった。「足利尊氏」に従い、「後醍醐天皇」の建武の新政から尊氏と共に離れ、室町幕府における重職や近江など6ヶ国の守護。
反骨精神旺盛で、周りからは権威を嘲笑し権威に対し気ままで遠慮なくふるまうように見えるが、ぎりぎりのところで勝負する美意識を持つ「ばさら」。地域的・家系的に私のルーツではないかと思っている。
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上巻のレビューでも書いたけど、足利尊氏が本当に魅力的。下巻はより魅力的。躁鬱傾向のあるリアルな造形に、師直を死なせ、直義を殺したことからくる凄味というか、開き直りというか、そういうのが加わって凄絶な妖気を帯びている。もはや人間を超えた、征夷大将軍という存在になってしまったかのよう。
道誉は破格の人間に見えて、常に冷静な語り部に徹している。うがった見方かもしれないが、グレートギャツビーの語り手とギャツビーのような、長いお別れのマーロウとテリーレノックスのような構図に見える。
中国の話よりもこの時期の南北朝の話の方が人間の複雑さにこだわっているように見えて、やはりこの時期の作品が好き。
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足利幕府成立までのカタルシスのある上巻に対し、下巻では成立後の政争と足利兄弟の喧嘩等のモヤモヤ感。この物語では、尊氏は鬱傾向にあり、下巻の不穏さは読後感に影響する。
武力闘争後の組織再編は、どの国、どの時代でもあるもんだと、改めて痛感。
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佐々木道誉を中心として、南北朝時代の闘う男たちを浮き彫りにしていく。
生き方、芯がぶれないばさらものの佐々木道誉と対して、厭世的でさへある足利尊氏。忠臣高師直を殺し、弟を殺し、倅まで殺す。殺し尽くし生き続ける。
このような生と死が交錯する展開のなか、観阿弥らの芸、笛の音が見事に調和している。