紙の本
あったかくなった
2023/04/29 10:30
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投稿者:さとやん - この投稿者のレビュー一覧を見る
辛いこともあるけど優しく暖かいお話でした。子どもの成長も楽しい。気持ちがあったかくなりました。
紙の本
心をつかまれて
2023/04/23 10:47
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投稿者:しの - この投稿者のレビュー一覧を見る
八重さんの静かで控え目なのに、確かな力強い存在感に心打たれる場面がいくつも出てきて、とても切ない気持ちになってしまった。
孫やひ孫とのふれあいに、心温まるシーンを静かに読み進めていくと、あの、阪神大震災のところで心が苦しくなり涙が出て仕方なかった
紙の本
心地よい壮大さ
2022/07/30 14:49
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投稿者:みー - この投稿者のレビュー一覧を見る
同潤会アパートをめぐる何世代にもわたる物語。時代とともに暮らしがどのように変わってきたのか、それを感じながら、しかし心温まるフィクションとして最後まで楽しんで読めました。お話もよくできています。
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投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
1927年~1997年
激動に満ちた時代を
静謐に満ちた文体で描く。
こういう建物を軸にした物語では
ありがちな構成ではあるけれど、
やっぱり王道というのは面白いから王道足りえるのだと感じる作品。
世代を越えた同じ舞台で起こるいろいろな対比というのは、
やっぱり誰しもが感慨をもたずにはいられない要素。
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1927年から1997年まで、1つの家族の4世代にわたる物語を、同潤会代官山アパートを中心に描いています。たったの70年なんだけど、関東大震災に始まり戦争を経て平成へと移り変わり、街の風景も文化も考え方もこんなにも変わっているんだということを再認識させられました。
読みごたえはあるけど決して難しい文章じゃない。これは幅広い世代に読んでほしいなぁ。
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切なくて温かい、そんな読後感に浸っている。
大正14年から建設が始められ、平成8年に取り壊されるまで約70年にも渡って住まわれてきた同潤会代官山アパートメント。建築を専攻していた学生時代には、惜しくも取り壊されてしまった「近代集合住宅のレジェンド」として学んだ記憶がある。
本作を読んで、このアパートメントは多くの家族の物語を生んだ舞台あることが分かり、自分の中で血の通った温かい存在に変わった。
この小説の家族も4世代に渡って住み続けている設定だ。竣工と同時に入居した竹井と八重の夫婦から、取壊しを見届けた曾孫の千夏まで…それぞれの物語に常にこのアパートメントは寄り添っていた。
どの人物にフォーカスしても素敵だったが、一番印象的なのは、初代の竹井と八重の人柄。真面目で無愛想に見えて実は優しい竹井と、無口だけれど芯が強く行動力のある八重。
激動の時代の中、さまざまなトラブルが起きるけど、2人の人柄が最初から最後まで家族を優しく導いていている。後半の八重と進と千夏の東京タワーのシーンはすごく綺麗で泣きそうになった。
4世代に渡り、ちょっとずつこの2人の人柄や面影がのぞいてくるのも微笑ましい。
核家族化が進み、世代間や近所とのつながりが失われていく時代の流れの中、同潤会アパートメントもその生涯を一旦終えている。改めてなんだかとても切ないが、自分もこうしてどこかの住まいでこれから家族の物語を紡いでいくんだな、楽しみだなとも思えた。
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同潤会アパートを舞台にした家族の物語。
1927年から1997年まで、約10年ごとに物語を紡いでいく。
ビブリア古書堂シリーズとは異なり、ミステリではないが、前の章に後の章に繋がるものが隠されていたり、ミステリ的な要素も入っている。
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【読み終わって感じたこと】
読了後、爽やかな風に吹かれたような晴れ晴れとした気持ちで満たされた。家族という繋がりの暖かさを強く感じた。八重や竹井をはじめとした登場人物たちは皆、互いを心から思いやり大切に思うことで、幸せな空間を築いていっていた。その象徴が「同潤会代官山アパートメント」なんだなと思った。
【印象に残ったシーン】
「銀杏の下で 1958」の、八重が火事のアパートから浩太を救い出すシーン。自分以外の誰にも、過去の自分のように「くやしい」という思いをしてほしくない。妹の愛子が死んだ時、どれだけ苦しかったか。普段は物静かな八重の、揺るぎない思いの強さをひしひしと感じる場面だった。
【好きなセリフ】
「変わっていくことは避けられない。だとしたら大事なことを胸に刻んで生きていけばいい。これまでのことを。これまで亡くなった人たちとのことを。」
