鬼女の顔
著者 著者:蓮生あまね
能面打ち師が拾ってきた顔に傷がある女。その女の素性を調べていくと、京の都に巣くう「鬼」の姿が浮かび上がる(「鬼女の顔」)。都で名高い桜の木を愛でる老貴族を襲った厄災。その...
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商品説明
能面打ち師が拾ってきた顔に傷がある女。その女の素性を調べていくと、京の都に巣くう「鬼」の姿が浮かび上がる(「鬼女の顔」)。都で名高い桜の木を愛でる老貴族を襲った厄災。その背後には南朝の残党が……(「桜供養」)。京の街で土倉(高利貸し)が襲われる事件が続発する。都を騒がす事件の真相とは!?(「去にし時よりの訪人」)。応仁の乱前夜の京の都で観世座の能楽師と訳ありの弟子が人々の心に棲む鬼が起こした難事件に立ち向かう、第36回小説推理新人賞受賞作家、圧巻のデビュー連作集。
※本作品は2019年4月に小社より刊行された『去にし時よりの訪人』を文庫化に際し改題し、加筆・修正したものです。
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室町時代は面白い
2022/06/13 06:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
公家武家のみならず庶民の意識・社会構造の大転換点であった室町時代を背景に、洛中での事件を追った時代劇ミステリーであった。応仁の乱の直前と思われる頃、洛中の街を想像しながら読む物語は楽しかった。観世座の若主人、その一座のの謎の若き主人公など、少しわかりにくい人間関係が、物語の深みを形作っていると思う。現実世界はあやふやだからこそ、人は分かりやすい物語を求め信じたがるのは、人間の性なのだろう。どの人の心にも鬼が棲むとすれば、自らの悪行を都合よく心を塗り替えるか。
動乱の時代の中で
2022/06/05 06:49
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:藍花 - この投稿者のレビュー一覧を見る
時は応仁の乱の前夜、京の都では土倉(高利貸し)が襲われる事件が続発する。
ある夜、申楽の観世座は将軍の弟である高僧を接待する宴に興を添えていた。その裏方をしていた那智は、近くで起きた人斬りの疑いで牢に入れられてしまう。その夜、また土倉が襲われていた。
観世太夫の末弟・小次郎は那智を救い出すため探索を始めるが…
室町時代を舞台にした連作中短編のミステリーです。
表題作は般若の面の由来にまつわる話ですが、メインは那智が巻き込まれた殺人と土倉襲撃事件「去にし時よりの訪人」です。
南北朝の動乱と応仁の乱の狭間で、それぞれの背景を持った登場人物たちが、それぞれの視点から物語を紡いでいきます。
登場人物が多く、物語の視点も変わりながら進んでいくので、読むのはちょっと大変です。真相もすべては語られないので、歴史と同様に読み手の解釈に委ねられる部分もあります。その点で、好き嫌いは分かれるかもしれません。
でも、わたしは興味深く読むことができました。この時代にさらに興味を持ちました。