まんが訳 稲生物怪録
時は江戸、寛延2年。備後国三次の武家の子息で、16歳の稲生平太郎は、肝試しのため比熊山に入った。その山にある「天狗杉」に触れると、物怪の祟りがあるという。果たして山を下り...
まんが訳 稲生物怪録
商品説明
時は江戸、寛延2年。備後国三次の武家の子息で、16歳の稲生平太郎は、肝試しのため比熊山に入った。その山にある「天狗杉」に触れると、物怪の祟りがあるという。果たして山を下りた平太郎の住む屋敷を、一カ月にわたって様々な怪異が襲う──。じわりと怖い、でもどこかユーモラス。江戸時代に実話として流布し、泉鏡花や水木しげるも愛した怪談「稲生物怪録(いのうもののけろく)」を、まんがで楽しむ。
目次
- 野狐除けの札/曲尺手の怪/踏み落とし罠の怪/逆首の怪/名剣のこと/大盥のこと/鳴弦のこと/網顔のこと/踏み石の怪/大首の怪/物怪帰去のこと/妖怪絵巻『稲生家妖怪傳巻物』をめぐって 木場貴俊/絵巻まんが訳 メイキング 鳩野マメ/あとがき 大塚英志
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古典の絵巻はこんな風に「読める」んだ。
2021/11/24 14:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
現代の漫画になれた私たちには「絵巻物ってこういう風に読み進めますよ」と読み方を教えてもらった気がしました。昔の人もこうやって読んでたのかなと思うのも楽しかった。
実際の絵巻では1,2枚で一区切りの物語の文章がついているのでしょうが、ここでは文章を区切り、絵も話の流れで主人公が何度も同じ一枚から取り出されていたりします。自分が実際に絵巻物を見ているなら、文章を一寸読み、絵をみ、また文を読み進み、と行ったり来たりするでしょう。それを漫画的な時間の流れに置き換えてみるとこうなのかもいう感じで素直に楽しめました。
「漫画化」ではなくて解釈の方法の一つとしての「まんが訳」。こういう解釈のアイデアも古典に近づく大きな手段のひとつと思いました。国際日本文化研究センターのプロジェクトの一つとしての試みだと解説にあります。本書に先行して「まんが訳酒呑童子絵巻」も刊行されています。
本書の物語そのものもとても面白かったです。いろいろと怪しい現象が起きるのですが若い主人公が「そのまま放っておいて寝た」とか「腹を立てながら朝飯などをすませた」とか、いたって平然としているところがこわさを減らしています。昔の人も怖がるよりも面白がったのだろうと想像。説明には「十六歳」とありました。そのころなら成年なのでしょうけれど、子どもっぽい顔えもなるほど、でした。
元の絵巻ではほんの数枚の絵しかないのに、凝縮されている内容を上手く切り分けて仕立てています。詳しいメイキングの解説があるのでそれも面白く読みました。