紙の本
フェイクと本物
2022/02/20 06:44
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やじやじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレあり
翻訳もので780ページ以上の作品なので
ちょっと手に取るのをためらいましたが、
結果読んで良かったなと。
読み始めは翻訳物の読みづらさの他に
英国カルチャーのネタ(特に音楽ネタは門外漢なので)が
とっつきにくい感じではあるのですが
それを乗り越えるとぐいぐいと読めます
(あくまでも個人的な感覚ですけど)
ロックスターの子供でパパラッチの餌食になり職を失いかけているルーク
真面目で堅物の法廷弁護士オリヴァー(色々堅苦しいのですけどVカット腹筋!!)
フェイクのボーイフレンドを演じることになるのだが。
そこはまあそんなに目新しい感じではないし、
しかもお互いにお互いに好意を持っているのはわかる。
ルーク視点の物語なのでオリヴァーの感情もルークからしか見られないのですが
「ルシアン」呼びした時からもう・・・こいつは・・・って感じなんですよね
堅苦しい話し方(これがまた最初読みづらいかもしれませんが、オリヴァーらしくていい感じです)の中に
気持ちが潜んでいる・・・のがわかる。
そして度々いい具合にルークを大人な感じでフォローする姿も
ルークのオリヴァーのために切れる姿もお互いに対する気持ちなんですよね。
早々に両片思いになっているのですが、そう簡単にはことは運ばない
ルークの拗れに性格と状況
オリヴァーの深淵にある状況がするりといかせてくれないのです。
でも、「フェイク」という隠れ蓑があってこそ二人が関係を築いていけているのはわかります。
なにぶんにも色々拗れすぎているので。
愉快な仲間たちがルークを支えたり突き飛ばしたりしながら物語は
後半の二人を傷つけている諸々のことの根源に行きつく。
とにかくルーク父は天下無敵の「ろくでなし」だったし
(母はちょっと規格外の愛おしい母ではありました)
オリヴァーの両親も別の意味で「良い両親」ではなかった。
最後のすごい重いところを愉快な仲間たちの賑やかしが緩和してくれてました。
(ちなみにラストはプリヤが家の中で仲間たちに中継しているに違いない)
ハリネズミのボクサーパンツとカシミアのコートが象徴的で気に入ってます。
またキスまでも長く肉欲的な部分が少ない話なのですが、
そのせいでパーティの途中で
オリヴァーが勢いづくときにはもうきゅんきゅんしてしまいました。
(ちなみにデザートのシーンもきゅんなのですが
実はここにも深いオリヴァーの傷が隠されているのですよね)
2022年8月に「husband material」が刊行される予定とのことですので
早々に翻訳出版されることを心から願っております。
(ろくでなし父とろくでなし元彼は制裁を受けて欲しいのですけどねぇ)
☆4.5・・・物語的には5をつけたいところですが、翻訳文章の点でちょっと削ってます。
電子書籍
和訳が読み辛い
2022/06/02 23:42
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:apple2 - この投稿者のレビュー一覧を見る
先ず(注訳)が多過ぎて、読みにくい。
ある程度は日本語に直してもいいのでは?と思う箇所も多いかと。
和訳ものはジャンル問わず結構読んでいますが、ここまで多いのは初でした。
おかげで話が頭に入りにくく、そこが残念。
ギャグではなく、イギリスの職場風景あるあるが上手く描かれている。
ように思う。
イギリス人特有の持って回ったシニカルな言い回しも……バカと罵り侮る方が大抵、よりおバカな法則とか。
何故かイギリス人がカップを洗わない謎とか。
お騒がせ二世×お堅い弁護士の、フェイクから入る恋愛という設定は面白かった。
フンコロガシといえば、子供の頃にファーブル昆虫記で、熱く語られていた遠い記憶を思い出した……。
電子書籍
期間限定恋人
2023/05/05 22:08
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ロックスターの子供のルークは、パパラッチに追いかけられる日々。そして、弁護士オリヴァーと出会います。彼は真面目で堅物。彼のほうもある理由から恋人を探してました。で、よくあるニセ恋人→本物かと思いきや……。長くなりそうな……
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ストーリーは面白かったと思う。主人公がその生い立ちからかひねくれてしまった男の子で,以前会って第一印象が良くない堅物の弁護士に,あるイベントのためにお互いの利点が重なって,臨時の恋人になってもらうストーリー。
二人の性格の違いもよく描かれていてそれがおもしろいジョークや嫌味がうまく絡まっていたし。しっかり盛り上がりの山場もあって,二人がうまくいったとき時は嬉しかったし,うまくいかないと涙が出てしまったし。それぞれのしがらみは人種関係なく一人一人の人間としてと共感できた。主人公のルシアンが根本的には変わらないけど成長していくのは見ていてとても嬉しかった。友人たちとの関係も最初は変な奴らにしか思えなかったけど最後は友情に熱い奴らで大満足。
