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投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「島流し」のごとく急きょ離れ小島で暮らすことになったネトゲ廃人の《俺》と仲間たちと島民が織り成すハートウォーミングな物語。加納朋子さん、さすがです。カバーのイラストは何となくファンタジーっぽいですが、しっかりリアルな小説。なおかつミステリーの要素もちゃんとあります。ちなみに「二百十」=ニートでした。
紙の本
ニートの館
2021/01/21 13:38
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投稿者:usa_0814 - この投稿者のレビュー一覧を見る
三十路を前にしたひきこもりニートの主人公が、両親にだまされて?伯父の遺産である孤島の研修センターに放り出されると、老人ばかり十七人しかいない島で暮らしていくことになるというお話。インターネット用の回線を引き込んで、ひきこもり時代から続けていたネットゲームを再開した主人公は、生活費のためにも空いている部屋に他のニート連中を受け入れていくことになります。
もともと「犯罪すら起きない優しい世界のミステリ」を描かせたら随一の著者ですが、主な登場人物が二百十番館で暮らすむさくるしい男たち四人と、島にいる老人たちなので、絵面にしたら華やかさのカケラもありません。それでいて、このむさくるしい男たちに終始涙腺をゆるまされっぱなしになる描写は著者の真骨頂といえるかもしれません。ひきこもりでコミュニケーションにうとい彼らだからこそ、人の好意に対してしぜんと涙を流すことができる存在にもなっています。
ニートの主人公が、伯父の遺産となる研修センターに捨てられるという導入はまず強引ですし、登場人物や起きる事件も都合がよすぎる側面はありますが、そんなものはミステリ小説で殺人事件がかんたんに起きるなんて強引だというくらい野暮というものでしょう。むしろ主人公が「君それだけしっかりした人間なのによくニートになれたね」というくらいには行動力があることに、苦笑しなくもありませんでした。
かなり親切で丁寧な描写が用いられていますが、それでもインターネットを用いたネットゲームというものに親しみがない人には、彼らが楽しんでいるゲームというものが理解しづらいかもしれません。だからこそ、いわゆるライトノベルを読んでいる人や、個人的にはライトノベルを書いている人に読んでみてほしい作品です。
これだけのロジックとこれだけの描写があれば、ネトゲ廃人のむさい男を主人公にして、これだけ感動するお話を書くことができるんですよと。
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最高の読後感。
「刹那」が島に放り出されたいきさつはなんだかろくでもなくて、どうなることかと思ったけど、島の老人たちのキャラがナイスで嬉しくなる。
そして、最初は生活費のためのやむにやまれずだったとはいえ、他の人間と同居を始めることで変わっていく刹那。
ヒロもBJも変わっていく。
BJの抱えたトラウマは重すぎたけれど、島での出来事が大きなきっかけになってくれた。
サトシも、最初はどうなることかと思ったー。
それにしても、まさか、あんな事実が隠されていたなんて。
予想もしなかった。
人と人は、思いがけないところでつながっていた。
最高の夏休み。
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ニートでネトゲ廃人の「刹那」。ついに親から自宅警備員を無理矢理返上させられ、伯父が相続した離島の研修センターへ訳も判らず放り込まれた。
『二百十番館』と名付けた研修センターで、シェアハウスをしていく事になり…
二百十番館に住むメンバーは、親から見放されたニートだったり、世間から離れた人ばかりだったけど、島のゆったりした人達に囲まれ、少しずつ自分の居場所を見つけていく姿に成長を感じました。
タピオカちゃんやラクダさんの正体も意外でしたが、そのお陰で前に進めて良かったです。
これからも二百十番館は賑やかになりそうで、読了後はほんわかしました。
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あらすじを何も知らずに、ただ加納朋子さんの本だから土手を取り、かわいいねこちゃんの表紙で勝手に子ども向けファンタジーかなと思いきや…まさかの島に捨てられたニートたちの館の物語で、ネトゲ廃民。かなりの予想外で、タピオカさんとかラクダさんとか全部やられたーってなった。久しぶりに加納朋子さんの爽やかなミステリーを堪能し大満足!
