紙の本
人殺しも、とても人間的なんですね
2024/02/21 07:07
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アガサ・クリスティーが1950年に発表した「ミス・マープル」ものの長編小説で、この作品がアガサ・クリスティーの50作めとなるそうだ。
しかも、1890年生まれの彼女にとって、60歳の節目の年齢でもある。
そして、アガサお気に入りのジェーン・マープルの作品と、色々な要素が重なり、面白い作品となった。
原題は「A Marder Is Announced」で、「殺人は予告される」という意味。
邦題はこれを『予告殺人』としているが、原題のままでもよかったように思う。
ある日、新聞の片隅に「殺人をお知らせします」という告知文が掲載される。
それによれば、小さな村に住む一人の老嬢の家で殺人があるようで、村に住み住民たちもどんな面白い出し物があるのか興味をそそられて、その時刻に老嬢の家に集まってくる。
ところが、なんと本当に老嬢は拳銃に狙われ、撃ったと思われる男が逆に死んでしまう。
そののち、老嬢には近々大金となる遺産が入ってくることが判明し、そのために命が狙われていることがわかってくる。
老嬢のまわりにいる怪しい人物たち。
そこにやって来たのが、ミス・マープル。
実はこの作品に呼応する作品があって、それはポアロものの『象は忘れない』。
この『予告殺人』の最後で脚本家の青年が書く芝居のタイトルが「象は忘れる」となっていたり、この事件の真相と『象は忘れない』の真相が似ていたりする。
「人殺しも、とても人間的なんですね」。
作品に書かれたこの言葉が、もしかしたらアガサ・クリスティー作品の魅力を集約しているような気がする。
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静かな村で
2021/05/23 16:04
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投稿者:ケロン - この投稿者のレビュー一覧を見る
静かな村の地方紙に殺人予告の広告が!?
結構ご近所さん、集まるものなんですね。
確かに本当に殺人が起こるとは思わないけど・・・。
ミス・マープルの推理はさすが。
いつもながら、あとから読んでみたら、手がかりをきちんとちりばめてくれてるんですよね。
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予告殺人
2020/11/03 10:05
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投稿者:KTYM - この投稿者のレビュー一覧を見る
「殺人をお知らせします」
イギリスの田舎町の新聞に、殺人予告の広告が出されます。そして、パーティのアトラクションかと思って集まった村人たちのいる前で、スイス人のホテル従業員が射殺されます。
アガサ・クリスティが1950年に発表した「予告殺人」。エルキュール・ポワロと並ぶもう一人の人気キャラクター、ミス・マープルの登場です。
「想像していたよりもはるかに温和な雰囲気で、ずっと年をとっていた。実際のところ、とても高齢に見えた。雪のように真っ白な髪、ピンクの皺だらけ顔、とても穏やかな無邪気なブルーの瞳」お喋り好きで、意外とフットワークも良くて、村人たちとお茶をしながらさりげなく情報収集したりします。本作品執筆当時、60歳になっていた作者の自己投影でしょうか、とってもほんわかとしていて、しかも深い人間性への洞察を持ったクリスティらしい人物造形です。
第2、第3の殺人が起きる中で、田舎村に暮らしてきた老嬢をめぐる過去に遡るドラマが明らかになります。特に奇を衒ったトリックがあるわけでもなく、読み返してみると随所にヒントや伏線が提示されているのですが、巧みな語り口にすっかり目を眩ませられてしまいました。
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ちりばめられた伏線、少しずつ明らかになっていく真実がおもしろい。
「ロティー」は気になってはいたのに表記ゆれみたいなものかと思ってスルーしてしまった。
もう少しじっくり考えてみればよかった…
