電子書籍
戻れない道。
2023/10/21 19:11
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投稿者:どらやき - この投稿者のレビュー一覧を見る
先が知りたくて、一気に読み上げてしまいます。 さすが桐野さんだなと圧倒される文章力と展開です。 真由の母親さえ、道を外さなければ、こんな事態にならずに済んだだろうと思います。
紙の本
路上のX
2023/11/02 11:12
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投稿者:なみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
どうしようもない現実の中で、なんとか生きようとしている少女達。まだ少女なのに、パンクしそうな程の経験と、つらさを抱えてさまよっている。
何が悪いのか。親が一番悪いのか。大人が悪いのか。社会も悪いのか。非力な少女達に救いはなく、残酷だった。
彼女達のトラウマや焦燥感が膨れ上がってきて、息苦しかった。
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久しぶりの桐野さん作品。
搾取される側と搾取する側のコントラストが痛いほど鮮やかだった。
真由、リオナ、ミト。ティーンエイジャーにもかかわらず、それぞれが過酷な人生を歩む。
彼女達は自分達で選択してきた訳じゃなくて、選択せざるを得なかった背景がある。
そのどうしようもなさや息苦しさが読んでいて辛かった。
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起こり得る、とかリアル、とかじゃなくて実際起こっている事で事実。
渋谷に限らず、わたしのいた池袋や新宿でも。
貧困は貧困を呼ぶ。1度家を失くすところまで行くとそこから這い上がるのは本当に難しい。わたしは歳を重ねていたからと元々の性格と運がよかっただけ。いつまたそこに転がり落ちるかも解らない。
あの街でいっしょに生きてくれていた彼女たち、いま頃どうしているんだろう。
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居場所なきJK漂流記。舞台が渋谷ってことで村上龍の「ラブ&ポップ」を連想したが、この20年もの間にすっかり様変わりした事態にクラクラした。いや、根源は同じなのだろうが、本作の少女たちにはキャプテンEOの言葉は響かないだろうし。未成年ゆえ、どうしても血縁者を頼らねばならぬ理不尽さに一石を投じた最終章「家族」は大変興味深かった。彼女たちに望ましい未来あれ!
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第一章 真由 第二章 リオナ 第三章 監禁
第四章 破綻 第五章 家族
安心して暮らせる家を失い、家族を失って街を彷徨い暮らす少女たち。お金を手に入れるのに ”女” ということがプラスになるように見えるけれど、マイナス面も大きくて結局マイナスじゃないかなぁ。
どんな境遇になっても安心して暮らせる場所があるといいのに。「路上の X は もういないよ」と微笑んで言える時がいつか来るだろうか
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中学卒業と同時に叔父の家に預けられた真由。
飲食店の経営に失敗し、借金返済のためといいつつ、両親は突然蒸発した。
無気力な叔父と意地の悪い叔母、食べるものもなく散らかった家、無理矢理入学させられた荒れた高校、すべてのものから逃れて、生きるためバイトにありつくが、そこで待っていたのは大人たちの罠だった。
普通の家庭で丁寧に育てられた真由は世の中に張り巡らされた悪意を見抜けず繰り返し危ない目に遭う。助けてくれたのは同じように行き場をなくし放浪する少女だ。
世間知らずの子どもの浅はかさだと言い捨てられない世界。そこには確かに汚い大人たちが介在している。
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両親の借金逃れにより叔父の家に預けられたが、そこには居場所がなく渋谷の街に出た真由。
義父の虐待から逃れ、渋谷で身を売るレオナ。
言えに居場所がなくなった二人が、渋谷の街で出会い、暴力や少女ゆえの危険などに遭遇する実態を赤裸々に描くドキュメンタリー風な小説。
彼女たちの境遇に胸を打たれながら読み続け、その生々しさに、著者の取材力を感じる。底辺で足掻く女性を描いた『OUT』に繋がる作品。
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桐野夏生の作品は久しぶりに読んだ。高校生が主人公のものは確かもう一つあったと思うんだが、これは家に帰れない(というか家庭がない)女の子たちが生き延びるために必死に戦う話。女の子たちの生き様にハラハラして、とにかく危ない目に合わずに最後まで小説終わりますようにと願いながら読んだ。フィクションとはわかっていても、主人公が心に残って生き続ける感覚があって、そこが桐野夏生の物語の美しさなのかなと思う。
桐野夏生の描く女はいろいろだけど、だいたい出てくるのがハードボイルドな生き様の女。人を頼れない、いろいろあるから頼りたくない、孤独だけどそれを受け入れて生きていく。それしかできないし、それが自分だから。傷ついても傷ついたことも言えずに、大丈夫大丈夫と言い聞かせながらでも。同じような子たちと助け合って頑張って、生きていく。