ただ…最初の方は特に英文をそのまま訳したような感じで,読みにくかった。なかなか入ってこなかった。だんだんとそれっぽくなっていったけど,もう少し訳者さん的に砕けた言い回しの方が読みやすいし,セリフにしてもみんな固くて登場人物たちのことが身近に感じられなくて残念だった。
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読了後もずっと、読んでよかったなという気持ちが消えない。ずっと求めていたフィクションだった。ひどく悲劇的でも底抜けに明るくもなく、強さも美しさも求められることもなく、わずかな愉快さと気がかりのある生活の中で、30近くの男性と男性が皮肉と誠実さを交わしながらえっちらおっちら恋をする話。あたりまえに生きてるゲイのロマコメ。全然ポルノ的でない点も大好きポイント。
爆笑できるロマコメであると同時にメンタルヘルスの話でもあり、メンタルヘルスが損なわれているさま・損なわれる環境についてかなり緻密に書かれているため、心身ともに健康なときのほうが楽しめると思いました。少なくともしんどいときに癒しを求めて読むにはしんどい作品。もちろんそこからの回復の兆しについても丁寧に書かれてはいるのですが。
ドラマで観たいな〜〜!怒涛の会話劇。
だいすき映画の10 Things I Hate About Youの小ネタがあって嬉しかったよ(「Can’t Take My Eyes Off Youを歌いながら観客席から〜」の部分)。サブカルチャーから引用した小ネタについて注釈が入ってるのは愉快だし助かるしで良かったな。
翻訳で気になった点をいくつか。ジェームズ・ロイス・ロイスとジェームズ・ロイス・ロイスのゲイカップルをまとめて呼ぶときに「夫妻」を使うのはおかしくないですか?あとLGBTQ+とかいう単語は本当に使われてたのかな(これは個人的に憎しみがあるだけですが)(追記:原語版でも確認済み。一概に無理解と無配慮を表現する単語ではないと認識を改めました)。pp.9 l.12「すべてを台無しにすることなくで」はさすがに誤字が過ぎて意味が取れなかったのでもし2刷か電子化の予定があるなら訂正していただきたい。そもそもなんか知らんがめちゃくちゃ読みづらい日本語で、好みはあるだろうけどちょっと苦労した。オリヴァーの話し方についてはぴったりだと思うんだけど。
いろいろあるけど、物語自体の面白さと登場人物の魅力(ほぼ全員が全員可笑しい)には大満足です♡ この作品に出会うきっかけをありがとう。これから原語版も読みます。私も私のクィア・アベンジャーズに出会いたいよ。
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ロックスターの息子・ルークと弁護士のオリヴァーは、それぞれの事情からフェイクの恋人同士になる。
ルークの一人称視点で展開する、中々心を開けないラブコメ。扉が開かれる時間は、いつも非常識な時間だけど、非常事態だから仕方ないね。
タイトルとあらすじから、結局両想いになるやつでしょ~なんて見守ってたんですが、二人とも厄介な思考すぎて両片思い状態が長かった。
二人を取り巻く友人やルークの同僚たちのアクが強い。ブリッジは最高。
ラストシーン、夜明けを玄関で迎える二人が互いの気持ちを語り合う様子に微笑ましさを感じるんですけど、家の中にプリヤがいるのを想像するとめちゃくちゃおもしろいんですよね。絶対ドアの近くで話を聞きながらワッツアップのグループチャットに実況してるでしょ、なんて想像してニヤニヤしちゃう。
現代英国カルチャーやジョークの注釈がたくさんあるので、中盤まで物語や会話のテンポが掴みにくかったけれど、深夜の訪問1回目くらいから一気読み。
次回作Husband Materialが控えてるらしいので楽しみ。この二人、順調な時間が続かなそうで、見ている方ととしては楽しみ。
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なんて言うのか、正直恋愛系では手あかのついてそうな設定。コイツとだけは付き合うまいと思っていたヤツと、諸事情で仕方なくニセモノの恋人同士を演じ合うことになったらホンモノの恋人になる話。コテコテのベタベタなんだけど男同士の恋愛という辺りが少し違うのかなぁ。
という訳でお話自体は言っては失礼ですが非常にありきたりで筋書きもありふれた感じなので、ある意味安心して読めました。主人公がどうにも好きになれないロクデナシなのである意味悪い方に向かっても自業自得だよね、と納得しちゃうし。最後主人公が盛大にフラれたら面白かったんだろうけどな~
個人的には両親が元ロックスターで本人はNPO勤務の一般人をそんなにタブロイドだかパパラッチが追いかけるのかな~というのが素朴な疑問。パーマンとクリーミーマミの子供がいたと仮定して、その子が同性愛者というだけで週刊誌の記事になるだろうか。「あのクリーミーマミの息子がホモだった!」とか。一度ぐらいは話題になるかもしれないけど、毎週のように記事になるほど話題性はなさそう。イギリスのそういう文化ってちょっと面白いなぁ。(ターゲットになった人は大変そうだけど…)
という訳で正直主人公カップルよりも周囲の人が面白かったです。主人公の同僚とか、気の利いたヴィーガンレストランを出している女性とか、親友の女の人とか。
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め、めちゃくちゃ面白かった〜!
