難しい「三大批判書」の大枠が捉えられます
2019/03/04 22:29
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:そうせき1719 - この投稿者のレビュー一覧を見る
イマヌエル・カントといえば,著名な哲学者のうちの一人で「純粋理性批判」「実践理性批判」「判断力批判」の三大批判書を著したことで知られていますが,これらの代表作は非常に難解ともいわれています。何とか理解するための補助となる本がないかなぁと思っていた折に,本書と出会いました。「自分で考えること」の大切さを説きつつ,カントの難解な著作の解説も,同時に行なってくれるので,この本を通してカントの言わんとしていることの大枠が分かります。三大批判書に取り組む前の入門書として,とても分かりやすく書かれています。自分もこの本のおかげで,上記の三大批判書の本編にさらに挑んでみようと思えました。「カントの本は興味があるけど難しいって聞くからなぁ…」と考えていたのが,哲学が門外漢の私でも容易に理解できました。カントの著作に取り組む前の入門として読むことをお勧めします。
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さん - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間は幸福を求めるものであり、幸福を求めるとは善を求めることであり、その善とは普遍性がなくてはいけない。
カントの著作は読んだことがないが、おそらく最適な入門書だと思う。
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
カントの生い立ちから思想まで、分かりやすくまとまっていますね。3大批判書から「永遠平和のために」まで、読破してみようと思います。
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カントの入門書としては、石川文康先生と同時に読むべき一冊だと思う。
こちらの方が石川先生のものよりずっと平易な文章で、しかし誤解を招くことのないように書かれているため、カント入門を読んでも理解できなかった、という方にはぜひとも手にとってもらいたいと思う。カントの鮮やかな理性批判と倫理学の手法に舌を巻くこと必至である。
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「批判 (Kritik)」は現代的意味の批判ではなく「限界・境界を確定する」という意味なのだそうです。つまり,「理性の守備範囲の確定」というのが純粋理性批判の目指すところ。
ジュニア新書ということで,筆者の労は理解しているつもりですが,何を解決させようとする流れなのかを見失う,あるいは迷子になる感じがしました。
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私たちは,勉強が進み,さまざまな経験を重ねる中で,いろいろなことが<分かって>きます。なにかが<分かる>とは,それと他のものとを<分ける>ことができることでしょう。たとえば,ある漢字が分かるとは,それを他の漢字と見<分ける>ことができることでしょう。そうすると,私たちが最後に<分かりたい>ことは,なんでしょうか。それは,私たちになにが分かりなにが分からないかを<分ける>,その限界がどこにあるかではないでしょうか。この問いに答えるのが『純粋理性批判』です。(p.20)
…私たちの認識において,すべてが「経験」に由来するのではなく,その経験を可能にするア・プリオリな形式がつねに「ともに」働いているのです。(p.49)
意志をもった行動を「行為」と言いますが,行為の善と悪を分けるのは,意志のあり方なのです。(p.80)
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カントを網羅的に、かなり噛み砕いて説明した本。やや「自由」の概念がわかりにくかったかなあ。
でもちょい背伸びした高校生が読むには充実した中身。
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入門、ジュニア新書ということで、わかりやすいカント哲学入門と期待して読んだが、残念ながら、自分の頭には高級過ぎた。
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原理と倫理を組み合わせて考える視点が、ジュニア新書らしい。また、新たなカントを見る視点が得られた。読書案内、年表もありがたい。
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カント哲学の入門書として良い。平坦な言葉で分かり易く、難しいと言われて恐れていたカントだったが、身近に感じることができた。
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かなりよかった
入門書の入門書 子供向け
