紙の本
表題作のみ素晴らしい
2022/12/07 08:38
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投稿者:ぼちぼち - この投稿者のレビュー一覧を見る
4話から成る短編集。大好きな貴志祐介作品なので図書館予約をしてずっと楽しみにしてようやく手にしたものの最初と最後の話はまったく理解できず読むのに苦慮した挙句途中で読むのをやめた。それでも中の2話は面白くて特に表題作である「罪人の選択」はさすが貴志祐介!と感嘆した。もしもこの本を見る機会があるなら表題作だけを読む気持ちで読み始めても損はないと思う
電子書籍
日経夕刊「目利きが選ぶ3冊」の読み比べ
2020/05/25 11:18
2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ハマさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
2020/5/7の日経夕刊「目利きが選ぶ3冊」で★4つでした。選者は小谷真理さん。同じ日に星5つで載ってた「静かなる太陽」と読み比べたわけですが、私の評価はどっちも★3つです。貴志祐介さんの作品も初めて読みました。SF物は嫌いじゃないけど、いまいち感情移入しにくいね。
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【二年半ぶりの新刊は、魅力を濃縮した短編集】本格的デビュー前の?幻の短編?に加え『新世界より』刊行直後に発表したSF、歴史を越えた本格ミステリなど単行本未収録作が結集!
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初期の作品からちょっと前までの作品を4編集めた短編集です。
SFを中心としていて、3編が近未来、1編が過去の世界に設定されています。個人的に全て共通していたのは、不気味さでした。読みづらさはありましたが、段々と慣れていくにつれ、独特な貴志ワールドにつれていかれるようで、貴志さんの原点を読んだ感覚がありました。
初期の作品「夜の記憶」では、言葉の表現が堅苦しく、なかなか世界観を掴められなかったのですが、独特の世界観がありました。構成も独特で、原石を読んでいる印象がありました。
「呪文」では、「新世界より」っぽい雰囲気を醸し出していました。惑星で起きる奇妙な現象や昆虫など不気味さが文章から滲み出ていて、一種の恐怖感がありました。
「罪人の選択」が個人的には、スーッと世界観が入り込めやすく、一番面白かったです。二つの時代で起きた毒殺事件の真相が、ゾワっと後味が残る不気味さを醸し出していました。二人の緊迫した心理戦が読み手にまで伝わり、背筋が凍りました。さらに意外な展開に発展し、短編ながらも満足感がありました。
「赤い雨」では、読んでいて頭をかすめたのが、新型コロナウィルスでした。現象が似ているところがあり、もし近未来に新たなウィルスが誕生した場合、最終形態として、こうなるんじゃないかと思ってしまいました。短編でしたが、長編を読んでいるようで、ボリューム感がありました。
「鍵のかかった部屋」のようなミステリーではなく、「新世界より」のような近未来感が好きな方には、おすすめかと思います。
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貴志祐介さん2年半ぶりの新作(過去に発表した作品等を収録)。水生生物の”彼”が荒廃した海を突き進むSF「夜の記憶」、信仰調査の為に惑星に派遣された主人公を描いたSF「呪文」、生きるか死ぬかの選択を迫られる罪人の葛藤を描くミステリー「罪人の選択」、謎の生物チミドロによって地球が赤く蹂躙されるパンデミックSF「赤い雨」の短編4本(SF3本+ミステリー1本)を収録。個人的には表題の「罪人の選択」が最後まで緊張感があり一番面白かった。
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本格的デビュー前に雑誌掲載された“幻の短編”、歴史を越えた本格ミステリから最新SFまで。
・夜の記憶
・呪文
・罪人の選択
・赤い雨
「夜の記憶」
『十三番目の人格‐ISOLA‐』『黒い家』で本格デビュー前に書かれた貴重な一編。未来の水生生物と惑星からの脱出を控えた夫婦の奇妙な交錯と覚醒。『新世界より』の世界観に似てます。
「呪文」
『新世界より』刊行直後の発表。植民惑星の文化調査に降り立った金城は、住民の信仰によって惑星消滅の危機を救えるか?
「罪人の選択」
戦後、復帰した佐久間の妻を寝取った磯辺との駆け引き。その駆け引きがこの世代に新たな悲劇を生む。
「赤い雨」
新参生物、チミドロによって地球は赤く蹂躙され、人類は危機的状況に。
選ばれた人間だけが入れるドームに、成績優秀のためスラムから這い上がった橘瑞樹は、不可能と言われた未知の病気RAINの治療法を探る。
貴志ワールド全開です。
好き嫌い別れるかも。
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罪人の選択は引き込まれた。オチは途中でわかるように書かれていた気がしたけど、それでも抜群に面白い。
ほかは、期待が高かっただけにちょっと残念。SFより人間的な怖さを描く方が貴志祐介作品としては好きだな。
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久々の貴志祐介さんの作品。
思っていた程はまらなかった…
表題にもなっている、罪人の選択が1番すきだったけど、最近は衝撃のどんでん返しのある作品ばかり読んでいたからか少し物足りなかった。
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2020.4.8読了。『赤い雨』はSFで、感染症と治療法を探す研究者の医師の話で、時節柄ゾクゾクしたが、やはり貴志さんにはSFではないものを書いてほしい。『罪人の選択』しかピンと来なかった。
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久しぶりの貴志祐介作品。短編を読むのは初めて。「呪文」と「赤い雨」は『新世界より』風の“らしい”SFで、引き込まれた。特に後者は今のコロナ禍と重なる。
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◆おすすめ度◆
・ちょっと前のSFなのに「今」を感じるSF小説度:★★★★
・バラエティに富んだ作風度:★★★
・ドキドキのサスペンス度:★★★
◆感想◆
1987年から2017年にかけて発表された短編集。
SF3篇とミステリー1篇。
『夜の記憶』
若さと瑞々しさを感じるSF小説。
海中をさまよう生物の思索的パートと、地球上のカップルが「思い出づくり」をするパートが交互に描かれる。
2つのパートがどう交錯するのかが読みどころ。
哀愁がこもってます。
『呪文』
植民地惑星「まほろば」の調査に赴いた金城は、現地で不思議な信仰に遭遇する。いったい「マガツ神」とは何なのか? という人間の情念と破滅的な世界と人知を超えた存在を描いたSF。
ホラーっぽい雰囲気もおどろおどろしくていい感じ。
クール(非情)なAIの描写にも説得力あり。
『罪人の選択』
「罪人」の前に出された一升瓶と缶詰。生き残るにはどっちを選択するのが正解なのか。様々な推理と思考の結果、選んだ答えは!?
