- 販売開始日: 2021/07/02
- 出版社: みすず書房
- ISBN:978-4-622-09004-5
嗅ぐ文学、動く言葉、感じる読書――自閉症者と小説を読む
著者 ラルフ・ジェームズ・サヴァリーズ(著) , 岩坂彰(訳)
6人の自閉症者と文学教授が、『白鯨』『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』『心は孤独な狩人』などの名作をともに読んだ読書セッションの記録。自閉症者は「心の理論」を持たない...
嗅ぐ文学、動く言葉、感じる読書――自閉症者と小説を読む
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商品説明
6人の自閉症者と文学教授が、『白鯨』『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』『心は孤独な狩人』などの名作をともに読んだ読書セッションの記録。自閉症者は「心の理論」を持たない、想像による遊びができないといった偏見は早々に覆されるが、それだけではない。「カテゴリー化以前」の感覚を通して物語と関わることで、自閉症者がユニークで鮮烈な読書体験をしていることが明らかになる。
それぞれ独特の症状や経歴をもつ彼らの、物語への感受性はときに痛切とも言えるほど鋭敏だ。たとえば『白鯨』を読む第一章では、言葉を話さない自閉症の青年ティトが、どの登場人物よりも鯨に自分を重ねながら小説世界を「泳ぎ」、その感覚を詩に綴りはじめる。『白鯨』のモチーフはやがて、ティトと著者の生活全体を呑み込んでいく。
著者は近年の脳科学的知見にもとづいて、「神経多様性(ニューロダイバーシティ)と読書」というテーマをかつてないほど掘り下げている。そこでは、自閉症者と定型発達者、双方の読み方の特性が互いを照射し合い、読むという行為の尽きせぬ可能性を浮かび上がらせる。だからこそ、本書の読後に強く体感されるのは、多様な脳と交感する文学の力の無辺さだ。
目次
- 本書に寄せて(スティーヴン・クーシスト)
- はじめに
- プロローグ──言葉の大河に浮かぶ私たちの神経の筏 DJ・サヴァリーズと読書
- 第一章 海のように揺らめく世界から――ティト・ラジャーシ・ムコパディエイ×『白鯨』
- 第二章 脳の天空――ジェイミー・バーク×『儀式』
- 第三章 アンドロイドと自閉症――ドーラ・レイメイカー×『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
- 第四章 自分の足を見つけ出す――ユージェニー・ベルキン×『心は孤独な狩人』
- 第五章 当たり前を疑うために――テンプル・グランディン×『ミート』『ジ・エクスタティック・クライ』
- エピローグ
- 謝辞
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