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面白いなぁ。この作品。マープルがアガサクリスティに愛されているのが伝わってくる(私の好きなポアロと違って、笑)。
個人的には、中盤のマープルがカフェのブルーバードで、ドラ•バンナー、バンチそれぞれと話す場面がこの作品の醍醐味だと思う。名前の言い間違い、(ドラマで見てたのに)気づかなかった、、。室井さんの演技が素晴らしく、むしろそれ以外思い出せない。
バンチの示唆に富んだセリフ。
、、そのお金でうんと善いことをするんだと、人は自分にいいふくめる、、いろいろな計画ー孤児のために家を設けるー人生に疲れきった母親たち、働いて働いて年を老ってしまった婦人たちのために、どこか遠いところ美しい安息所を、、(中略)そのお金でなにか自分のためになることをするんだというふうに自分を偽ったら、人を殺すぐらいたいしたことはないと思うようになるわね、、
、、若くて強健な人たちよりも、年老いた病める人のほうが余計に生きることを切望して、死を怖れ、なんとか生き延びようと闘っているものだと。あたしだって生きてることを楽しんでるわ....幸福でなくても、愉しいことがなくっても、生きてるってことは...あたしがここにいることを時事刻々と意識し感じることなんだもの。
マープルと話してると、人は自然と自分の心の深いところから目を背けられなくなる。ただの噂のようなとりとめもない「誰か」の話の背景に人間のどうしようもない「業」がある。マープルから直接何か言われてる訳じゃないのに、自ら考えてることを吐露してしまう。怖い。。
マープル自身の言葉から。
、、その遺産はいわば、余分に配給されたバターみたいなものだったのです。つまり、おおっぴらに話すわけにはいかないが、だからといって、これを自分のものにしておいて悪いというわけでもないのです、、
身分を偽って遺産を相続する、という本作の核心部分に関わるところだけど、うまいこというなぁ、、
フィリパの正体が明かされたときは流石に出来過ぎに感じたけど、登場人物を全部出さなきゃいけないから仕方ないか。でも相手がどうであれ息子の父親でもある夫が事故死してこんなに打撃を受けないものか、、と誰も気にしないかもしれないところが気になった。正午に生まれたから、ピップとエンマ(pip emma)、については調べないと意味がわからなかったがスッキリ。
珍しくかなり早い段階で犯人がわかってしまうけど、最後まで読むと「真犯人」はやっぱりわかってなかったと唸らされる。そしてストーリー性もさることながら、品があって穏やかで気が良くて、牧歌的な生活を送る老婦人マープルが、時折人の本質に切り込んだことをサラッと言ってのけるところが真髄。
あとがきにあるように、アガサクリスティの祖母がモデルだとか。ピンク色の頬をした色白の老婦人で、家の中でひきこもりがちたったにも関わらず、人間の邪悪な一面をとことん知り抜いているような人物だった、と。心の芯が強くないと人が信じられなくなると思う。マープルはそういう意味で、人の本質も見る目とそれを受け止めるしなやかな強さも兼ね備えてる、アガサクリスティの理想の人だったのだろう。
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初めて読むミス・マープルシリーズ。
様々な証言や人の表情、状況証拠から推理していくタイプの探偵だった。おばあちゃん探偵らしく無害そうに、時に共感しながら証言を集めていくところは老獪だが、『詮索好きな』『老婦人』と皮肉を言われるほどあちこちに顔を突っ込んだり、警部を出し抜いて犯人を罠に掛けようとしたり、なかなかの冒険おばあちゃんだ。
事件はイギリスの片田舎にある村で、『殺人をお知らせします。10月29日金曜日、午後六時半にリトル・パドックスにて。お知り合いの方々にご出席いただきたく、右ご通知まで』という新聞広告が掲載されたことから始まる。
てっきり「殺人ゲーム」なる余興が行われるものと思い込んだ、好奇心旺盛な村の面々がリトル・パドックスに集まると、六時半ちょうどに照明が消え男が乱入。発砲音が三度した後、男が死んでいて…。
何とも不可思議な事件。一体男は何をしたかったのか。リトル・パドックスの女主人、ミス・ブラックロックを狙ったらしいが銃撃は彼女は耳の端を切っただけ。逆に男が死んでいる。
男の正体はやがて分かるが、様々な国の様々な場所でケチな請求書詐欺や万引きで小銭を稼ぐ泥棒らしい。そんな彼が何故ミス・ブラックロックを狙ったのか。
