電子書籍
選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子
著者 河合香織
その女性は、出生前診断をうけて、「異常なし」と医師から伝えられたが、生まれてきた子はダウン症だった。函館で医者と医院を提訴した彼女に会わなければならない。裁判の過程で見え...
選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子
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選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子 (文春文庫)
商品説明
その女性は、出生前診断をうけて、「異常なし」と
医師から伝えられたが、生まれてきた子はダウン症だった。
函館で医者と医院を提訴した彼女に会わなければならない。
裁判の過程で見えてきたのは、そもそも
現在の母体保護法では、障害を理由にした中絶は
認められていないことだった。
ダウン症の子と共に生きる家族、
ダウン症でありながら大学に行った女性、
家族に委ねられた選別に苦しむ助産師。
多くの当事者の声に耳を傾けながら
選ぶことの是非を考える。
プロローグ 誰を殺すべきか?
その女性は出生前診断を受けて、「異常なし」と医師から伝えられたが、生まれてきた子は
ダウン症だったという。函館で医師を提訴した彼女に私は会わなければならない。
※この電子書籍は2018年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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紙の本
著者の取材力に圧巻!
2021/08/17 02:42
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あんず - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書を読むと母親に対して腹立たしい気分になるが、それはきっと自分が第三者だからそう思うのであってー。そう思えるまで時間がかかった。
それにしても「出生前診断」とは、どういう理由でできたのか? わずか数十年前まではそんなものはなかった。そのため、導入された当時(今も)産科医らは倫理面でかなり困惑していたと思う。
本書では先天性異常を取り上げているが、後天性もあることを忘れて欲しくない。どちらも将来に影響を及ぼすこともある。
一緒にいる時間が短いと、「思い出」がないから可哀想と誰が思うのか?親?それとも子自身? じゃあ数年一緒にいて「思い出があるから、いいよね」と思えるのか?
とにかく読み手を騒つかせるが、取材に当たった著者の力量に圧巻、感嘆する。
紙の本
生殖医療が広まる今だからこそ、立ち止まって考えるべき視点を与えてくれる1冊
2022/12/14 17:54
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
出生前診断で”異常あり”との診断が出ていたにもかかわらず、担当医が誤って”異常なし”と伝えた結果、産まれてきた赤ちゃんはダウン症と他の合併症から3か月で亡くなったという事例がありました。この子のご両親は、自ら産む・産まないの選択の機会を奪われただけではなく、もしも正確に出生前診断の結果を伝えられていたなら中絶を選択していた可能性もあり、そうすればこの子は苦痛だけの3か月を経験しなくても良かったはずだ、との主張で担当医を訴えました。
本書前半の合併症との壮絶な闘病の様子からは、確かに生後間もない赤ちゃんの境遇としては「産まれてこなければ、こんな苦しい思いをしなくても良かったはず…」とのご両親の思いが十分に伝わります。しかし、ダウン症の子供さんを育てておられる方のお話からは、「ダウン症の子供は生まれてこない方が良いと言われているようで辛い」と捉えておられるのも理解できます。子供を持っておられる方なら、出生前検査を受けるかどうか、もしも結果が良くなければどうするのか、という問題に直面した経験がある方も多いのではないでしょうか。”五体満足なら”と願ったことは誰もがあると思います。そうではない可能性を突き付けられたとき、直面する様々な問題や局面が多くの方への取材で描かれています。
この問題は、どの人の考えが正しいと安易に判断できない難しさがあり、本書にもあるように「誰を殺すべきか。誰を生かすべきか。もしくは誰も殺すべきではないのか」という命の選択に直面せざるを得ない現実を浮き彫りにしています。
中絶に臨場する医療関係者は、本来”命”を助けることを生業としているのに、その真逆に近い事を強いられることから、非常にストレスを感じながら処置に臨んでいるという事実は、本書を読んで初めて気づかされました。
安易に綺麗ごとを並べるのではなく、この裁判の当事者や、医療関係者、ダウン症の支援団体、もっと重い障害を持つ子供さんを出産した方、ダウン症ながら大学まで進学した人、など多くの立場の方への取材で、本当にいろいろな視点、考え方があることが分かります。今後、医療技術の発達で、さらにこのような問題は顕在化する可能性もあり、誰もが真剣に考えるべき問題だと感じます。