紙の本
素晴らしきミューズたち
2020/06/27 12:27
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
優美な「マダムX」を余裕で越えるエロス…サージェント描くところのミューズの絵が印象に残る。
生命力に満ちた青年に彼は何を見たのか。
ミューズに飽きられてしまったゴヤの切なさ、影のミューズをモデルに情感たっぷりの絵を描いたレンブラント…
まさに千差万別。
紙の本
インスピレーションを与えるもの。
2020/09/20 21:03
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『マダムX』は有名な割に、観てものっぺりとした印象がある。発表当時の事情をあったを初めて知る。そしてその後出会った相手を描いた絵画の出来は数段優る。
小さな本に収められた図版を超えて、画家とモデルは物語ってくれる。
紙の本
別の角度から絵に近づく
2024/03/05 12:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:.ばっは - この投稿者のレビュー一覧を見る
面白かったし興味深かい内容から★満点
ただし著作権絡みか画像不掲載の作品が目に付くのは残念。
参考文献もちょっと雑に感じる。まあ自分で調べろって事かもしれないが。
一番気になったのは当然、メンツェルの作品。
真相を知るまで後の創作とは思わなかったほど観てきたかのように描けている。
現物もベルリンで観た。汚れて薄暗い画面で細かい描写不鮮明なのは残念だった。
晩年に得た真のミューズ → サージェントと《トーマス・E・マッケラーのヌード習作》
「飛んでいってしまった」 → ゴヤと《黒衣のアルバ女公爵》
母として画家として → ベルト・モリゾと《夢みるジュリー》
守りぬいた秘密 → ベラスケスと《バリェーカスの少年》《道化セバスティアン・デ・モーラ》
レンピッカ色に染める → タマラ・ド・レンピッカと《美しきラファエラ》
愛する母をマリアに → ギュスターヴ・モローと《ピエタ》
大王と「ちびの閣下」 → メンツェルと《フリードリヒ大王のフルート・コンサート》
伯爵の御曹司とダンサー → ロートレックと《ムーラン・ルージュ、ラ・グリュ》
野蛮な時代の絶対君主に仕えて → ホルバインと《デンマークのクリスティーナの肖像》
愛のテーマ → シャガールと《誕生日》
過酷な運命の少女を見つめて → フォンターナと《アントニエッタ・ゴンザレスの肖像》
真横から捉えた武人の鼻 → ピエロ・デラ・フランチェスカと《ウルビーノ公夫妻の肖像》
破滅型の芸術家に全てを捧げて → モディリアーニと《ジャンヌ・エビュテルヌ》
妹の顔のオイディプス → クノップフと《愛撫》
宗教改革家との共闘関係 → クラーナハと《マルティン・ルター》
画家の悲しみを照り返す → レンブラントと《バテシバ》
呪われた三位一体 → ヴァラドンと《網を打つ人》
「世紀の密会」 → ワイエスと〈ヘルガ・シリーズ〉
投稿元:
レビューを見る
絵画も視点によってすごく興味深いものになる。
知らない画家さんも新たに知ることが出来たり(タマラ・ド・レピッカとかサージェント)。ワイエスのヘルガシリーズは、ヘルガの良さが理解できないのと奥さんの立場になるとけしからんと思ってしまったり。
美術館がやってないのでこの本で芸術を楽しみました。
投稿元:
レビューを見る
これを読んでしまうと絵画の鑑賞が一味違うものに。18人の画家とモデルとの出会い。それが現在、未来へと絵の形で流れている。文も読みやすくとてもいい。
投稿元:
レビューを見る
中野先生の著書は全て読んでるが、今回は画家と無名かもしれないモデルを通して作風等を論じてるのが革新的だった。絵画を読み解きながら歴史の流れを今更の様に学べた。
投稿元:
レビューを見る
中野京子さんの本、続けて読んで、7冊目。
全て素晴らしく、たのしめるが、これが今のところ、ベスト1。
サージェントの秘密にまずガツンとやられた。
画家の切ない思いが胸に迫る。セクシャルで熱を帯びた筆致。そして最後はワイエスのヘルガシリーズで閉める。
秘密のある人間のなんと魅力的なことよ。
一つの価値観に囚われない中野京子の人間観もまた魅力。レンブラントに尽くし若くして亡くなったヘンドリッキエは「愛する人を庇護することも幸せの一つの形だ」、ヴァラドンとユトリロ、ユッテレという騒々しい三人は、「世間を騒がせ、周りの顰蹙を会議、大騒ぎの果てとはいえ、本人たちは存分に生きたと言えるのではあるまいか」と、中野京子の彼らを見る目は限りなくやさしい。