交錯する2つの「罪人の選択」が、匠の技のミステリー。
『赤い雨』
「チミドロ」という遺伝子工学で作り出された藻類が地球を覆ってしまい、生き物は絶えようとしている『赤い雨』の世界。
毎日報道される新型コロナウイルスによるパンデミックが、「事実は小説より奇なり」な現実をみると、物語の世界がリアルに思える。
というか、現実は良くも悪くも人間の思考を超えている。
自然や宇宙の前では、人間なんてミジンコと同じ扱いなんだなあ。
『赤い雨』のようなパンデミックが起きた世界から脱するには、『罪人の選択』のような究極の選択が迫られるかもしれない。
「正解」を選択できればいいが、「ハズレ」た場合は「マガツ神」に『呪文』を唱えたくなる時が来るのかも。
『夜の記憶』のような手段でしか生き残れない、なんていう事にならないよう、引きこもって本でも読んでいよう。
(うまくまとまった!)
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世界観の描写がうまいと思う。
「新世界より」もそうだったけど、現実にはない世界が想像できる。
第一話の夜の記憶でも、水生生物の一人称視点で、海の中での捕食者から逃亡シーンの情景が目に浮かぶ。
それが、何の意味を持つのかは全く分からず、一切の説明ないまま話を強引に引っ張れる強さがある。
短編四編。
「夜の記憶」
暗い水中から、身体を使ったセンサーで捕食者から逃げながら町へと向かう水中生物の現在の体験。
そして、地球で愛する人との海でのひと時の記憶。
遠い未来の地球と、どこか別の星とがつながる。
「呪文」
植民星で相次ぐ謎の集団自決が続いている。
その謎を調査するため、星間企業から派遣された先はアマテラスⅣ、通称まほろば。
この星ではマガツ神と呼ばれる災厄が広がり、危機に瀕していた。
そして、神への呪いこそが、集団自決への共通点でもあった。
「罪人の選択」
第二次世界大戦後の日本、ある日ある場所の防空壕の中。
戦中に友人を裏切り、その妻を寝取ったとして男は選択を迫られていた。
焼酎か、缶詰か。
そのどちらかには毒が仕込まれている。
毒があるほうに怒りを込めた。
そして十八年後、また別の男も同じ選択を前に躊躇していた。
十八年は、古い恨みをぬぐい去るにも、新たな怨念を生み出すにも、十分な年月だ。
罪人はいつも選択を間違える。
「赤い雨」
かつてこの星は青き惑星だったが、今では赤に染まっている。
研究所で生み出された藻生物がテロリストによる爆発で地球上にばらまかれ、それが地球を一周する間に地球上の動物相、植物相は全てが変わってしまった。
人類はシェルターの中で安穏と暮らす人と、シェルターの外で危険と暮らす人に分かれた。
試験によって選ばれシェルター内で暮らす瑞樹は、血みどろの藻がもたらす病気の解明のため、外部から藻の犠牲者を運び入れることに成功したのだが。
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久々の作者さん、中編四編を収録。どれも「らしさ」が出ていて貴志ワールドを感じる。この作者さんは、ミステリーよりホラー、SF系のほうが好みなので『新世界より』のテイストがある『呪文』が一番好きかな。二年ぶりなのに二日で読了、寡作すぎるのが残念。
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短編集。SF的なものが多い印象でした。
お気に入りは「罪人の選択」。二つの時代を経て繰り返される、圧倒的なサスペンス。罪人に突きつけられた選択と与えられた「ヒント」はわかってみれば単純なのだけれど、確かにやましい人は妙に勘ぐってしまうんですよね……。結末はなんとなく予想がつくと言えばつく、とはいえ、時代を経てああいうことになるとは!
「呪文」も好き。直接の関係はあまりなさそうだけれど、「新世界より」と世界観が通ずるものがあるかな。とある惑星での奇妙な風習からやがて滅びに至る道筋、そして降りかかった災いの正体には絶句。ぞっとさせられる一作でした。
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待望の貴志さん2年半ぶりの新刊!
「悪の教典」でのサイコパス感、「新世界より」や「クリムゾンの迷宮」での不思議な世界観、「ISOLA」や「黒い家」「天使の囀り」でのホラー感、「ダークゾーン」でのゲーム感、とどの本も当時の私を楽しませてくれた。
そして今作、SFなお話2編が面白かった。最初の「夜の記憶」でムムムッ…なんだこれ?次の「呪文」のSF設定が壮大過ぎて面白い!でも恐ろし気。表題作は時代を超えたミステリでドキドキさせる。「赤い雨」はまたSFチックで映画に出来そうな物語。
と好意的に説明したが、実は読後やや物足らず。以前のような長編が読みたい!と思ってしまった。