香港と日本 ──記憶・表象・アイデンティティ
著者 銭俊華
二〇一九年の「逃亡犯条例改正案」への反対デモは熾烈を極め、多くの負傷者を出し、その戦いの終わりは未だに見えない。香港がこのような事態になったのは、どうしてなのか? 中国大...
香港と日本 ──記憶・表象・アイデンティティ
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商品説明
二〇一九年の「逃亡犯条例改正案」への反対デモは熾烈を極め、多くの負傷者を出し、その戦いの終わりは未だに見えない。香港がこのような事態になったのは、どうしてなのか? 中国大陸の同化政策は、人びとにどのような影響を与えたのか? 本書は、香港人としての実感と研究者としての分析で、現在に至る香港の変遷を考察する。また『ドラえもん』『進撃の巨人』と香港政治運動の意外なつながり、大日本帝国の記憶など、香港における「日本」の表象を詳細に分析する。香港出身の気鋭の若手研究者による、日本人のための香港入門。
目次
- はじめに/第I部 「準都市国家」香港/第1章 香港とは何か──「準都市国家」を旅する/1 「準都市国家」との初対面/香港は日本で「存在」しない?/香港=準都市国家/ビザフリーと滞在期間/フライトの体験/機内で映画を見る/客室乗務員たち/香港の法律/2 入国して街へ/入国と国境/香港はほっとする/「女王の頭」/ロンドンの影/コンビニの「国民食」/3 ディズニーランドと言語/香港の公用語は「中国語」ではない?/キャラクターの訳名から見る香港の言語/香港人は英語がペラペラ?/SNSから見る香港の言語の特色/4 同化政策のなかで/香港の誕生日/香港というビジネス/香港の変調と同化政策/インフラによる同化/香港人が信じるもの/香港のオリンピック・チャンピオン/第2章 香港の主体性──国籍・「中国」・日本/1 アイデンティティと国籍/アイデンティティと国籍のずれ/主体性を代表するアイデンティティと「緩いアイデンティティ」/香港住民の来歴/事実上の二重「国籍」/2 私と「中国」/同化政策以前の「中国認識」/海外旅行のような中国本土訪問/二枚の写真からの疑問/差別について/香港人はもう我慢の限界/3 香港の広東語・中文/公用語/事実上の標準化/広東語の歌/中文の教育と習得/広東語の「全国制覇」/殺し屋である広東語/広東語とエスニックマイノリティ/本当の王者──金と英語/第3章 二〇一九年の香港──運動と分裂/1 死守/運動の序章/主体保衛運動/戦争の次元/政権と恐怖/警察をめぐる記憶/2 運命づけられた分裂/集合的記憶と香港芸能人の自滅/家族との「政治闘争」/父と「愛国者」の創成/母と庶民の視覚/「大人」のやましさ/3 二〇一九年の小辞典/スピリット篇/行動篇/警察篇/数字篇/道具篇/第II部 香港と「日本」/第4章 香港と日本アニメ──表象・記憶・言説/1 日本アニメと香港の過去/共通の記憶と日本アニメ/ローカライズされた日本アニメ/「児歌金曲頒奨典礼」/アニメキャラは裏切らない/『ドラえもん』と過去の香港/「本地蛋」/『ドラえもん』と自由の喪失/2 『カードキャプターさくら』への片思い/『カードキャプターさくら』における「香港」/片思いする香港人/『カードキャプターさくら』と目覚めた香港アイデンティティ/香港の体・中国の魂/3 日本アニメと香港政治/『進撃の巨人』主題歌の替え歌/ヘイトスピーチなのか?/原歌詞との一致/『デジタルモンスター』と正義/第5章 日本イメージの変容とアイデンティティ/1 大日本帝国の記憶/韓国ドラマと日本という他者/香港カンフー映画の民族意識と卑怯な「日本」/香港の怪談と日本軍/怪談より恐ろしいテレビ番組/2 知日派から新知日派へ/戦後知日派──中国人として日本を語る/欲望の日本と香港のポリス時代/『望郷』/新知日派──香港人として日本を語る/野球映画『點五?』/香港アイデンティティと「鬼子」から解放される日本/日本ノスタルジー/第6章 戦争の記憶と「中国民族意識」/1 香港における「反日」の変容/背景/一九〇八~四一年──拡大してきた対日抗議運動
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まじめな章と軽い章が混在
2020/07/06 11:00
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投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者が香港について、まじめに語る章がある一方、結構軽い内容の章が混在した内容に仕上がっています。そのギャップの差が、読んでいて面白かったです。