これ読んだ後に、朝日新聞で受験がどうとかの記事を目にした。そんなことより、ジャーナリズムを通して、必死で生き延びようともがいてる子たちのことがもっともっと社会で認知されて、守られるように大人たちが頑張る方が大事だ。私も、ご飯作ってあげたいと思った。今日もがんばったね、大変だよねっていって、ご飯作ってくれる大人もいないような環境で育つ子たちが少しでも減るといい。私にも娘も息子もいて、特に息子の1人はいろいろ大変な子だけど、ご飯作ってあげられるだけ本当に幸せな環境だと思う。子供は自分では何一つ選べないから。生まれてくる親も、家庭も、何もかも、与えられた場所でしか生きることができないからこそ、大人が守っていかないといけない。
こういう本は中学高校生の必読書にするといい。悪い奴らや無関心な奴らがたくさんいること(大人の私もその1人かもしれない)を知らしめるべく。子供や若い子を搾取する世界を受け入れないという意味で、反社会的になるべきと。
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久々に桐生夏生作品が読みたいと思って
手に取った本。
リアルフィクション。
行き場のない女子高生たちの現実。
親に捨てられた(そう思っている)女の子たちの現状。
自分の体をお金に変えるしか生きる術がない彼女たち。
ずっと苦しい話が続くんだけど
読む手が止まらなかった。
それは桐生さんの文才。
最後の真由の荒れ方が1番苦しかった。
怒りの裏にあるのは
どうしようもない寂しさや、苦しさ。
「落とし前をつけなよ」
この全てを悟っているリオナのセリフも、
リオナのこれまでの経験を物語っていて
切なかった。
どうしても家庭環境が良くないと
子どもは荒れる傾向にある。
だって
1番身近な大人に傷つけられたり
信じられなかったりするんだから。
もっと事前に
手を差し伸べてあげられる瞬間を
なるべく見逃さない様に
愛情だけは忘れずに。
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テレビでこの本が紹介され、あらすじが気になって読んだ。
最初から最後まで辛い物語だった。
だけど、現実的にあるような内容で、
大人たちに利用され搾取される少女たちの姿は、
行き場のない少女たちが集まり、共感し、
そこから抜け出したいのに抜け出せないジレンマがあると思った。
余談だけど、
近所の兄弟がうちの子と庭で遊んでいた時、
お昼になって『お母さんがご飯作ってるだろうからご飯食べてからまた遊びにおいで』と言って返したことがある。
その後は来なかった。
いつも兄弟一緒だったが、お母さんに好きな人がいて離婚した。
兄弟は父親に引き取られたが、父親にも好きな人が出来てうまくいかず、兄は高校中退した。
たまたま見つけたお母さんのSNSには、再婚相手との子供を楽しそうに投稿していた。
この『路上のX』の作品と重なり、胸が苦しくなって何度もその兄弟を思った。
この作品は決して想像だけではなく、現実して起こりうるノンフィクションじゃないかと思った。
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内容が、なかなかエグい。
でも、生まれた環境で、望んでいないのにリアルにそんな人生を歩んでいる人がいる。
なんだか同じ日本なの?と思うけど、、
読みながら、本当なの?
他の道が思いつかないよね、悲しいなぁ。
など、いろんな感情が出てきます。
桐野さんのことだから、きっとしっかりリサーチしてかきあげているだろうし、実際にいるんだろうなぁ・・と思うと心が痛かったです。
つらいけど、知りたい。
無知でいることよりも、彼らの世界を知りたい。
そう思いながら読みました。
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主人公の女の子たち(真由、リオナ、ミト)がどうなるのかハラハラしながら一気読み。三人のたどる道はあまりに過酷で、容赦がない。
社会問題としてトー横に集まる若者が度々取り上げられている。ひと昔前の非行少女たちと事情がちがうのは、彼女たち自身には落ち度はほとんどない場合が多いという点かもしれない。背後には貧困があり、子をきちんと養育できない家庭があまりに増えているという厳しい現実がある。
それでも桐野夏生の小説らしく、彼女たちは自らの境遇に抗い、果敢に行動する。両親が突然行方不明になってしまい、何とか自分で生きようとした真由は、バイト先で性被害に遭って深く傷つくが、警察に被害を訴えようとするし、リオナはパパ活で危ない思いをしながら真由とミトのために金を稼ごうとする。
逆に彼女たちから見た親世代、親せきたちがいかに無責任で冷たく頼りにならないか。また、女子高生を食い物にしようとする大人たちが街にいかにあふれているか、読んでいて嫌悪感でいっぱいになる。
ラストも決してハッピーではないけど、現実はもっと救いのない女の子たちがたくさんいるのだろう。
桐野夏生の小説を読むと、物語の面白さ、文章の平易さわかりやすさと社会的な鋭い問題提起とが両立しているところがいつも本当にすごいなと思う。
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最初から最後まで絶望しかない。救いがない。
最後は光が見えて欲しいと願ったが…
「X」の意味を調べた。
・映画などの年齢制限で18歳未満の観覧禁止。
・未知の人間や事物を示すのに用いられる。
本書のような高校生が実は未知数にいると言う事なのだろう。食い物にされている。悔しい。ゾッとする。傍観している私たち大人も加害者だ…無知だった自分を恥じたい。
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なぜ「神待ち」なんて言葉を使うのか、やっと理解できた。人がものだからだ。強者にはどうだっていいことだ。相手が傷ついても泣いても。自尊心を奪われても。