深い教養と人間への共感。
ベラスケスとフォンターナのモデルへの敬意を発見した中野京子の洞察力。小説を読むような充足感を得られる本だ。
投稿元:
レビューを見る
感性のない私に感性だけが絵の楽しみではないと教えてくれた著者。今回は画家抱いたモデルにへの想い。表紙はワイルドの描いたヘルガ。美しくも若くもないモデルの作品を245点も残していた話の驚き。多毛症の少女の愛らしい肖像。描いたファンターナと交わした会話は。エレベータボーイの黒人モデルのヌードを描いたサージェント。息子の友人と恋に落ちたヴァラドン。宗教改革者ルターと二人三脚で生きたクラーナハ。調べてもつきない、考えてもつきない、18の物語。
投稿元:
レビューを見る
[図書館]
読了:2020/8/28
サージェント、メンツェル、ロートレック、トニーナ、ジャンヌ・エビュテルヌ、ヘンドリッキエ…人に言えない懊悩を抱えた人の描写が相変わらずすごく上手いなぁ。
p. 43 ベラスケスの父方の祖父がポルトガルから来たコンベルソ(改宗ユダヤ人)であったことを隠し、自分と家族を守るために、異端審問所が手を出しにくいところ(王宮配室長)まで出世した、という見方は面白いな。
p. 31 マネの絵筆、及び数々の写真が伝えるモリゾはスリムなプロポーションの黒目黒髪、きりりとした美女だが、女らしさを武器にするには知的すぎ、プライドが高すぎる、といった印象である。これと決めたら梃子でも動かない強さも感じられる。陽気に笑う姿は想像しにくい。事実、彼女は口数が少なく、めったに笑わず、感情表現は苦手で、他人の作品に対する批評は辛辣だった。現代にも見られる「生きにくい性格の女性」というべきか。努力家で、志が高く、常に不満なのは、理想に達していないという自己否定からきていよう。
投稿元:
レビューを見る
詳細は、あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノートをご覧ください。
→ http://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-1521.html
途中から面白くて一気に読みました。 個別のことは記憶できなかったかも。
名前や絵を知ってる画家についても詳しいことは知らなかったので、読んでよかった。
投稿元:
レビューを見る
たまに美術館で肖像画を見ると
モデルから醸し出す雰囲気や
視線が柔らかく優しい絵だなぁと
感じることがあります。
このモデルは画家を心から信頼してるんだな、
そして画家はモデルに魅了されているんだろうな、と。
この本はとても良かったです。
画家とモデルの心の繋がりを
生い立ちや時代背景から
や中野京子の主観からの解説もなるほど、なるほどと思いながら
読み進めました。
サージェントの想いの人のヌードだったりゴヤとアルバ女の子公爵だったり
ワイエスとヘルガだったり。
『美しき諍い女』を観たときも思いましたが
(オチは違うけど)
肖像画は画家とモデルの共同作品であり信頼関係で傑作が生まれるということ。
投稿元:
レビューを見る
ぶらぶら美術・博物館の中野京子さんの特集を見て、気になっていて、図書館からやっと届いて、読了。
こういう本を読んだら、芸術が身近になって、本当に面白くなるはず‼️
#Bura_Bi
@Bura_Bi
#中野京子
投稿元:
レビューを見る
“レンピッカ色に染める”と“過酷な運命の少女を見つめて”が好き。「描く」「表現する」という行為の素晴らしい知性と、おぞましいまでの暴力を改めて考えさせる。
投稿元:
レビューを見る
読み応えのある解説が18本.非常に面白かった.従来の絵画の解説は画家に特化したものが大半だが、本書はモデルや画家の周辺の人も含めた話を盛り込んでいるのが最大の特徴だ.どの話も楽しめたが、マルティン・ルターを扱った"宗教改革家との共闘関係"が良かった.どのような活動も周りの人との良好な関係が、うまく展開することが肝要であることの事例のような内容だった.
投稿元:
レビューを見る
18人の画家とそのモデルについての章にわかれている。それぞれ、画家の人生について語られることは多いが、この本ではモデルの人生、それが画家の人生と交わったかが語られていて、とても面白かった。