とても良かった、好き
2021/11/21 19:35
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:moon - この投稿者のレビュー一覧を見る
この兄弟の関係が好きです。モノノケが見える弟を否定することなく、お前がいるというのならいる、といって否定しないところがいいし、見えない兄とあつき鬼が並ぶ姿を想像して微笑む感じが好きです。
都人の有傅(ありもり)のキャラクターもなんだか笑えて楽しかった。
人も物の怪も優しさがひしひしと伝わってきて美しい描写や戯れシーンに自然と笑顔になった。
兄の律秀と弟の呂秀、彼らの物語をもっと読んでいたかったです。続編ないかなぁ、あるといいなぁ。
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【播磨国を舞台に、新しい“陰陽師”ものの誕生!】蘆屋道満の血を引く律秀と呂秀の兄弟は、庶民のために働く心優しい法師陰陽師。彼らが出会ったのは新たな主を求める一匹の鬼だった。
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地元なので気になって読んでみる
蘆屋道満は初めて知った…安倍晴明とライバルだったとは!
呂秀と律秀はお互い信頼して補いあう仲の良い兄弟、妖怪も出てくるけれど読んでいてほほえましい
式神のあきつ鬼、見た目怖くても気遣いできて優しい(思ったより出番は少なめ…もっと出て来てほしかったな)
呂秀とあきつ鬼の約束は果たされていないので物語は続きそう。楽しみ
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室町時代、足利義教が幕府の征夷大将軍だった時代を舞台に、法師陰陽師の律秀・呂秀の兄弟が活躍する物語。
人と物の怪、すべてを受け入れる世界観と、兄弟の生き様を読み進める内に心が落ち着き清々しい気持ちになる。
猿楽の話が多く出てきたのが嬉しかった。
兄弟とあきつ鬼、周りの人々の今後の物語をもっと読みたくなる。
ぜひシリーズ化して欲しい。
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跋扈する魑魅魍魎と対峙して、、、
勝手な想像に反して、鬱蒼とした森で霧立ち込める湖面に、ただアメンボが通る跡を見るような穏やかにしっとりとした時間
とても素敵な作品
人の心、悲しみや慈しみが丁寧に語られ、その真摯さにグッとくる
また読みたい
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室町時代の播磨国。
薬草園で働く律秀と呂秀は、蘆屋道満を父祖に持つ法師陰陽師の兄弟。
兄の律秀は薬師としてこの地に暮らす人々の病を癒やし、さまざまな相談事に応じている。
ある日、『吉凶を映す井戸』という奇妙な噂の出所を突き止めようとしていたところ、弟の呂秀は井戸の水面に己の顔ではなく、鬼の顔を見た。
実は呂秀は幼い頃から物の怪を見、その声を聞く力を持っており、その力を見込んだ鬼が自らを式神として使わないかと語りかけてきたのだった。
上田早夕里の描く陰陽師兄弟!
表紙は、呂秀の式神となった「あきつ鬼」と兄弟を描いているが、語られる物語はのびやかな優しさにあふれていて、ホラー的なおどろおどろしさはない。
蘆屋道満といえば安倍晴明の敵としてひどい悪者イメージがついてしまっているけれど、この作中では全く違う顔を見せている。
陰陽師が登場するからといって、ホラーアクションスペクタクルではない。
これはシリーズ化前提でしょう。楽しみ。
上田早夕里さんは、もちろん重厚なSFや歴史ものも面白いが、こういう軽やかなものもいい。
小野不由美さんの「営繕かるかや」シリーズが好きな方ならきっと楽しめるのでは。
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律秀、呂秀の兄弟が体験する物の怪、亡霊との対話、全6話の短編面白く読ませて頂いた。特に平氏と源氏との合戦に関わる異聞は面白いものがあった。それと余計な話だが漢方を扱っている者として、和剤局方のあることも知っている。
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主従共に病に倒れた際、「幼少期よりきちんと食べて大人になった者は体力もあるから」と、旅先で限りある薬を従者に譲るなんぞ、中々できることじゃない。いい奴じゃないか、有傅ってば。
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舞台は室町時代。播磨国に暮らす律秀・呂秀の兄弟。庶民の病を診て、物の怪を退ける法師陰陽師の二人だが、実際に物の怪を見ることができるのは呂秀のみである。
その呂秀の元に、かつて蘆屋道満に仕えたという式神が現れて…というのが物語の始まり。
蘆屋道満に仕えていた式神を「あきつ鬼」と命じて、己の式神とした呂秀。二人の兄弟に、式神を加えた三人?で日常の怪異を解決してゆく物語なのかな、と思いきや。
あきつ鬼あんまり活躍しない。
