サウンドオブミュージック
2024/06/09 06:28
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投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本を読んで映画「サウンドオブミュージック」を思い出しました。シングルファーザーを扱った本が少ないと書いてありましたが、この映画のことを思い出して欲しかったです。子どもたちとの関係に悩むこととか、共通していると思うのですが。
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シングルファザーの彼氏とその2人の息子、そして、恋愛やセックスを伴わない異性関係を望む同業の男友達との出会いと、彼等といかに嘘のない関係を築いていくかに悩み、考え、実験のように実践していった日々の記録。
前作『出会い系…』に比べると落ち着いた感じですが、家族観や、異性関係に対する考え方、また親ではない自分がシングルファザー彼氏の息子(小6と小2)の教育についてどこまで言っていいのか、など、『世間並み』の考えとか『普通』とかいうものに寄りかからず、自分自身で迷ったり考えながら進んでいく様子や、現在店長を務める本屋(日比谷コテージ)のオープンに伴う怒涛の日々など、読み応えはありました。
「支配しないことと害を与えないことだけは気をつけてる」という花田さんの子どもとの接し方は、どの親にもどの大人にも最低限必要なモラルだと思います。
花田さんが子どもとの関係性や親子問題について自分が参考にしたくて本を探した時に、あまりにも見つからなかったことが本書を書くきっかけになったそうですが、ご自身が参考になったと思った何冊かの本が巻末に紹介されていて、それもまた興味深かったです。
『男だから積極的にいかなくちゃ、とか、いっしょに泊まっていても何もないなんておかしいよ、とか、ひとりの彼氏と長く続いて結婚に向かうことだけがハッピーエンド、とか、そういうものからどんどん離れて、自由になりたい』
能町みね子さんの『結婚の奴』を読んだ時も思ったけれど、これからの結婚や異性関係は、今までの常識とガラッと変わっていくのかもしれない。そしてそれってすごくいいことかもしれない、という気がしました。
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読書が好きな理由の一つに「あ、自分と同じように考えている人がいる」と心から共感できる瞬間を味わえることがある。
自伝小説でもありエッセイでもあるこの本には花田さん自身の人生に対する姿勢が垣間見られる。
その人がその人らしく生きることを肯定する。その思いは時に矛盾を孕むものかもしれず、迷いながらも、最後は自身を肯定し、関係性を築いていく。
家族とは?という、そもそもの問いを投げかけること自体がある種の人にとっては嫌悪感を抱くものかもしれない。けれど、いわゆる「普通」とされているもの自体を否定するわけではなく、こういう形「も」いいですよね、と肯定に繋げていくストーリーは共感し、勇気づけられた。
生きていく上での寂しさも認め、自身のワクワク感も認め、ときに正しさに対して不安を感じ、本との対話の中で自分の答えを創っていく。花田さん自身の肯定が私自身の肯定にも繋がる、それこそがまさしく花田さん自身が本屋の仕事を通じて作り出したい世界なんだろうなと感じた。
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色んな生き方があって、どれが正解かわからんけれど良きパートナーとの出会いは大事にしたいなと思いましたよ。そして巻末にはもちろんだけど本文でもたくさん本の紹介が出てきて、それも楽しめる本でした。
ってか本たくさん読まないといかんんと改めて。
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「シングルファーザーの年下彼氏の子供2人と格闘しまくって考えた『家族とは何なのか問題』のこと」 花田菜々子(著)
2020 3/30 初版発行 (株)河出書房新社
2020 3/28 読了
前作「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年のこと」のその後のまたちょっと変わった体験談。
ぼくの大好きな「村田沙耶香」と同じ匂いのする「花田菜々子」
自分の芯をしっかり持ちつつ他人を同じ様に尊重し、不器用ながらお互いに心地よい距離を
真剣に模索して行く姿に好感が持てます。
全ての女性に勇気を与えてくれる作品だろうね。
前作から更に
簡潔で洗練されてメリハリのある文体は素晴らしかったね。
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日記みたいな内容でした。
私には共感できる部分が少なかったのと
前作が素晴らしかったのでその分あれ?
