大阪の森友学園に対する国有地売却問題の公文書(近畿財務局)改ざんの犠牲者赤木俊夫さん
2020/07/23 14:10
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:歯職人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
取材する側と取材される側の執拗な取材攻勢、衝突、利害の対立、取材する側からの取材される側へのプライバシーの侵害が近年注目されている。
本書は、取材する側と取材される側の相互の信頼関係の醸成が成功し、財務省、近畿財務局の職員、官邸の関係者に真実・真相の解明を迫る為の道として、司法の力、裁判所に訴えプロセス、「週刊文春」の大型キャンペーンの実現するプロセス、そして赤木俊夫さんと雅子さんの出会いから現在を解明した一冊です。
赤木夫妻の夫婦物語としても読むことができるが、やはり赤木俊夫さんを追い込んだ組織の問題、病理に注目したい。
近畿財務局という組織が、財務省の佐川宣寿理財局長(当時)の意向に沿うため、中間管理職の指揮のもと組織として公文書の改ざんに手を染め、赤木俊夫さんという高卒、国鉄民営化に伴う国鉄の人員削減の際に財務局が受け入れた人間に犠牲を強いるかのような、狙い撃ちにするかのような組織の力学が働く様子が描写されている。雅子さんは、近畿財務局の当時の関係職員の氏名と経歴を明記し、現在までに判明した彼らの役割と行動、言動を記述することにより、反論、弁明の機会を提供しようとしているようだ。それは、今も近畿財務局、財務省の組織で働く人々のあり方を改善していく道であると考えている様である。
安倍昭恵さん、森友学園の籠池夫妻というメディアの中の強烈なキャラクターに目が奪われがちだが、現場で公文書改ざんに手を染め、公務員倫理との乖離に苦悩し、人格の崩壊に追い込まれた赤木さんの人生を、裁判の判決文という形で公文書に残すための道の一里塚として本書はあるのでろう。
是非、お読みいただきたい一冊です。
「ただ真実が知りたい」それができないこの社会
2020/08/12 17:40
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふっちー - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本の内容は被害者側の立場からの話とはいえ、当然の権利の範囲で行動されていると思います。
また首相や財務大臣は十分調査・説明するチャンスがあった以上、一方的な言い分にはあたらないでしょう。
何十年も誠実に働いてきた方が、理不尽な命令で命を奪われ、切り捨てられました。
しかし隠蔽・改竄に関わった人たちは皆栄転しています。
この本に興味を持った方は、決してこの問題を他人事とは思っていないはず。
なぜこんなことが起こったのか、それを明らかにするために何ができるか、考えてみませんか?
私も真実が知りたい!
2020/08/21 08:27
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:モンタワ - この投稿者のレビュー一覧を見る
普通の主婦だった雅子さんがご主人の自死後に強くなって行く様が、なぜか『この世界の片隅に』のすずさんと重なった。私も真実が知りたい!
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2020年7月読了。
「両方の意見を聞かないと、偏った判断になる」と、価値相対主義に陥っている人たち、いい加減に目を覚まさないと本当に取り返しつかないよ。
司直による真っ当な判断が下されることを願う。
(ところがこの司直なる官僚組織も半ば腐っているので、実際には大した期待はできないのだけど。)
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弱いものが虐げられても自己責任と言われる。不祥事があってもすぐに政権支持率は回復する。現代においては弱者になってはいけない。しかし、その包囲網はどんどん縮まる。他人事だと思っているといつの間にか自分事になる。その時誰も助けてはくれない。そんな世の中に一石を投じた被害者遺族と記者の物語。世論は味方した。しかし、一歩足りない。再調査は始まらない。それは国民の責任でもある。政権を支持するのは野党がだらしないから?だったらそんな野党しか出てこない仕組みの問題を指摘しよう。
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森友問題を通し、堕落した与党(もしくは政界全体?)の実情が見えてくる
これでいて7月時点の内閣支持率40%越えとは、どうなっているんだ、この国は?
