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いとまの雪 新説忠臣蔵・ひとりの家老の生涯 下
著者 著者:伊集院 静
赤穂の田舎侍が――。元禄十四年、赤穂藩主・浅野内匠頭は江戸城・松の廊下で吉良上野介に対し刃傷沙汰を起こし、即日切腹の裁定が下される。赤穂藩士は堀部安兵衛ら急進派が目論む吉...
いとまの雪 新説忠臣蔵・ひとりの家老の生涯 下
いとまの雪 新説忠臣蔵・ひとりの家老の生涯 下
商品説明
赤穂の田舎侍が――。元禄十四年、赤穂藩主・浅野内匠頭は江戸城・松の廊下で吉良上野介に対し刃傷沙汰を起こし、即日切腹の裁定が下される。赤穂藩士は堀部安兵衛ら急進派が目論む吉良への仇討ちとお家再興の間で揺れ動く。双方の志と痛みを受け止めた家老・大石良雄は全てを擲つ覚悟で、訪れるであろう復讐の時を待っていた。そして明らかになる良雄の周到な計画と、時代を超えた復讐の狙い。良雄の計画を影で支える四十八番目の志士の正体とは? 日本史上最も有名な復讐劇を独自の視点で描き切った時代長篇、完結!
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紙の本
生きるは束の間、死ぬはしばしのいとま
2021/01/23 23:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:dsukesan - この投稿者のレビュー一覧を見る
一気に読んでしまった。読まされた。
ただ、吉良上野介を討つだけではなく、綱吉と吉保にも意趣を返すという圧巻の仇討ちとして描かれる忠臣蔵。『力のみを以て治めれば必ず乱を生む』と書かれた上巻の言葉が現実になったのが、忠臣蔵という解釈。
『我らが成すべきは、吉良上野介を討つことだけではない。我が殿に辱めを与える裁定を下した幕閣、大老、将軍を討つことだと考えて頂きたい。殿のご無念がどれほどか、我ら家臣が、赤穂の侍が受けた屈辱がどれほどのものかを思い知らせるのです』
上巻で丁寧に描かれた伏線をもとに、忠義と武士道に徹しきる大石内蔵助が、ぶれなく一貫した人格として描かれていた。『古来、天命あり』という言葉に対し上巻で葛藤していた内蔵助が、天命を知り動いたのが下巻の内容とも言える。
そして、48番目の志士の九郎兵衛が、裏から内蔵助を支えたというプロットで、物語がリアリティを持つ。この九郎兵衛が、内蔵助の盟友として、武士として良い味を出している。名を求めず、裏方に徹して、最後に笑いながら一人切腹する九郎兵衛は、もう一人の主人公とも言える。
用意周到に、忠義の本懐を遂げる男達。『君恥ずかしめられれば、臣死す』潔く、潔すぎるその散り方が、美しくて儚い。死ぬことを厭わず、命をかけて本懐を遂げるその姿に、不条理に逆らい、驕り高ぶる者を許さぬという意地と誇りを感じる。そうして散りゆく男たちが儚過ぎる。どの様にすれば、その様に生きられるのか。とてもではないが、そんなに潔く生きることはできない。だからこそ、その生き様に憧れ、その何十分の一かは、自分も潔く生きたいと思う。
『生きるは束の間、死ぬはしばしのいとま。』
この言葉の意味がまだ自分には腹落ち出来ていないが、この言葉の意味が腹落ちした時には、自分も少しは潔く生きられるのかもしれない。いつかは、自分も天命を知り、実感を持ってこの物語とこの言葉を理解したい。
紙の本
生きることを考える
2021/04/17 09:25
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
有名な復讐劇・忠臣蔵が、大石内蔵助を中心とした群像劇として、また新たな視点で描かれた。「生きるは束の間、死ぬはしばしのいとま」とは、よく言い切ったものだ。どのように生きるかは、現代人とは違う考え方を持つだろうが、読む者に、何のために生きるのかを改めて問いかけているようだ。