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いとまの雪 新説忠臣蔵・ひとりの家老の生涯 上
著者 著者:伊集院 静
大坂夏の陣から七十年、「刀は武士の命」と称されてはいるものの、真剣で戦う機会はほぼ無くなっていた時代。幼少期、「弱虫竹太郎」と呼ばれた赤穂藩の大石良雄は、師・山鹿素行や大...
いとまの雪 新説忠臣蔵・ひとりの家老の生涯 上
いとまの雪 新説忠臣蔵・ひとりの家老の生涯 上
商品説明
大坂夏の陣から七十年、「刀は武士の命」と称されてはいるものの、真剣で戦う機会はほぼ無くなっていた時代。幼少期、「弱虫竹太郎」と呼ばれた赤穂藩の大石良雄は、師・山鹿素行や大叔父・頼母助、祖父・良欽の教えを受け、二十一歳で家老職を継ぐ。勘定方や商人など様々な立場で国を支える人々に出会い、世を統べる武士の信念を抱いてゆく。やがて藩主・浅野内匠頭に再会した良雄はその清らかな心に惹かれながらも、危うさを感じ取るが。後年、決起を共にする堀部安兵衛との邂逅など「事件」前夜を描く、伊集院静版・新忠臣蔵。
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紙の本
リアリティのある骨太の忠臣蔵
2021/01/22 22:44
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:dsukesan - この投稿者のレビュー一覧を見る
かなり面白い。
大石内蔵助を主人公とした、忠臣蔵の物語。
内蔵助の筆頭家老時代を丁寧に描き、当時の経済状況や、小藩を改易して財政の立て直しを図る幕府の政治のあり方が丁寧に浮かび上がらせる。そうした背景を元に、浅野内匠頭の激昂することのある気質や、吉良上野介の増長していく経緯、堀部安兵衛が赤穂藩士になるいきさつ、そして藩を、殿を守るために忠節を尽くす内蔵助の様子が、丁寧に書き込まれている。
上巻では、所謂忠臣蔵の事件は起きていないが、このようにその事件の前夜譚が丁寧に描かれることで、忠臣蔵を起こさねばならないこと、幕府政治へ抗議せねばならなかったことの必然性が、説得力を持って語られる。この上巻を下敷きにすることで、忠臣蔵がとてつもなくリアルになる様だ。
下巻でどの様にクライマックスが描かれるのか、今から楽しみである。
紙の本
忠臣蔵の別の視点
2021/04/17 09:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
忠臣蔵を、その少し前から物語る展開は、大いに期待をさせる。忠臣蔵という物語の大筋は、よく知られているが、その中の誰の行動を中心に語るかで、物語の味わい方は変わる。江戸時代が元禄を迎えるころ、江戸の町そのものが繁栄に向かい、経済活動が活発になるにつれ、幕府は経済的に行き詰っていく。小藩の改易が、それを打破する手段となっていく過程で、忠臣蔵は生まれたのかも。後半の「事件」そのものが、待ち構えている。