八重の独白。人の思いは不滅であり、永遠である。自分の内にある大切な気持ちは、自分の大切な人がきっと受け継いでくれる。そう思わせてくれる素敵な台詞だと思った。
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今は大きなタワーマンションが立っている、同潤会代官山アパート。
90年代の終わり、解体前に見学に行ったことがある。空中に突き出した浴室の増築や、部分的な塗り直しによってモザイクのようになった外壁、大きくなりすぎた欅で薄暗い中庭などがありありと思い出される。
あそこに暮らしていた家族と住み継がれていく家の話。
人は、はしゃぎ過ぎたり引きこもったりするし、家は一度や二度ボヤを出す。
失えば、くやしい。
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同潤会代官山アパートメントという舞台と、そこに暮らした一家の物語という題材はいいと思うのだが、何せ70年間という年月に渡るものだから大風呂敷を広げたはいいものの、回収出来ていないストーリーが散見され、人物描写も深く描ききれていない登場人物が多かった様に感じた。
人を深く描くのならこの分量なら中心人物は一人か二人に絞る。代官山アパートを深く描くのなら登場人物は空気の様な描き方に終始する。この位割り切っていたら楽しめた作品になったのではないかと思った。
ジュンク堂書店近鉄あべのハルカス店にて購入。
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4世代70年に渡る家族の物語。
淡い色合いで描かれた絵のような、しっとりしたお話でした。おじいちゃんやおばあちゃんのことを思い出したりしながら読みました。
今はなかなか会えない家族や親戚もいるけど、大事にしていかなきゃなと思いました。
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1927年、唯一の家族だった妹の愛子を地震で亡くした八重は、愛子の婚約者だった竹井と結婚した。
無口なもどかしい二人であったが、妹を失ったくやしさを竹井と分かち合うことができると感じたからである。
関東大震災直後に建てられた、当時としてモダンな鉄筋コンクリートの建物は、木造よりもずっと地震や火事に強い。
もう二度と同じことを繰り返したくないという竹井の切な願いに従う八重。
とても静かな、優しさに満ちた物語だった。
約10年ごとに、このアパートでの家族の暮らしが、連作短編のように語られていく。
親から子へ、子から孫へと受け継がれて四世代、70年の家族の歴史。
それらのひとつひとつは、ほんのささやかなエピソードだけれど、長い年月の間には、喜びも悲しみも何もかもが詰まっていて、感動で胸がいっぱいになる。
目頭が熱くなるような光景ばかりが思い浮かぶようだった。
エピローグで、このアパートに入居したての頃、竹井が八重に「なにか必要なものや、ほしいものはありますか」と尋ねる場面があった。
その答えこそが、家族が支え合って生きていくことの意味なのだと思う。
帯にあるように、まるで朝ドラを見ているような、素敵な終わり方だった。
しばらくこの余韻に浸れそうです。
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関東大震災からはじまる4世代の物語。
これは映像化してくれたら嬉しいなぁ。
『ALWAYS』じゃないけれど
家族の物語の背景に、時代の移り変わりと
あの代官山アパートメントの姿があれば
きっと私も彼らと一緒に生きてきたかのように
その中に入っていけるかもしれない。
最初の主人公である八重と竹井の静かな人生も
その娘・恵子の戦争をはさんだ人生も
ふたりの孫たちの経済成長期の人生も
八重によく似た、ひ孫の新世紀の人生も。
二度と震災で大切な人を亡くしたくないと
竹井が選んだ鉄骨造の最新アパートは
そのすべての人生を包み込んで
穏やかに朽ちていったのでしょう。
ちなみに私、この同潤会アパートが好きで
ギリ現存しているうちに「青山」を見学しました。
少し斜めに向かい合った2住居の玄関扉とか
印象深く覚えています。
また写真集とかも見たくなっちゃったわ〜。
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関東大震災の浅草の塔倒壊で妹を亡くした八重は、その婚約者竹井と結婚して、代官山のアパートに住み始める。
もう地震や火事で愛する人を失いたくないと、竹井が当時はめずらしかった頑丈なコンクリート建物を選んだのだ。
やがて子どもが生まれ、アパ―トを増築し(!)、孫が生まれ、最後を迎え、アパートも取り壊される。
代官山を起点に一つの家族を描いていく中に、それぞれの時代の空気が浮かび上がり、懐かしいような寂しいような、しっとりした気持ちになる。
コンクリートの高いところに住んでいた反動で木造の戸建てを選んだ息子夫婦は、阪神大震災で家が壊れたり、
火事に強い家だけど、火事を起こしてしまったりと
いろんなこともあるが、それもまた振り返ると人生の絵巻物の一つにしか過ぎない。
夕方に紅茶を飲みながら静かに読みたい。そんな本です。
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関東大震災で妹の愛子を亡くす
愛子の婚約者の竹井と八重は数年後結婚
同潤会アパートに住む
そこから年月を経て生きる4世代の家族の物語
激動のなかを支えあって生きていく
ドラマチックに描くのではなく
静かに淡々と描く
少しずつじんわり確実に心が温かくなる小説