押しかけ女房のような出会い方だったので、もっと人と物の怪の感覚・常識の違いですったもんだがあるのだろう、と思っていました。潮ととらのような。そこには拍子抜けしたのですが、あきつ鬼の妖の力に頼らず、己の持つ力で物事に立ち向かう兄弟二人の生き様は逞しく羨ましい。
この先もシリーズを重ねてゆくであろう三人?の物語。有傅やかえでという、彼らを取り巻く人々との関係も気になるところです。特に有傅には可愛らしさを覚えます。
あきつ鬼がなんのために、道満の死後も式神として存在し続けたのか、彼が式神という縛りから解放される時が来るのか。そこが一つの結末になるのでしょう。
嘉吉の乱が、大きく絡んでくるような予想。
「人は幼いなりにも、人の死を理解いたします。その機会を、大人が、ゆきすぎた配慮で歪めてはならぬと思うのです」
第四話での呂秀の言葉。
すごく大事なことだと思う。配慮をしないことで歪んでしまうことは多くあるだろうけども、だからといってあれもこれもとやりすぎると、違った歪みを生み出してしまうことになる。
配慮する大人側が、真剣に向き合っていないからだと思う。子供だからといって、うやむやにごまかしたり、押さえつけるようなことをしてしまうからだ。
「ゆきすぎた配慮」か。その時々で基準は変わるもので、線引きはとても難しい。だからこそ、真剣に向き合ってゆくべき。
大人が向き合う努力をしないから子供にも向き合わせない、という空気感がある今はおかしな話ですよ。
自分ができているとは言えないけど、向き合う努力はやめたくないものです。
これは、死ぬまで続くことなんだろなぁ。
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上田早夕里さんの、SFものや上海ものを逃さず読んできたので、これは!と思い手に取った。題名の記すとおり時代物、そして妖怪奇譚。推定の範囲内での内容だったけれどそれはそれで上田さんのいつものグイグイと読み込ませる技通り。
妖怪モノとは言いつつもピュアで芯が通っていて、おどろおどろしさはない。表紙の鬼がインパクト大だけれど全体を通してシンとココロに染み入ってくる小説でした。
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【収録作品】 井戸と、一つ火/二人静/都人/白狗山彦/八島の亡霊/光るもの
室町時代の播磨国。兄で薬師の律秀と弟で薬草園を管理する僧の呂秀は、蘆屋道満ゆかりの陰陽師でもあった。異形の者が見える呂秀と見えないが優秀な陰陽師の律秀は、協力して人々の病を治し、村で起こる怪異を解決していく。
呂秀の式神ゲット(押し売り?)から始まる連作で、肩が凝らない読み物。式神絡みの因縁が詳しくは語られていないので、続編もある、かな。
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播磨国の移り変わる季節の中で、人の情、妖の情が織りなす心が穏やかになる絵巻物のようなお話し。
語り口調が古典の訳文のようで、それがまた作品に良い雰囲気を持たせています。
時代設定は違いますが、「夏目友人帳」のようなほっこり感と清々しさを感じます。(夏目友人帳を知らない方はぜひ読んでみてください。)
各話に登場する、登場人物よりも人間臭い妖たち。
こんな妖なら会ってみたい!
私の勉強不足で、知らない単語がちょいちょいあって、なかなか情景がイメージできず夢中になるとまではいきませんでしたが、作品の霞がかったようなふんわりとした雰囲気のように穏やかにふんわり読了しました。
「和風ファンタジー」な一冊です。
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同じ陰陽師でも在京と地方では違うらしい。
本書は播磨国に住む陰陽師兄弟の話。
物の怪が見えたり、強力な式神がいたり、平家武将達の怨霊が出たりとケレン味はたっぷりだが、それぞれのエピソードの裏の心の交流が本書をより楽しませる。
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単なる「あやかし/陰陽師」ものではなく、妖怪退治がメインのお話ではないのが好み。
一癖二癖ありそうな登場人物やきな臭い時代設定も魅力的。まだ導入という感じがするので、続編待ってます。
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陰陽師の連作短編と言えば、夢枕獏の「陰陽師シリーズ」を思い出してしまうのだが(そういえば、どのあたりからか新作をおいかけていないなぁ)、かの人気作と比してもそん色ない面白さ。さすがは上田早夕里!
主人公は蘆屋道満の血を引く法師陰陽師。兄律秀は神官姿で陰陽道の達人ヵつ薬師を兼ね、弟呂秀は僧侶姿で御物の怪を見ることが出来る上、鬼を式神として使う。
ホームズ、ワトソン方式ではなく、キョーダイン(?)方式のバディ物というのも珍しい。
脇を固めるキャラクターもあきつ鬼、有傅など良い味を出している。
物語はおどろしさはほどほどで、謎解きという感じでもなく、土地に伝わる民話を風土と人情で解釈した短編小説にして趣を味わう系の、読みやすい話。特に最後の「光るもの」なんて、梨木果歩風味で、こんな雰囲気もかけるやなぁ、やるなぁ上田早夕里!とちょっとテンション上がってしまった。
続編出そうな雰囲気、シリーズ化されたらおいかけるぞ。