紙の本
わたしのふる
2016/03/03 12:48
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投稿者:まー - この投稿者のレビュー一覧を見る
ふる に込められたものを、わたしなりに考えた。
主人公、花しすと同世代のわたし。
仕事も似ていて、デザイナーの端くれ的なやつ(堂々とデザイナーなどとはいえないし、いうつもりもない)である。この職種はやや特殊で、花しすのいる業界(夜系)やパチンコ(あっち系)にはいかないよう、最低限のルールをかしている人も多い。(わたしも)なんらかのプライドがあるのであろう。内容はともかく、使用するアプリケーションや作業自体は変わらないから、デザイナー枠に入ってるのだろうけど。
矛盾や葛藤の日々。外には出せない。
そんなに友達もいないし、結婚もしていないし、なぞの孤独感におそわれることもある。
振りかざされた権力に憔悴する日もある。
fullに満たされぬ日々、降りつもる思いが乗っかる。
端的にいえば、共感したのだ。
涙さえこぼれる。
いのちがふる。
人生がふる。
諸行無常といえど、立ち止まりたくなる。
等身大のおはなしでした。
自分のために働き、ご飯を食べて、おのれのおしりは自分で拭いて生きてる。そんな女性には理解できる部分が多いのではないかな。
わが人生の発展を願って、余白は残そう。
星は4つで。
紙の本
人との関わりで一歩踏み出す
2022/01/29 12:08
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投稿者:くらひと - この投稿者のレビュー一覧を見る
28歳の池井戸花しすはICレコーダーで日々の会話を記録して、寝る前に聞き返すのが日課である。他人の気分を害さないように気をつかって生きている花しすは、過去と現実を通して気持ちに変化が現れ始める。
現実と過去、そして花しすが記録した音声が入り混じる不思議な構成。
一緒に暮らすさなえとの会話は録音しない理由が興味深かった。花しすが人との関わりについて一歩踏み出す様子に元気をもらえた。
紙の本
いのちについて。わたしには伝わらず。
2015/11/09 19:41
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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
いのちのことを書きたかったかあーーー。私にはいまいち伝わらなかったなあ。新田人生がいたるところに出てきたり、「ふる」が散りばめられていたりするのは面白かったけど。なんか、どれも中途半端な感じがしてしまった。最後の方で、母と祖母と一緒の「女性」になれたんだ!と実感するシーンは良かったな。気づくのが少し遅かったけど、でもそういうもんだ。大人になってわかることってたくさんあるものね。そして、花しすって名前、すごいかわいらしい。こういうセンス、ステキだなあ西さん。
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するすると読めるんだけど、読み終えてどう感じたら良いのか迷う。
面白くないわけではないんだけど、で?というかなんというか。
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この小説を男性が読むことは どうなのだろう。
読んではいけないことはない。
しかし 作者の気分のようなものに寄り添えるかどうか。
作者自身もあとがきで記しているとおり この作品を
このままでよしとした編集者の度胸に 恐れ入った。
ふわふわとは何なのだろう。根本的なところで
共感には及ばなかった。
しかし花しすのような人間の 嫌われないように
出すぎずそこそこに生きるというのは 心底わかる。
人間と関わるというのは 人によってはとてつもなく
恐ろしいことで それをそのように感受する人は
とてもいとおしい存在なのだと思えてしまう。
女性はこれを読んでどう感じるのだろう。
他の方のレビューを楽しみにしたい。
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うーん、もうちょっと若いときに読んでたらはまったかもな。
性器の描写が多すぎて、ちょっと引いてしまった。
H28.3.3読了。
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ふわふわ、この感覚はわたしも知ってる、そういう事なのかな、としばらくぼんやりしました。
西加奈子ワールド、素敵です。
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白いものの正体や意味が結局掴みきれなかったけれど、花しすの臆病な部分は理解できました。人を傷つけるのが怖い、誰かのマイナスな記憶に自分を関与させてしまうことになるのが怖い、そんな感情が文になっていることに少し感動した。
時系列がバラバラで、新田人生が結局誰だったのかば分からないままだけど、子供の頃に会った無邪気で痛々しい新田人生に惹かれた。(むしろ分からないことがミソなんだろう)