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就活に失敗したのをきっかけに、オンラインゲーム中毒になってしまったまま二十代も終わりに差しかかっているニート青年の“俺”が、会ったこともない伯父から相続した不動産は、離島の館だった。
手続のためにと弁護士に連れられて島に出向いた俺は、自分が用意周到に両親から見捨てられたことを知らされる。
ゲームの世界では仲間に頼りにされる“刹那”として生きている俺は、リアルの世界では働いたこともない、資格もない。両親が残してくれた資金の半分は、とにかくまずゲームができるようにネット環境を整えるのに使ってしまった。
そこで思いついたのは、自分のように親から愛想を尽かされたニートを移住させ、家賃収入を得ること。
ニートの語呂合わせで『二百十番館』と名付けた俺の館に、新しい住人が…
リアルの世界でボロボロになった心を、ネットの世界でギリギリ繋いで生きていた青年が、島の老人たちとの交流や、ニート仲間たちと暮らす日々のなかで、自立への道を少しずつ少しずつ、ゆっくりと歩き出す物語。
ネット依存の引きこもり、就活で心が折れたニート、老人ばかりの離島…と、重い現実を下敷きにしながら、とびきり優しさあふれる物語。
そして、偶然のように見えていたことの裏に隠されていた真実を知って、またさらにじんわり。
加納朋子さん、さすがです。
とはいえ、現実にはそんな上手くいくわけないじゃないかと、言いたい方はいるでしょうが。
でも、そういうちゃんと上手くやってる人たちの言葉では、伝わらないことがあるんです。
それを甘えと言うのだと、また言われそうですが…
“未来は、未だ誰もプレイしたことのないゲームみたいなものなのだから。“
ネトゲ廃人だった刹那さんのこんな言葉なら、ネットの中でしか生きられないと感じている誰かにも、うまく伝わるのかもしれない。
小さな部屋の中、ネットのゲーム世界の中から、いきなり外のリアル世界に出るのは、そこでしか息ができなくてそこにいる人にとっては、いきなり違う成分の空気の世界に出るくらいの本当に大変なことなんだ、ということが、少しでも理解されれば…
少し、リアル世界のピリピリトゲトゲした空気も、やわらかくなるのでは。
それにしても刹那さんは、老人たちと会話できるスキルと、料理のスキルがあったのが、大事なポイントでしたね。
親としては、それだけでも教えておけば、何とかなるのか?
余談ですが、引きこもり青年が外に出る物語といえば…『生きるぼくら』(原田マハ)も大傑作だと思います。こちらも、豊かな自然とおばあちゃんの人柄で、主人公の心は健やかさを取り戻してゆきます。
主人公ではないけれど、『アキハバラ@DEEP』(石田衣良)の登場人物、ダルマさんも印象に残っています。
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【崖っぷち野良ニート、島暮らし始めます】親に見放されたニートの俺に残されたのはネトゲの仲間と離島の不動産だけ。渋々始めた島暮らしだったけど――。朗らかな成長物語。
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母方の兄が遺した離島にある大きな建物。元々は会社の研修センターに使われていたが、今は使われていない。
それを主人公に残したいということで、その手続きのために現地へ。しかし、売却しようとしたが、実家はもう引っ越しされていて、両親もどこへ行ったかわからず。ニートを離し難いがための強制手段なため、結局、半ば強制的に住まわされることになった離島での暮らし。
これからどうするか?島の人達や他に暮らしてくる仲間たちを通して、人との絆や肌で感じる「生きている」という実感を感じさせる作品でした。
ちなみに題名の210番館は、210(ニート)からきています。
今までゲーム三昧だった暮らしが、突如として島暮らし。
ちょっと昔だったら、原始的な暮らしが描かれるのですが、今はパソコンやスマホ一つあれば、何でもできるんだなと改めて便利さを感じました。
ただ、島の人たちとの交流も描かれており、ネットでは味わえない生身の実感が主人公を変えていきます。
やっぱ生身のコミュニケーションも良いなと感じさせてくれました。
一人だからこそや仲間とだからこそ、今後をどうするか、様々なシチュエーションに主人公がどう立ち向かうのか、主人公の成長記としても楽しめました。