とがっかりしました。
次作楽しみにしております!
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著者の前作(出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと)があまりにも面白くて人生の指南書としても素晴らしい内容だったので最近新しく出版された本書を読んでみました。しんどいけど真面目にレビューを書きます(頑張って書いたら3時間くらいかかりました。読んだらいいねとかください)。
概要としてはタイトルにある通り、シングルファーザーの男性と付き合うことになった筆者がその子どもたちとどのように関わっていくかを考える話なのですが、そのことを通して 結婚とはなにか、教育とはなにか、家族とはなにかについて、いわゆる「一般的な常識」をできるだけ排除しながら筆者が徹底的に向き合っていくという内容です。
本書で印象的だった箇所の一部を以下に抜粋+自分の思ったことを書きます。
・結婚について
"ひとりの人と特殊な関係性を築くことの面白さはわかるんだけど、それが性欲や独占欲や嫉妬とか、あと一生の約束をする、みたいな事象と当たり前に結びついてないといけないっていう話になると、ちょっとわからなくなる"
→多くの人が抱えているであろう結婚に対する違和感をよくぞ言語化してくれた、という感じがしました。もちろん生涯を通して一人の人と添い遂げることの尊さや素敵さみたいなものはすごくわかるし、その生き方を実践している人のことを否定するつもりは全くありません。というか、むしろ自分もできればそうありたいと思います。が、実際問題人の感情は移ろいゆくものだし、人生のある時期における感情をもとに下した決断が、その後の自分の行動に対して強い制限をかける契約をする(=結婚をする)という制度は合理的に考えてかなりのリスクであることも間違いないと思います。
ちなみに社会学者の上野千鶴子は結婚の定義を「自分の身体の性的使用権を、特定の唯一の異性に、生涯にわたって、排他的に譲渡する契約のこと」としています。(https://toyokeizai.net/articles/-/133727)
結婚が「しなくてはならないもの」ではなくなってきた現代において、結婚とはなにか・なぜ結婚をするのか ということに対して、社会全体の「結婚ってこういうものだよね」という常識に頼るのではなく(その常識における定義すらかなり曖昧)、一人ひとり(それぞれのカップル)がしっかり話しあって定義付けを行う必要があるのではないかと思っています。(つまりカップルの数だけ結婚の定義があるということ。二人がよければもはや結婚すらしなくていい)
筆者は本書の中でパートナーの男性と「他に好きな人ができたらどうするか、自分以外の人とセックスしたら(したくなったら)どうするか」を事前に話しあっていて、すごくレベルの高い関係性だなと思いました。この話を議題にあげること自体、パートナーによっては傷つけてしまう可能性があるのですべてのカップルにできることではないかもしれませんが・・・(多くの人のなかで付き合う・結婚するということ自体、「他に好きな人ができるということはありえない」という「常識」が前提としてあるため)。
ちなみにエマ・ワトソンは��同性カップルのほうがさまざまな局面で話し合いをする機会が多いためコミュニケーション能力に長けており、健康的な関係性を築けている」という分析をしていて、「典型的な枠組みにハマらないカップルのほうが役割分担や責任の所在についてきちんと会話をして同意に達している」と語っています。(https://front-row.jp/_ct/17353054)
付き合う・結婚するの定義を曖昧にせず、きちんとお互いで話し合って決めることがこれからは重要になってくると思います。
・家族について
"私にとっては「父+息子」という組み合わせこそが新鮮だけど、彼らはもう何年もこの設定を生きてきていて、CMで親の揃った家庭の図を見ることなんて、日常茶飯事なのかも。勝手に私が期待してしまっていたのだ。「自分たちには母親がいない」と気に病んでいる子どもたちの姿を。嫌になってしまう。こんなに自由でいたいと自分で言いながら、自分こそが偏見に囚われている。"
