電子書籍
古典がもっと好きになる
著者 田中貴子
古文の授業がおもしろくない,というだけで日本の古典が嫌いになってしまってはもったいない! 実は,オカルトあり,恋愛ありのわくわくの宝庫なのです.教科書でもおなじみの作品を...
古典がもっと好きになる
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
商品説明
古文の授業がおもしろくない,というだけで日本の古典が嫌いになってしまってはもったいない! 実は,オカルトあり,恋愛ありのわくわくの宝庫なのです.教科書でもおなじみの作品を〈超訳〉で紹介しながら,自称「古文おちこぼれ」だった国文学者が,奥深い古典の世界の楽しみ方,文法にしばられない原文の読み方を案内.
目次
- 序章 古文が嫌いになる前に
- 第1章 「古典」が生まれた背景
- 第2章 古文に慣れよう
- 第3章 『徒然草』を遊ぼう
- 第4章 百人一首うらばなし
- 第5章 『堤中納言物語』より「花桜折る中将」を読む
- 第6章 女もすなる『土佐日記』
- 第7章 「しんとく丸」の死と再生
- 第8章 能・狂言に描かれた女性たち
- あとがきにかえて 私が古文を好きになるまで
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小分け商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この商品の他ラインナップ
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
現代国語と古文の違いはあるけれど、田中貴子を知ったことは、斎藤美奈子を知ったとき以上の喜びといってもいい。それほどに共感できる本だった
2004/08/14 21:22
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
岩波ジュニア新書の一冊。子供たちに、というよりは常識という名のもとに間違った教育を押し付けられて、それをそのまま次代に継いでいこうとする愚かな大人や教育者にぜひ読んでもらいたい一冊。ジュニア新書のなかでも、これほど筆者の言に共感を覚えた本はない。
「学校で習う古文には興味がもてなくても、実は古典はおもしろい! オカルトあり、恋愛ありのわくわくの宝庫から、おなじみの作品をわかりやすい現代語訳で紹介。自称「古文おちこぼれ」だった国文学者が、奥深くて不思議な古典の世界の楽しみ方、文法にしばられない原文の読み方を案内します。」
著者の田中貴子は1960年京都府生まれの文学博士。現在、京都精華大学の助教授。『あやかし考 不思議の中世へ』は、いずれ本書評で取り上げる予定だけれど、こんなにも痛快な意見を持った人とは思わなかった。正直、斎藤美奈子を読んだとき以上の衝撃というか、爽快感である。ぜひ、ご当人とお話をしてみたい。
全体は八章構成。教科書の古文が面白くないわけを教えてくれる序章「古文が嫌いになる前に」、もうこれだけで捻くれ屋の私を肯かせてしまうのだから、田中さん、あんたは偉い! 続いて、誰が教科書などに載っている「古典」を決めたのか、その政治的な意味合いを教えてくれる第一章「「古典」が生まれた背景」、いやあ、そうか、そうだよなとここでも納得。
で、ともかく文法の知識などを捨てて、まず面白そうなものを読みましょうという第二章「古文に慣れよう」。本当は、『徒然草』だって、面白い章がある、いや教科書に載っているところは、詰まらないものばかりだという第三章「『徒然草』を遊ぼう」。そして、まず、これくらいは暗記しても損はしないよと、第四章「百人一首うらばなし」。
夢枕獏もいいけれど、面白い話満載の古典、しかも皮肉に満ちた結末がいいぞ、と第五章「『堤中納言物語』より「花桜折る中将」を読む」。なぜ、紀貫之は女のふりして日記を書いたか第六章「女もすなる『土佐日記』」。説教の面白さを教えてくれる第七章「「しんとく丸」の死と再生」。田中が狂言の追っかけをやっていたと告白する第八章「能・狂言に描かれた女性たち」。現在も存在する愚かな教師像を見せてくれる、あとがきにかえて「私が古文を好きになるまで」。
カバーイラスト、本文カット=勝部尚子。カバーデザイン=シーズプランニングは、渋めだけれど、悪くはない。古文苦手の高一長女に読ませてみたら、やはり楽しんだらしい。ただし、彼女は文法、決して嫌いではないという。ふーむ、そうか、それは頼もしい。ま、それでも赤点スレスレというのが、我が子らしいのう、ほっほっほ。