事件の内容も去ることながら、ジャーナリズム魂を熱く感じる素晴らしい一冊
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一人の公務員が上司から公文書改竄を強要されて、その罪に苛まれて自死へ至る。その責任をなすりつけ合う愚かなエリートと為政者、勇気を出して裁判へと持ち込んだ原告が彼らに求めているのは懲罰ではなく真実と謝罪である。隠蔽する人生は果たして望む道なのだろうか、誇りに思えるのだろうか。幸せから果てなく遠ざかる余生を彼らは咎めなく生きていくのであれば声を荒らげない、蔑むだけである。
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【衝撃を与えた週刊文春での手記公開】総理夫人らの関与を消すため行われた公文書改ざん。懊悩の末に死を選んだ近畿財務局職員の妻と事件を追う記者が問いかける真相。
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ほぼ1日ですあっという間に読み切りました。そして思います。
『僕も真実が知りたい』
集められた様々な証言、文書、状況の全てが佐川宣寿の安倍に対する忖度改竄命令の存在を示しており、関係した財務局の全ての職員の不起訴には黒川弘務の忖度による捜査指揮への介入を示していることがよくわかります。そしてその他にも政権に擦り寄り、嘘に嘘を重ねれば重ねるほど高い地位へと上っていく財務官僚たちの、【国民のために働く」という本分を忘れた浅ましい猟官主義的振る舞いは、本書に示唆された通りで、それは現在、太田充が財務事務次官に就任していることからもよく分かります。
国民の財産である国有地の不適正な値引きは、国民の財産を毀損しているのだから、この一点だけで、国民に対する背任行為に当たるはず。そして、その証拠を隠滅するがために違法な公文書改竄をさせ、公務員としての良心を叩き壊され、心理的に追い詰められていった赤城俊夫さんの苦痛は想像を超えるものがあります。それほどまでに彼は「国民のための仕事」を大切にした公僕だったのだと思います。
この本を、少しでもたくさんの人に読んでもらいたい。そして、赤城雅子さんに寄り添い、支え、この訴訟を応援してもらいたいと思います。
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再調査を求める署名はした。あとは何ができるだろうか。ご本人が思われている以上に応援している人は多いと思う。国と戦う、それもお一人で戦うというのは大変なことだと思う。私(たち)ができることは何だろう。
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「(認可あるいは国有地払い下げに)私や妻が関係していたと
いうことになれば、まさにこれはもう私は、それはもう間違いなく
総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げて
おきたい」
「まさに」の使い方がおかしんじゃないかと思うんだが、それは
さておき。
2017年2月17日、衆議院予算委員会で、首相だった安倍晋三の
答弁は財務省が犯した文書改ざんのきっかけとなった。
一連の文書改ざんを命じられた近畿財務局の職員であった
赤木俊夫さんは、恐怖と苦悩の末に2018年3月に自ら命を絶った。
「私の雇用主は国民です」と自負していた、生真面目な公務員で
あった夫は、何故、自死するまで追い詰められたのか。夫婦ふたり
の穏やかで幸せな生活を突然奪われた妻は、真実を詳らかにする
為に、国家という巨大権力に立ち向かって行く。
赤木氏の手記が掲載された「週刊文書」は、発売直後にほぼ完売。
私も入手出来なかったので、本書の巻末に全文が掲載されている
にはありがたい。
そうして、公務員にあるまじき文書改ざんを命じられた赤木氏の
苦痛はいかばかりか…と思いを馳せる。
本書は妻・雅子さんの手記と、取材者である相澤記者の共著である。
突然、夫を失った雅子さんが、夫の手記を後悔するまでに至った
経緯、その過程での心の葛藤、取材者である相澤記者との間に信頼
関係を築くまでの揺れ動きが詳細に綴られている。
もうさあ、狂ってるんじゃないかと思うのよ。この国は。強く抵抗
しながらも文書改ざんを命じられた職員が死に追い詰められ、他の
関係者は改ざん後に軒並み出世してる理不尽。
賭けマージャンで辞任した東京高検の黒川検事長(当時)の定年延長
だって、森友問題を握り潰したご褒美だったんだろう?「官邸の守護神」
なんて呼ばれてたんだからさ。
「丁寧に説明していく」「政治家には説明責任がある」。安倍晋三が
度々口にしていた言葉だが、彼は何も説明せず、なんの責任も負わず、
「内閣総理大臣」の椅子を放り出した。
次期総裁・菅義偉は「再調査はしない」と断言している。安倍政権が
残した汚物にはずべて蓋をする気だ。
だが、森友問題も、加計問題も、桜を見る会問題も、忘れていない
国民が、少なくともひとり、ここにいる。
妻・雅子さんの戦いは始まったばかりだ。国を相手取った裁判の行方を
見守って行きたい。そうして、私も真実が知りたいと、心から思う。
「雅子へ これまで本当にありがとうゴメンなさい 怖いよ 心身とも
に滅いりました」
秋木氏が残した手記の中の一文。切ない。
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まず、赤木雅子さんがここまで沈黙していた理由、経緯がよく分かった。
また、すごくチャーミングな夫妻だったんだなあ~と。
一気に読了。
赤木さんは国家公務員は国民に雇われていると言っていたが、赤木さん以外の当件にかかわってた人達は安倍政権に雇われているんだね。しかも洗脳されているように。明らかにわかっていたことだけど。
そして相澤冬樹さんにも興味を持ったので、彼の著書を読もっと。
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全てがありのままに書かれているという印象。
お二人の関係もスムーズにここまで来た訳ではなく、お互いに探り探りであったこともうかがえる。
奥様が陰でどんなに悲しみ苦しみ泣いてきたか…ということを想像した時に、ここまで強くいられるのはきっと「ご主人が見ててくれている」という思いからなのだろう…。
早く真実が公になりますように。
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酷い、酷い、腐った国だな、その国は。
腐った人が出世するパロディのような国になるか、裁判で明らかにされるか、ギリギリ問われている。遺族だけでない、そんな国民の為の、行動であり、その手記だと感じる。
赤木さんを忘れない
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正義感が強くて、明るく思いやりのある赤木さんが、どうして死ななければならなかったのか…辛いけれど読むべき本です。