主人公のひねくれっぷりがハンパなくて、それが恋愛の障害にもなるけれど、そんなひねくれも読み進めるほどにキュートに思えてくる。お互いに恋心は高まってるのになかなか距離を縮められないのがギュンギュンにときめく!
しかし後半は、主人公たちの抱える自尊感情の問題に突入し、LGBTQ+の受けるマイクロアグレッションの描写もリアルに刺さったりと、なかなかクリティカル。
小ネタが多くて英語で読めたら&英国文化にもっと詳しかったら倍面白いんだろうな、と思ったけど、日本語訳でもハマる面白さです。
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往年のロックスターを父に持つルークは、上司から自堕落な生活を改めるよう命じられ、生真面目な弁護士オリヴァーと「まともな恋人同士」を演じることに。ゲイという以外共通点がないはずの二人だったが…。英国が舞台のM/Mラブコメ。
正反対の二人がお互いの抱える痛みに触れ、ジタバタしながら不器用に心を通わせていく様子はコミカルだがじんわり心温まる。ルークの恋路を応援する個性派揃いの友人たちも楽しい。けっこう分厚いのに読み終わるのが惜しくなった作品。
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間違いなく恋愛小説だが、友情や家族愛についてかなり深く切り込んでいる。
お互いの利益のためのフェイクの恋人が本当の恋人になるまでの出来事がユーモアたっぷりに描かれていて非常に面白かった。
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私の人生を変えた本。この本に出会えて本当によかった。星5つじゃ全然足りない。
一生大事にする。Alexis Hallと、このMCに出会えたことを心から感謝します。
そしてHallの本は今後全部買って読む。
翻訳もよいが、原著がさらに良い。
というか、原著がベストです。当たり前ですが。
翻訳だとあまりよく意味がわからない部分がたくさんある。
翻訳担当者の方はキャリアもある方なので、やっぱり翻訳の限界なのかな。
英語独特の音韻とか、ジョークとか、造語もめちゃくちゃ面白くて、終始声を出して笑った。
日本語で読んだ時と英語で読んだ時のキャラクターの印象がまったく違ったので、言語によって認識が大きく規定されるってことをあらためて確認。
ヘテロじゃないカップルのromcomがもっともっと日本に紹介されて欲しい。切実に。
欧米(アジア圏はよくわからない、すみません)ではこんなにたくさんの素晴らしい本があるのに…。
ただ、私の英語力ではHallの本を読み終わるのにかなり時間がかかる。
日本語の3倍から4倍はかかるかな…。
その分、読み終わった時の感動はひとしおです。
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海外のBLはどんな感じかしらと、読み始めた作品。
NY市立図書館が選ぶ2020年ベストブックにも選ばれている。
思った以上にピュアなラブストーリー♥️
ただ、イギリスの社会ネタや芸能ネタが多い上に、セリフが回りくどいため(ウィットに富んでいるということ?)教養が足りない自分を実感。
丹地陽子さんのイラストがイメージピッタリでした。
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呪い(を呪いと思えないひとの、呪い)との付き合い方と、理解、やはり愛は理解なんだ、と 赦しとはちがう受け入れと、寛容と、肯定 めちゃくちゃ笑って泣いて、素晴らしい風と朝日の読後でした。良すぎた。続編の邦訳たのしみ
この、物語…というか、ひととなりの掘り下げ、描写の、ある種鬼のような細かさは本当に読み応えがあって、深く共感と同時に耳が(耳からじゃないけど)痛い思い…笑
多面性と、思いやり…というより思い込み?そう、そう…だから人との付き合いって、…!(200hell)とうんうん頷いてしまうところが本当に多くて、だから難しくもあり、深くもあるんだな、して、この頑なさが本当に己を見ているようでつらくもあり愛らしくいじらしくもあり。だから私はダメなんだよな〜笑、というレベルにやっとなってきたけど、ものすごく傷ついていた・それで良かった・良かったというよりもその事実しかなかった、という肯定をもらえてとても個人的に、すっきりした。それぞれが、そういう時じゃなかったんだよな、ということに…ものすごくつらいことは結果的に、本当に自分を守ることになったのだということに。良かった。それに改めて気付いて、それを自分でそれでよいのだと思えて本当に。出会えて良かった〜この本に!