クロストーク 上
クロストーク 上 (ハヤカワ文庫 SF)
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紙の本
SFの女王によるラブコメエンターテイメント。
2022/02/10 22:34
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゲイリーゲイリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
SFの女王として名高いコニー・ウィリス。
SFの女王と聞くと馴染みのない方は少し身構えてしまうかもしれないが、
本作に関してはSFに慣れていない方であっても充分に楽しめる。
いや、むしろSF入門編としてSFに慣れていない方にオススメしたいぐらいだ。
一癖も二癖もある登場人物たちによるコミカルでテンポの良い会話劇。
そうしたコメディ要素に油断していると、アッと驚く思わぬ方向に物語が動き始める。
コニー・ウィリスはそうしたストーリーの緩急が抜群に巧い。
至る所に張り巡らされた伏線の張り方もまた見事で、エンターテイメント作品としてお手本のような出来栄えになっている。
そしてそのエンターテイメント性に拍車をかける役目を果たすのがSF要素だ。
本作では誰もが知っているあの特殊能力が物語のキーとなっているが、その能力一本でここまでストーリーを膨らませることができる著者の筆力には改めて感心させられた。
まだ上巻だというにも関わらず、次々と予期せぬ展開が起こっていく。
上巻でこのスピード感であるなら、下巻のクライマックスは一体どうなってしまうんだろう。
このまま怒涛の展開が下巻でも続くことを期待したい。