入試改革はなぜ狂って見えるか
著者 物江潤
強引に推進された大学入学共通テストは受験生やその家族をさんざん振り回したあげく、制度の欠陥や無理のあるスケジュールに批判が集中、想定した形での導入は断念された。大学受験は...
入試改革はなぜ狂って見えるか
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商品説明
強引に推進された大学入学共通テストは受験生やその家族をさんざん振り回したあげく、制度の欠陥や無理のあるスケジュールに批判が集中、想定した形での導入は断念された。大学受験はいわば理想の教育の体現である。けれど教育の理想像は人それぞれ。このため原理主義的に先鋭化しがちで、思想的な対立が起こりやすい。さらに今回は入試問題の現状を把握していない論者による、高校生や大学生に対する事実誤認に基づいた荒唐無稽な主張も少なくなかった。大学入試改革議論の混乱に惑わされないための視点を考える。
目次
- はじめに/第一章 大学入試の現場/入試改革のいきさつ/たびたび問題視されてきた知識偏重の入試/パズル解きゲームになりやすい大学入試/アクティブラーニングの功罪/受験産業を軽視した結果/バラつきがあっても許容されている個別試験/平易な難問/暗記数学の登場/京大数学に見る作問の難しさ/受験勉強は役立たないのか/力をつけていく攻略側と弱体化する作問側/センター試験にも影を落とす平易な難問/知識量と入試の得点/それでも、読書を推奨したい/受け入れられない知能検査/センター試験の目的を度外視するかのような問題/誤解と対立を生みやすい教育論争/実は増え続ける社会科の用語/そもそも良問とは何か/誰にとっての良問か/意図しない方法で攻略する受験生/信頼性と妥当性/第二章 推薦入試の表と裏/入試の種類/良い参考書はAO入試にもある/緻密なAO入試と疑問があるAO入試/知識偏重の指定校推薦/戦力の不均衡が最大の原因/求められる高い能力/経産省の情報戦?!/高学歴ワーキングプアと政治家/参考書の調査/競争の逆を行く、大学への国家介入/欧米式の方法はハイリスク/受験生の動機が軽視される入試改革/第三章 奇妙な入試改革/非合理的というよりも/教育の宿痾/人格の完成/共有のコペルニクス的転回/文科省審議会のフィルターバブル/失敗とは言えないパターン/誤解による失敗/理念の相違による失敗/それでも失敗だったゆとり教育/総合学習と似ているアクティブラーニング/なぜ上手くいかないのか/第四章 こうして改革は失敗した/理想が膨らんだ三年と、撤収するのにかかった五年/教育は理想と希望の漂流地/老練な場外乱闘の技術/分割に次ぐ分割/現実離れと押し付け/頻発する共有のコペルニクス的転回/決定的に欠けた攻略側の視点/思想の議論の落とし穴/第五章 多面的な評価を多面的に評価する/成績優秀だった山田君/大きな期待はしない方がいい/小さな一歩/驚くほど優秀で繊細な山田君/「物江さんの人生にとって重荷になる」/多面的に評価されなかった「多面的な評価」/知識偏重は悪いことなのだろうか/公正性とは何か/障害を持つ生徒と大学入試/境界知能や知的障害を抱えた生徒たち/あまりに厳しい現実/それぞれの山田君/終章 どうして入試改革は狂って見えるのか/共有されない価値観や信念/時間軸の狂い/仕事は上手くいき、賞味期限は切れた/それでも教育思想は必要だ/坂の上の雲/参考文献
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共感する点が多い入試考察論
2021/11/19 10:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本の大学入試について、現役塾講師の著者が考察した1冊です。
著者の主張には、共感する点が多かったです。特に、昔話題になった学校教育批判の著書を辛辣に批判している文章を読めたのが良かったです。
ぜひ、将来受験を経験するお子さんがおられる保護者の皆さんに読んでいただきたい1冊です。