→自分も読みながらはっとさせられた部分です。本書全体を通して(前作も含め)、筆者は自身の思考プロセスを客観的に記述することが得意なので、読みながら確かに、確かに、とシーソーゲームのように自分の考えも移り変わっていくのが感じられて楽しいです。特に、母親がいなくても普通に成立している家庭に第三者である自分がどのように参加していくのか?を模索していく過程は妥協せず徹底的に向き合っている姿勢が感じられてかっこいいです。
・教育について
"誰がどんなふうに生きてもかまわないよ、と思っていれば無責任で気が楽だ。「正しく教育する」ことと「思い通りに育てる」の違いはなんだろう。美しい魂を持って子育てしている人たちは、何を基準にその判断を下し、実行しているのだろうか。私は今まで恋人とも、結婚していた人とも「私の思い通りに変わってほしい」と思うのが苦手で、「合わないなら別れればいいじゃない」でやってきたから加減がわからなくて難しい。"
→この記述の後半部分は自分も全く同じことを考えていて、誰かを変える権利や資格が自分にはないので合わないと思えば離れるし、合うと思えば一緒にいるというスタンスを貫きたいのですが、自分の子どもができたらそういう訳にはいかなくて、「何が正しくて何が悪いのか」を全部自分が決めないといけないのはあまりに荷が重すぎるなと読んでいて感じてしまいました。
そもそもこの世のほとんどのことに良いとか悪いというのはなくて、判断する人がどう思うか、どうしたいかで決まってしまうので、それらを全部ひっくるめて教育するというのは自分には絶対に無理だなと思ってしまう。
自分の親や周囲の子育てをしている人に「どうやってものの善悪を教えているのか?」を真面目に問いたいところです。
これだけ濃い内容でありながら3時間くらいで読めるし、作中に出てくる筆者の考えのもととなった本がたくさん紹介されるので、時間対効果も抜群です。
やっぱり読書量が半端じゃない筆者の作品を読んでいると思考というのは知識によって形成されるのだな思いました。色んな人の価値観や考えを知ることで自分の思考も豊かに深くなっていくのですね。
最後に人と意見を交わすときの筆者の気持ちでほんとそれなと思った一文で終わりたいと思います。
"自分にとって当たり前の感覚について話すたびに、驚かれたりして、何度も詳しく説明しなきゃならない挙句、でもどうして? どうしてそんなふうに思うの? と少し否定的なニュアンスで聞かれ続けることは時に疲れる。議論も少しなら楽しいけど、受け入れる気がない人に答えるのは疲弊する。"
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がつんと衝撃をくらった本だった。
育児書とかよりも、この本の方が子育てのリアルを感じる。自分の感覚を揺さぶる本をもっと読んでいきたい。
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p.194
「好き勝手に生きてやりましょう」
この言葉が刺さった。
型に当てはめること、何かに例えること、正解を探すこと、
私はやりがちな方だけど、逆に自分がされると嫌だとは知っている。
自分の中に内在化された世間体や価値観と向き合いながら、他者を否定することなく、世間の正解よりも、自分なりの答えを見つけていくお話。
やっぱ、この人の書く文章好きだなぁ。
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書店員の著者が、シングルファザーの男性とその子どもたちと接しながら、関わり方を模索していく約1年間の記録。
異性との付き合い方や子どもとの付き合い方が、柔軟で自由な考え方で、ぐいぐい引き込まれ、一気読み。
子どもに色々押し付けたくない姿勢に共感したり、あまりにドライな姿が私とは違うなと感じたり、子どもを子ども扱いしすぎている自分を省みて恥じたり…ぐるぐると考えさせられて新鮮で楽しかった。
日常の些細な出来事や子どもの行動に対して著者が色々と考えている様子は、読んでいて、こうありたいなと思った。正しい答えはないけれど、考えてその時のベストで体当たりする感じ。
11歳と7歳の男の子たちとの会話や様子の描写が私にぴたっときた。映像が浮かび、空気が伝わってくる。
子育ては人対人なんだな、と何度も思った。正直に対等に向き合う姿はブレイデイみかこさんの著書を読んだ時と似た感覚。
著者が真剣に物事に向き合う姿が好き。疲れてゲームに逃げたり、仕事やめたいと言ったり、そんな自分も書いていて、好き。