しかしやがてミス・ブラックロックには近い将来とんでもない遺産相続をするらしいことが分かる。同時にその遺産相続にはライバルもいるらしいことも分かる。
舞台であるチッピング・クレグホーンは家の中で話すことすらあっという間に村中に広まるほど開けっ広げなコミュニティで、実際玄関の鍵は外出中だろうが夕方まで掛けず、近所の人が勝手に入ってお裾分けの野菜や果物、頼まれた買い物等を置いておくなんていうことが日常の濃い関係。
横溝先生の作品に出てくるような閉鎖的なコミュニティかと思っていたら、読み進めるとそうでもない。
第二次世界大戦終戦後からの復興期らしく、社会や生活の変化も描かれている。
つまり戦争を挟んで様々な混乱や秘密があり、新しい住民も入ってきている。死んだ男や使用人のミッチのような外国人もいる。
意外なのは戦勝国なのにアメリカのような高揚感はなく、住民たちは寧ろ戦前の方が良かったと話している。
文章のスタイルとしては群像劇で様々な視点で描かれる。ミス・マープル以外にも素人探偵がいたり、野次馬的なお気楽な人がいたり、何か秘密を抱えていそうな人がいたり。しかし皆が皆正直に語っているのとは限らず敢えて語らないこともあるのがミソ。
ミス・マープルが上品なおばあちゃんで、慎ましやかではあるものの生活に困ったことなどなさそうなのに、お金や生きることへの執着やら殺人について語るところは生々しくてそのギャップに驚く。こう見えて様々な苦労をしてきたのだろうか。
犯人については途中もしかしてそうかな?と思った人だったが、それ以外の人物については全員を当てはめるのはやり過ぎかなとも思ったり。
ミス・マープルがある罠で犯人をあぶり出す最後は上手く行ったが、それによるある未遂事件は言い逃れ出来な���にしても、それ以外の事件については状況証拠だけなのだから否認されたらどうにもならないのでは?という疑問も。
まあこれは警察小説ではないし、良いか。
なかなか面白かった。新訳版が今後も出るなら読んでいきたい。
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名作と言われている本作だが、正直期待はずれだった。
以下、ダメだと思った点
・会話が必要以上に多く、出てくる人物もキャラ被りしている。
・その会話のせいで無駄に長い
・ヒステリックな人物が二人もいて疲れる。
・役割がないのに頻出する人物が複数。
・一つ目の事件から二つ目が起きるまでに200頁あり、その間同じような捜査シーンが書かれているため読んでいて飽きる。
・推理が披露される前にトリックがわかってしまう。
古典としての価値はきっとあるのだろうが、素晴らしいミステリーを読もうして本作を手に取るのは、よした方がいいでしょう。
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「完全攻略」では星2の低評価だったが自分は面白く読んだ。ところどころ引っかかるところはあり、おかしいなとも思ったのだけど、最終的に犯人がわかった時はビックリした。イギリス人は紅茶ばかりの先入観があったけれども、コーヒーも結構飲むのだなー。
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殺人の予告から事件が始まる。
新聞に載った殺人予告によって集まった村人たち。ゲームだと思っていたら、本当に男が侵入し、死んだ。ミス・ブラックロックが狙われたのか? 何のために? 偶然近くを訪れていたミス・マープルの目が光る。
ミス・マープルが輝く、とある村での事件。村の人間関係は単純なようで、複雑である。特にこの舞台となった戦後の時代は、小さな村であってもその住民がお互いすべてを知っている人間ではない。噂話に興じる村人たちも、その人が本当はどこの誰かだなんてわからないのだ。
クリスティーの作品によくある「●●になりすましているのは誰か」が肝だが、それがわかってしまったところで、この作品にはそれ以上の魅力がある。人は思われている印象以上にできることがあるということ。良きにつけ悪しきにつけ。そしてミス・マープルが優しくも鋭い眼差しで見つめる人間の強さと弱さ。自分の周りにも似た人がいるような気がする登場人物たち。ある意味キャラクター化した人たちだが、フィクションに出てくるということは、現実に存在する人たちなのだと、クリスティーの観察力と描写を存分に楽しめる作品。
