- 販売開始日: 2021/09/10
- 出版社: J-FIC
- ISBN:978-4-88965-267-3
キイチゴの世界
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キイチゴ属の「特徴的な増え方」研究
2021/09/07 17:17
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
キイチゴ。ナワシロイチゴやカジイチゴなど、粒々の集まりでできたイチゴの研究をまとめた本である。
1=4章は基本的な知識のまとめ、5章からの生活史詳述が著者の独自の研究。最後のいくつかの章は著者の旅行記や随想のような部分が多いが、全体をとおして著者の地道だが熱のこもった研究調査の経緯が伝わってくる。
キイチゴはちょっと簡単に「こういうもの」と言い切れない一群のようである。
あるものは草本、あるものは木本。木本に分けられていても大木にはならず、株から出た枝は数年で枯れる。栄養繁殖をするが、その規則性を何年もかけて追いかけた研究がなかなか興味深かった。地上茎で(普通の食用のイチゴのように)増える形もあれば地下茎から新しい株を作る種、両方を行なう種もある。
棘だらけであまり研究する人もなかったのだろう、よく見かける植物なのにあまり知られていないその生態。こういうものを調べていくと、定義というものは「とりあえずわかりやすくするためのもの」でしかないのかな、と思えて興味深かった。