内容としては、偶然の出来事が次々と登場します。よく偶然が重なると、必然になると言われていますが、この作品は必然ではないなと思いました。偶然すぎる!とツッコミたくなりました。
どう物語は終わるのか気になっていたのですが、後半からは次々と伏線を回収するかのように意外な発見が見えてきて、ちょっとした驚きがありました。その先には、切なさや感動がありました。
ネットと現実のそれぞれ良いところをかいつまんでいて、読み終わった後、ほっこりとした優しい気分に浸れました。
人間、どんな苦境にも立ち直れるんだなと感じました。
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「未来は、未だ誰もプレイしたことのないゲームみたいなものなのだから。」の言葉が胸に響きます。人生は、本人次第だと思います。未来は、自ら切り開く気持ちの大切さが伝わりました。
ニートから簡易郵便局長へと、夢物語ではなく、日本郵便ホームページを見ると、作家さん簡易郵便局長制度を良く調べてあると思いました。
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突然<島流し>(言葉通り)になってしまった主人公。いきなり積みゲーかよ、一応住はあるけど状態だったけど、主人公の性格がああだったからこそ出来たことなんだろうなあと。
ニート引きこもりゲーマーにもいろんな背景がある。そんな彼らのささくれだった心を人生の大先輩である島民たちが図らずも支えてくれているという。サトシが来た時はどうなることやらと思ったけど、丸くなってよかった。。。とりあえずは。
タピオカさんとラクダさんはちょっと「えー」と思うところもあったけど、それもまた現実は奇なりってことで。
追記
自分も主人公たちみたいな感じでRPGゲーをやっていた(もうサービス終了したけど)時期があったので、懐かしいなーと思いつつ、またやりたいなあと思ったり。
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やっぱり加納さんのお話は読みやすい。
話ができすぎだとは思いましたが、一人一人のキャラが良かったです。特にBJさん。
現実はこんなに上手くはいかないと思いますが、本当にこんなことがあってもいいなと思いました。
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オンラインゲームはやった事がありません。知り合いにハマった人もいません。だから、新鮮にこんな世界なんだと感じた。
また、ニートを肯定する訳では無いが、ニートの人たちはニートになるそれなりの理由があるのだと知った。それなりの理由(痛み)を知っているから優しくなれる。一人ひとり出来る事や得意な事を中心に、出来ない不得意な事は少しづつ、二百十番館の住人と小島のジジババみたいに暮らして行ったら、みんな過ごしやすいのに…
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オンラインゲーム、やったことないのだけれど
一度はまったらやめられないとか、廃人になるとか
耳に入ってくるのは何やら恐ろしげな情報ばかり。。。
でも、現実世界からドロップアウトしてしまった主人公たちが没頭しているオンラインゲームの世界は、
読んでいてやたらと魅力的なのだ。
ままならない現実から抜け出して、理想の自分になれる場所がオンラインゲームなら、
その場所が私にとっては読書だったというだけだ。
本当にこんな島があればいいのにね。
こんな風にお年寄りと若者が支えあえる場所があるといいのにね。
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ニートでネトゲ廃人の俺は
親に見捨てられ、離島の館に住むこととなった。
働いてはいるし引きこもってもいないけれど
メンタル属性としてはそんな「俺」に共感する処多し。
[図書館·初読·9月10日読了]
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ネットゲームを知らないので、ハンドルネームで最後まで呼び合うのになかなか慣れず…(笑) でも、島の人や親の気持ちや、読了感はいいのかも。私はあまり得意な内容ではなかったけども。自分の生き方は、自分が変えようと努力しなきゃいけないんだなぁ。