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濃い人々
著者 群 ようこ
『ルーシー・ショー』のルーシーのドタバタぶりに目をみはり、『夫婦善哉(めおとぜんざい)』のダメ亭主に尽くす蝶子(ちょうこ)をみては、他人のお金をあてにする生活を夢見たこと...
濃い人々
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商品説明
『ルーシー・ショー』のルーシーのドタバタぶりに目をみはり、『夫婦善哉(めおとぜんざい)』のダメ亭主に尽くす蝶子(ちょうこ)をみては、他人のお金をあてにする生活を夢見たことを自省。また、酔っぱらい作家・ブコウスキーの「くそったれ」人生には喝采をおくる。ほかに小津安二郎など、古今東西の達人たちが描いた作中人物を語る、群節(むれぶし)全開の痛快エッセイ! ズレてる? けど、おもしろい人たち満載!
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いやあ、まっさか文庫と単行本のカバーが、ここまで違うとは思わなかった。それにしても、たしかにルーシーは濃い人ではある
2003/12/04 20:45
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
in Pocketという文庫誌に連載されたエッセイをまとめた本。12の小説や、映画、TV番組などに登場する「濃い人々」について筆者が思いを綴った真面目な文章で、タイトルから夫の鬚面を思い出し、「変な親父たちを扱った爆笑小説かな」と思っていたら肩透かしだった。でも、知らない小説や未読の作品ばかりが扱われているので、得る所は多い。
ちなみに、in Pocket はお買い得な本だとおもう。思いもかけない人の珠玉の作品が載っていたり、小さい本なのに生意気に連載小説まである。無料で配っている文庫目録に見えるのは、ちょっとデザイン的に一考の余地があるけれど、コストパフォーマンスでは、最強の存在ではないだろうか。
谷崎潤一郎「台所太平記」を扱った「お手伝いさんのいる風景」では戦前・敗戦直後に見られたお手伝いさんがいる生活とはどういったものだったのかを、人間関係や経済環境などを中心に考察する。パトリシア・ハイスミス「女嫌いのための小品集」の「あるときまでは夫の鏡」では、男が嫌になるような女性と、それを巡る男の殺意が描かれる。
でも、一番面白かったのはBBC放送「アブソリュート・ファビュラス」の「女ともだちが大切」。男からみるとぞっとするような、がさつで身勝手などうしようも無い女たち。その生き生きとした姿を紹介する。「モンティ・パイソン」も含めて、日本では放送を許されないようなブラックな内容。しかし、そこに見ることのできる真実。年をとるにつれ衝撃的なものに耐えられなくなった自分や、身に起きているかもしれない更年期障害に触れながら、昔を想い「ルーシー・ショー」やウォルト・ディズニーの白黒のTVアニメに見入った日々に触れる。
取り上げられた12の作品は、誰もが手にするようなメジャーな作品ではないけれど、それを捌く真面目な姿勢が予想外で面白い。発表誌の関係で、突っ込み不足かなと思うものもある。取り上げられている作品は、必ずしも全て読みたくはない。でも、時間があれば読んでもいいなあと思う。群の真面目な一面を見ることができ、拾い物。発見は、こんなところにある。