時折紹介される本は読んでみたくなる。
本屋を開業するエピソードも面白く、この話だけの本があっても読んでみたいと思った。
「自分はこういうかたちなんだ、ってそれがはっきりわかることがいちばんの幸せな気がします。特に大多数の人と違う感覚を抱えている人は」
「好き勝手に生きてやりましょう」
「実験しない人生より実験する人生のほうが面白いよ」
たくさんのエピソードのあとの、著者のこの言葉に、背中を押されるような気持になった。
育児中の人もそうではない人も、世界を広げてくれる一冊になると思う。
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出会い系…ほどのインパクトはなかったけれど、人とのかかわり方、パートナーとの付き合い方など、真剣に考え、自分の心地よい状況を求めていく作者はかっこいいなと思った。
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花田さんの言葉にはたびたび共感できて、私が言葉にしたかった気持ちってこういうことか、とただただ嬉しくなってしまいました。前作も含め、読み返すときには共感した部分に付箋をつけたいと思います。なんだか、疲れたときとか悩んだときにそこを読み返したら励まされる気がします。本屋さんの店長としてのお仕事、しかも立ち上げに関わりながら、休日などを使って彼氏や子どもたちの関係をはぐくみ、楽しみ、悩み、とっても濃い!花田さんには1日が30時間くらいあるのかしら、ちゃんと寝ているのかしらと思ってしまう。でも、24時間に詰め込み切れないくらい充実して見える生活が私は素敵だなと思う。考えたことをこんなにも言葉にして表せるって素敵。本が好きな人はやっぱり好きだわ。物語の中にちょいちょい本の話が出てくるところも好きで、これから読もうと思える本も見つけました。いつか花田さんに会ってみたい、この本屋さんにも行ってみたい。したいことが見つかる本っていいな!
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ミナトくんとback numberのくだりがツボでした。
花田氏の分析と語り口が気持ちよく笑わせてくれて、爽快で軽快。格闘?は違和感だけど。タイトル負けしてない。
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「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」は題名で勝負したと思われ、それが功を奏してヒットしましたが、内容自体も読んだ事が無い内容でとても興味深かったです。
本作も、前作の題名の衝撃性を受け継ごうとした節がありますね。
内容的にはちょっとふかし気味というか、普通に子供の居る男性とお付き合いして、子供と触れ合っているという状況なので、さらっと読めるしさほど何かが起こるわけではないです。格闘というほどでもないけれど、結構子供と触れ合っていて微笑ましいです。
家族の定義という所を議論すると色々とナイーブな部分にも触れて行かなければいけないのですが、彼らは家族未満でこれからどうなっていくのかという所で、物語は閉じられていきます。「家族」という単位に一石を投じるには少々経験値の浅さを感じます。とりあえず面白い経験だし本にしちゃおうかな。という感じだと思います。
これは一般人の感覚では物凄い商売っ気を感じますが、表現者としては有りなのかなあと思います。
花田さんは見た目的にほんわか優しそうな雰囲気で結構好みなのですが、中身は結構尖っているんですね。人は見た目で判断できないものですなあ。
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目の前の悩みをリアルタイムで咀嚼していく姿が興味深く、前作同様、一気に読んでしまいました。
花田さんが、彼氏さんの小5と小2の息子たちと試行錯誤をしながら交流を深めていく話です。
子育ての途中の段階から育児に関わることの距離感について、花田さんが真摯に向き合っており、親として学ぶことが多かったです。
「オバケのQ太郎みたいな関わり」という言葉が、新しい家族の形として、とてもいい形だな、と思いました。
現在店長をされているお店の出店前夜の話や読みたくなる本が散りばめられた読書録も大きな魅力です。