レコーダーで音声を録って再生しているのは、レコーダーと思うから何故?と思うけど、友達といる時に撮った動画やインスタのストーリーを見返すのと同じようなことなんじゃないかと思う。
あの時のあの空間に存在していた自分を思い出す作業。無駄なことをしているようで、結局過去のあの瞬間を覚えていたい、あそこに存在できた自分を肯定したい、みたいな。
ところどころ共感できて、スラスラ読める作品だつた。
2020.8.9
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西さんの作品はどれもあっけらかんとしていて、読んでいて元気が貰えます。花しすがレコーダーに日常の音を録音して、ささやかな時間を閉じ込めておく気持ちにとても共感し、夫婦間や恋愛の悩みや、幅広い性についての悩みなど、重くならずにさらりと描けてしまうのもさすがだと思いました。女に産まれておめでとうと言ってもらえるような作品。読まれた他の女性の感想を読んでみたいです。
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いつだってオチでいたいと望み、誰の感情も害さないことに全力を注ぐ花しす。
自分のことを忘れてほしくないと望みながら、誰かと能動的に関わってゆくことが忘れられない確かな方法であるということを知りながら、でも出来なくてICレコーダーでの隠し撮りが止められない。
『忘れても忘れなくても、誰かを傷つけても、忘れても、やっぱり忘れなくても、何をしていても、何をしていたって』大丈夫だと。
『私たちは誰かの子どもとして産まれて、いろんな人に出会って、いろんな経験をして、それを簡単に忘れ、手放し、それでも私たちは、祝福されているのだ。
何かを忘れ、何かに忘れられ、誰かを傷つけ、それが自分の責任であって、そして誰かに傷つけられ、そのことで誰かを恨むことになっても、自分は今、それらたくさんの今の先端で生きている。
それだけで祝福されている。』
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書く、というより描く、ことに近かった。イメージ、イメージ、イメージを、なんとか受け止めて言葉にしていった。(あとがきより)
と、西さんがふわふわと書いたというこの物語、わたしもふわふわ、なんとなく、わかる。伝わってる。
能動的に誰かと関わることは怖い。選ばれる側でいることは、関係性において責任を負わずに済む。そうして関わった人たちの前で、わたしはどんな顔をして、どんな言葉を発しているのだろう。
誰もが抱いたことがある「わたしって誰?どういう人間?」という普遍的な問いを肯定してくれているかのような物語だった。
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誰にでもあるような日常を、子供のころの記憶とリンクさせながらユーモアたっぷりで綴り、終盤でホロッとさせる…西加奈さん全開の作品でした。人の心の奥の奥の奥のところを、つつくのが本当に巧い。やさしい気持ちになれる一冊。
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“今”がどんどん“過去”になって忘れてしまうことに不安を覚える花しす(かしす)。
花しすの人生に何度も現れる人物、新田人生。
花しすと一緒に、私も新田人生に諭され、許され、祝福してもらった。
どんなに辛い状況だとしても、底なしのやさしさに、生まれながらの祝福に浸れること。
それこそ、西加奈子さんの小説の魅力ではないか、と思う。
http://matsuri7.blog123.fc2.com/blog-entry-209.html
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「白いもの」って結局なんなのだ、いのち?
わからないまま終わったのできっともう一度読む。
花しすの欲していること、後ろめたさ、彼女の本心、すべて、花しすが言うほど悪いものなんかじゃなく、すべて正しい思いであるとおもった。花しすはなんにも、悪くない。(新田人生も言っていたように。)きっと本当に優しいのだとおもった。その優しいという言葉すら、花しすは自分のこととして受け入れられていなかったけれど。
たくさんの新田人生は怖くて、でもおもしろくてゾクゾクした。
たくさんの新田人生と、それから花しすの友人たち。友人だった、女の子たち。彼女たちが過ぎ去っていくさまが、人生なのだとおもった。最近よく感じる。人が過ぎ去っていくことこそ、人生。忘れたっていいじゃないかとおもう。
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誰かを傷つけないように、
誰かに影響を与えないように
いつでも受け身で…。
花しすは、なんてアタシに似てるんだろ?
て 思った。
ホントは、淋しくて 誰かにかまってもらいたくて、わかってもらいたくて、分かち合いたくて、
だけど怖くて、いつも受け身。
ホント、冴えないわ(´Д` )
誰もがみんな、誰かに関わっていて
祝福されてる。
今はよくわからないけど きっとそうなんだ。
いつか わかればいいな。