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インフルエンザ21世紀
今こそ読むべきパンデミック対策の啓蒙書、電子書籍として待望の復刊!薬学博士にしてベストセラー『パラサイト・イヴ』の作家が、ウイルス学者、医療関係者、数理統計学者、ジャーナ...
インフルエンザ21世紀
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インフルエンザ21世紀 (文春新書)
商品説明
今こそ読むべきパンデミック対策の啓蒙書、電子書籍として待望の復刊!
薬学博士にしてベストセラー『パラサイト・イヴ』の作家が、ウイルス学者、医療関係者、数理統計学者、ジャーナリストなど30名を超えるスペシャリストに話を聞いた。
防疫の最前線を紹介しつつ、ウイルスの正体、変異のメカニズムから、危機管理のあり方、我々の意識の持ち方まで広範囲に取材して、ウイルスと人類の謎に迫る。ウイルスと人間社会の明日を見据えた著者渾身の一冊。
「ここに、パンデミックに立ち向かう人たちがいる。今日から、あなたもそのひとりである」
瀬名秀明
【目次より】
第1章 二一世紀のパンデミック
第2章 糖鎖ウイルス学の挑戦
第3章 ディジーズ・コントロール
第4章 時間と空間と呪縛を超える
第5章 想像力と勇気
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科学と社会を橋渡しする広範な視点でパンデミックを分析した1冊。ぜひ再販を!
2021/06/14 07:32
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投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
作家であり、薬学博士である著者が2009年の新型インフルエンザ感染拡大の際に対応した様々な分野の最前線で活躍した専門家へのインタビューをまとめ、”パンデミック”を科学的、社会学的に様々な切り口でまとめた1冊。
新書なのに約500ページと普通の新書の2~3冊分のボリューム。2009年当時の状況を行政対応、ウィルス研究、情報開示、数理モデルなど各種専門家の貴重な提言が満載です。何より本書が他のインフルエンザや感染症を扱った本と異なるのは、純粋に科学的な記述だけではなく、また社会的な側面だけでもなく、その両方の橋渡しをするような視点でまとめられている点です。本当は前後の文脈も含めて紹介したいのですが、私が本書で印象的であった部分をいくつか抜粋します。
「正しい情報に基づいて”冷静に行動してください”といういい方は意味が無い。それではメッセージを受け取った人以外の周囲が冷静でないと受け取られるし、そもそもどの情報が”正しい”のかの判断が困難である」、「災害時に直面する問題には“真理へと至る対話”(専門家の意見が一致する事象 例:咳エチケットや手洗いの励行など)、”合意へと至る対話(専門家だけでは結論は出ないが、ある程度の優先順位は合意できる事象 例:ワクチンの接種をどういう人たちを優先するか)”、”終わらない対話”(価値観や人権の考え方によって最適解が決められない事象)の3つのフェーズがあり、感染症対策はまさにこの”終わらない対話”に当たる。」などです。
特にこの”終わらない対話”については、例えば「ある病院が医療崩壊を防ぐために発熱者の外来を断ることはOKかNGか」というような、どちらの結論も間違いではないが、だからこそどのような議論の結果として導かれた結論なのか、というような問題が挙げられており、その視点からすると、今回のコロナウィルス感染拡大における専門家会議の議事録が残っていないというのは致命的じゃないか、という気がします。
他にも「”感染者=悪、不注意な人”といった差別的な報道やバッシングを防ぐにはどうするべきか」、「効果的なワクチン接種の方針はどう決めるべきか」、「"専門家"という言葉は危険である。なぜなら一般の人は”専門家”と言われると”インフルエンザについて何でも知っている人”という印象を受けてしまうが、実際には”疫学の専門家”であったり”臨床”の専門家”であったり、一人が網羅できる範囲は限られている」などコロナウィルス感染拡大の局面で非常に参考になる内容でした。改めて臨床と研究、行政と科学など一つの分野だけでなく、広い範囲で横断的に知識を持つ人が必要とされていることが伝わってきます。
本書に登場する押谷仁氏の「楽観的になり過ぎないこと、悲観的になり過ぎないこと、そして決して絶望しないこと」という言葉は重みを感じました。本書は今のところ絶版みたいですが、ぜひ再販していただきたいです。
追申 本のレビューとは外れますが、本書に私の同級生が一部登場しています。