解説でも触れられていたが、「人殺しも、とても人間的なんですね」という言葉に尽きる。古典となったクリスティーが今読んでも全然古びていないのは、この変わりようのない性質があるからだ。
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老女ミス・マープルが活躍するアガサ・クリスティーの傑作。
新聞に載った殺人予告、見知らぬ男の死体…。何故、誰が…イギリスの田舎町を舞台に事件の幕が上がる。
魅力的な探偵、驚きの真実、そして人間ドラマ。
ミステリーでありながらもそこに描き出される人々の弱さを丁寧に描くアガサの作品はどこか優しさや温かなものを感じる。
素晴らしい頭脳と温和さの両方を合わせ持つミス・マープルの存在も大きいだろう。
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最近、NHK BSプレミアムで「名探偵ポワロ」をよく観る。あれを観ていると最早デヴィッド・スーシェ以外にポアロは演じられなさそうな気がしてくる。
今回はポアロではなく、初めてのミス・マープル。個人的には勝手に八千草薫のイメージで読んでしまう。アニメのせいか…。
地域の誰もが読むコミュニティ新聞に出された「殺人をお知らせします」の広告。それを見て皆訪ねて行っちゃうのも現代日本に暮らすわたしには理解しがたいのだが、ある種、古き良き田舎の風景ともいえる。
そこで実際に起こった殺人の謎を、偶々友人のところにやってきたミス・マープルが解き明かす。
実は小説内に思いっきりネタバレの台詞が散りばめられており、引っかかったが受け流してしまった。こういうのを受け流さないのが名探偵なのだろう。
ミス・マープルは観察眼が鋭く、そしてそれを全てセント・メアリ・ミード村で経験した出来事に結びつけて語る。一歩間違えるとただの詮索好きのおばあちゃん(実際そういうきらいはもちろんあるが)なのだが、そこには長いこと生きた女性の思慮というか、優しさがある。デヴィッド・スーシェのポワロに比べたら幾分か傲慢な感じのある原作のポアロをアガサが持て余し、八千草薫的ミス・マープルを生み出したような気もする(原型は「アクロイド殺し」のキャロライン・シェパードなのだが、そこからより優しく丸めたような)。
登場人物全てが怪しいというきっちりとしたミステリのセオリーを踏みながら、「そこは思い至らなかった(伏線はたくさんあったのに!)」という物語の真相に脱帽した。真相を語られたときに気づくのだ、あそこはああだったのか、と。よく練られている。
そして安楽椅子探偵だと思っていたけど、ミス・マープルは相当行動的であった。他の作品も読みたくなる。
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ついに、あの老婦人探偵“ミス・マープル”に会えました。
457頁となかなかのボリューム。
新聞広告に載ったある場所・ある時間の殺人予告。
「殺人ゲーム」だと思って集まり、何が起こるか好奇心で少しワクワクしている人々。
そして現実に起きてしまった殺人の真相は?
いや~、見事に騙されました!!
これ映像でも観てみたい。
マープルの情報収集能力もすごいし、観察眼・分析力・推理はさすが!証言1つをとっても、発言の記憶の正確さにそこまでの意味を見いだしていたとは驚きでした。
怪しいと思うことはあっても、深読みせず推理とは程遠い読み方をする私とはワケが違う。
まさかの展開でした。
他のマープルシリーズも名探偵ポアロシリーズも読んでみたい。
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耳を撃たれただけで死ななかった時点で、こいつが怪しい!!と考えてしまった。
ミス・マープルシリーズは初めてだったけど、マープルさん可愛いなあ…和みました。
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この話も、犯人や背景が意外でとても楽しめた。序盤の殺人事件が起きた時のシーンは、正直、何がなんだか分からなかったが、それでも謎解きに至るまでの過程とか面白かった。
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ミス・マープルシリーズ初めて読みました。
登場人物の背景が分かりやすく、ミステリーらしい意外な展開で物語が進んで、次々読み進めたくなる本です。