それでやっと仰々しくなくわかりやすくなって
やっと意味わかった
カントいいな
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カントの入門書としても、自律的な(自分で考える)人間になる勇気を読者がもてるよう鼓舞してくれる書としても、優れた本である。
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昨今、○分で読める名著やら100冊を1冊にまとめた本やら、深遠な知識を手軽に知りたいというニーズが高まっているようだ。難解さで有名なカント哲学について、さらっと知りたいと考える人も(私も含め)一定以上いるだろう。
本書は、ジュニア新書ということで中学生向けなのだが、カントの生い立ちからはじまり、純粋理性批判、実践理性批判そして(書名すら知らなかった)判断力批判についてその内容をカントの思想の流れにそって丁寧に解説。大人向けのカント入門も多々ある中、大人が中学生向けのこの本を選ぶのは勇気がいるものの、かみ砕いた説明は非常に分かりやすい。
ちゃんと勉強している人にとってどれくらい正確なのかは分からないが、初めて学ぶ人にはこれくらいがよいかも。
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高校生にも勧められる。かなり力業だ。高校倫理とかを勉強するうえで、カントは避けて通れない山の1つなので、こういう本があるのはとてもいいことですよね。
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御子柴善之(1961年~)氏は、早大第一文学部卒、同大大学院博士後期課程満期退学。ボン大学留学等を経て、早大文学学術院教授。専門は、カント哲学を中心とする西洋近現代哲学。
イマヌエル・カント(1724~1804年)は、プロイセンのケーニヒスベルク(現ロシアのカリーニングラード)に生まれた、近代哲学の祖ともいわれる哲学者である。『純粋理性批判』、『実践理性批判』、『判断力批判』の三批判書で批判哲学を提唱して、認識論における、いわゆる「コペルニクス的転回」をもたらし、デカルト以来の大陸合理論(知性重視の概念分析/独断論)とロックらのイギリス経験論(経験重視の概念分析/懐疑論)の対立を調停したといわれる。その思想は、フィヒテ、シェリング、そしてヘーゲルへと続くドイツ古典主義哲学(ドイツ観念論)の基となり、カントによる超越論哲学の枠組みは、以後の西洋哲学全体に強い影響を及ぼしている。
本書は、難解といわれるカント哲学のエッセンスを、概ね以下のような流れでわかりやすく解説している。
1章:カントの生きた時代とカントの生涯
2章:『純粋理性批判』・・・人間の理性が<分かる>ことと<分からない>こととを「批判する(独語のKritik=分ける)」ことにより、人間の知の限界を確定する。人間の認識は、経験に依存する(ア・ポステリオリな)認識と、経験に依存しない(ア・プリオリな)認識に分けられる。ア・ポステリオリな認識は人間に分かるが、それは「(因果関係のある)自然」に限られる。
3章:『実践理性批判』・・・「自然」(人間に分かること)を超えて、人間が<すべき>ことと<すべきでない>ことを分ける、すなわち、<善>と<悪>を分ける必要がある。善と悪を分けるのは、それを行った人間の意志のあり方であり、その意志の形式がア・プリオリなものが普遍的な善である。人間は意志の「自由」(の可能性)を持っているが、善を行うときはその自由が実現し、悪を行うときはその自由は実現していないと考える。「道徳」と「幸福」が両立した状態を「最高善」というが、道徳は「自由」である一方、幸福は「自然」である。
4章:『判断力批判』・・・現実には人間・世界が多様である以上、道徳法則に関わる「自由」の世界と、自然法則に関わる「自然」の世界を結び付けて、普遍的な最高善を実現することが可能かという問題が残る。しかし、人間が「自由」な意志に基づいて決めたことは、それが行為として実現するのは「自然」の世界である。そして、目的論的自然観に基づけば、自然の目的は人間にあるのであり、更に、自然は人間が普遍的に共有する目的としての最高善のために存在するといえる。すなわち、「自由」と「自然」は人間を通して結びつき、両立し得ると考えられる。
5章:『永遠平和のために』を中心とした1790年代のカント・・・三批判書を踏まえて現実世界に目を向け、現実世界に生きる人びとが、ともに生きることによって<道徳的に善く生きることで幸福になること>という最高善を実現する方法を具体的に示している。
本書はジュニア向けの新書だが、大人こそカントの説く「自分で考える勇気」が必要なのであり、そのための一助とな���有用な一冊と思う。
(2020年11月了)
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わりとカントべったり。わかりやすく説明していてえらいが、もう少しひねってもらってもよかったような。ジュニア向けなりにつっこみが入らないので広がりが足りない感じはある。